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【勝ち組?】トランス・コスモスの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

トランス・コスモスは、コールセンター・ECサービス・事務作業などの業務受託を主力とするBPOアウトソーサー。1966年にデータ入力代行会社として創業、1990年代にはコールセンター受託事業へと進出してバブル崩壊後のアウトソーシングブームを牽引。現在では、アウトソーシングとデジタルトランスフォーメーションをコア領域として、マーケティング・ECサービス・コールセンターなどの受託を幅広く展開。顧客企業には、三井住友銀行みずほ銀行日産自動車アップルジャパンなどがある。

POINT

・BPOアウトソーサーとして国内首位、コールセンター受託に強み
・売上高・利益は成長一服で横ばい傾向、財務体質は大いに良好
・平均年収482万円だが一般職が多い為やむなし、福利厚生は特筆事項なし

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:55(準中堅)

上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとして準中堅クラスの待遇を得られる。世間一般に見劣りすることのない、普通の人生を送ることができるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:易しい

新卒採用数は年間580名~730名ほどと極めて多い。一般知名度も高くはないうえ門戸が広いため、採用倍率は低い。多種多様な大学から採用があり学歴には寛容。
採用大学:【国公立】富山大学・鳥取大学・熊本県立大学・岩手県立大学など、【私立】関西大学・日本大学・東海大学・成蹊大学・帝京大学・関東学院大学・国士舘大学・亜細亜大学・千葉商科大学・嘉悦大学・崇城大学・畿央大学・聖学院大学・大妻女子大学・共立女子大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

トランス・コスモスの売上高は2022年まで右肩上がりで増加していたが、同年以降は横ばい傾向に転換。2024年には過去最高となる売上高3,758億円を達成している*1。営業利益は2021年に過去最高となる258億円に到達したが、同年以降は減益傾向にある。
*1:当社の売上高が増加している理由は、①低コスト・高品質な業務オペレーションの構築による受注拡大、②人手不足の深刻化による大手企業からのアウトソース需要取り込み、③中国・韓国・東南アジアにおける事業拡大、など。
*2:2022年から営業利益が減少した理由は、①COVID-19関連の大型公共案件・スポット案件の剥落(ワクチン問い合わせ対応等)、②物価上昇・人手不足をうけた人件費の高騰、③事業拡大に向けた先行投資の負担増加、など。

✔セグメント別の状況

トランス・コスモスは、国内サービス事業(デジタルマーケティング・ECワンストップサービス・コンタクトセンターサービス・ビジネスプロセスアウトソーシングなど)、国内関係会社事業(ネット動画配信・コンテンツ制作・ITコンサルなど)、海外関係会社事業(北米・韓国・中国・フィリピン・ベトナム・マレーシアなどの関係会社)、の3事業を有する。
当社は単体サービス事業を主力としているが、同事業では大企業からアウトソーシングされたコールセンター・ビジネスプロセスの運営を主力としている。多種多様な業界・企業から類似した業務を受託してきたノウハウを活かして、高効率・高品質なオペレーションを構築している。IT領域への知見を活かして、チャットボット等の活用によるコスト削減・24時間対応にも取り組んでいる。

✔最終利益と利益率

トランス・コスモスの純利益は2021年に過去最高となる214億円に到達*3したが、同年以降は減益傾向。営業利益率は2021年のみ7%台まで上昇しているが、長期的には1%~3%ほどでの推移が多い。
*3:2020年・2021年に利益が急増した理由は、①COVID-19関連の大型公共案件の受注に成功した点(ワクチン問い合わせ対応等)、②QRコード決済の流行時にコールセンター業務を多数受注した点、など。

✔自己資本比率と純資産

トランス・コスモスの自己資本比率は長期的に50%前後の水準で推移しており、2024年は57.0%となっている。負債に依存しすぎない事業運営ができており、財務体質は大いに健全。純資産は長期的な増加傾向が続いており、2024年には1,290億円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

トランスコスモスの平均年収は450万〜490万円ほどで推移しているが、これは同社のビジネスモデルが理由*4。総合職エンジニアであれば30歳で450万円~550万円ほど、課長職レベルであれば650万~750万円に達する。平均年齢は37.4歳(2023年)と大手企業の標準的な水準を下回る。
*4:当社はコールセンター業務や経理業務などの事務作業を受託するため、一般職・事務職を大量採用している事情がある。そのため平均年収が上がりにくい。

✔従業員数と勤続年数

トランス・コスモスの単体従業員数は長期的な増加傾向が続いており、2023年は1.73万人ほどの組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4.07万人ほどの大所帯である。平均勤続年数は9.42年(2024年)と、大手企業の標準的な水準を下回る。

総合評価

企業格付け:CC

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)分野で国内首位・世界17位の業界大手。国内における競合企業は、ベルシステム24・KDDIエボルバ・りらいあコミュニケーションズなど。BPOとは「大企業・官公庁などから業務プロセスを受託する」ビジネスモデルであり、コールセンターや経理・総務業務などを受託することが多い。また、受託した業務プロセスを当社のノウハウによって効率化・合理化する高付加価値化サービスも展開している。多くの企業にとってノンコア業務をBPOに外部委託することは「自社リソースをコア事業へ専念させる」点において有益であるため、市場規模は拡大しつつある状況。業績においては過去最高圏での推移が続いている。売上高は2021年まで売上高・利益を右肩上がりで増加させていたが、同年以降は横ばい傾向に転換。COVID-19感染拡大期にはワクチン問い合わせ対応などの大型公共案件で利益を大きく伸ばしたが、2023年以降は人手不足による人件費高騰や先行投資負担が重荷となっている。財務体質においては自己資本比率57.0%(2024年)と高水準にあり、大いに優良である。

就職格付け:D

一般知名度は高くない企業であるが、アウトソーシング分野においては国内トップクラスの業界大手。人材派遣業の会社と勘違いされがちだが、当社は「各企業から業務プロセスを委託される」側の企業であり、人材派遣業とは異なる。最近では、各企業から委託された業務をデジタル技術によって「標準化・品質向上・プロセス改革」する取り組みにも熱心。給与水準においては平均年収482万円(2023年)と大手企業の割に低めだが、これは当社が1万人規模の事務スタッフを擁していることが理由。当社はコールセンター業務や経理業務などに従事する事務スタッフを数多く雇用しているため、平均年収が下押しされやすい事情がある(育児・介護などの事情で時短勤務を志向する女性が多い)。総合職に限れば30歳で年収450万~550万円ほど、課長職レベルであれば650万~750万円に達する。福利厚生については特筆に値する事項はないが、家賃補助制度では最大2万円/月が支給される。総じて、傑出した待遇はないものの、業界首位の企業で利益も長期的には増加傾向にあるために今後に期待。

◆地方において
当社は地方都市においては大いに優良な勤務先となる。BPO業界は数多くの社員数を抱える必要があるため、賃金が安く人が集められる地方都市に数多くの拠点を設置している事情があり、北海道・東北・沖縄などにも拠点が多い。大企業が少ない地方都市においては、業績安定的かつ上場企業の福利厚生が整った当社の待遇は非常に恵まれたものであり、地方版の就職偏差値ランキングでは評価を積み増している。

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出典:トランス・コスモス株式会社(有価証券報告書)