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半導体メーカー

【勝ち組?】ソシオネクストの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

ソシオネクストは、自動車・携帯電話・データセンター向けのカスタムSoCを設計・販売する半導体メーカー。2015年に富士通セミコンダクターとパナソニック(システムLSI部門)が合併して誕生。自社では工場を持たないファブレスメーカーであり、生産は台湾・TSMC社などに委託している。2022年には東京証券取引所・プライム市場に株式上場を果たした。2024年には富士通パナソニック日本政策投資銀行は保有株式をすべて売却、現在では資本関係はない。

POINT

・富士通・パナソニックから分離されたカスタムSoCが主力の半導体メーカー
・売上高・利益いずれも急成長、財務体質も十分すぎる健全性を確保
・平均年収921万円と高め、ただし業績後退時には給与減少リスクも

就職偏差値

✔就職偏差値:66(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中難易度

総合職の採用数は年間10人~30人とかなり少なめだが、そもそも知名度が壊滅的に低いため倍率は高くなりにくい。総合職の出身大学もハイレベル大学から中堅大学まで幅広く、大学名へのこだわりは薄め。
採用大学:【国公立】名古屋大学・名古屋工業大学・大阪府立大学・広島大学・静岡大学・岐阜大学・豊橋技術科学大学・長岡技術科学大学など、【私立】同志社大学・東京理科大学・東京都市大学・駒沢大学・名城大学など(出典:ソシオネクスト新卒採用

業績動向

✔売上高と営業利益

ソシオネクストの売上高は2020年ごろから急成長が続いており、直近の2023年には売上高2,212億円に到達。営業利益も右肩上がりで増加しており、直近では355億円に到達している。
*1:当社が急成長している理由は、2018年頃からカスタムSoC分野を主力事業へと転換したことが主要因。設立当初は特定用途特化SoCを主力としていたが、この事業転換後は数多くの大型商談が次々と成立。COVID-19以降の世界的な半導体不足の状況も追い風となり、急成長を果たした。

✔セグメント別の状況

ソシオネクストは、ソリューションSoC事業(自動車・データセンター・スマートデバイス向けカスタムSoCの設計・開発・製造など)のみの単一事業会社である。
売上高を分野別でみるとデータセンター・ネットワーク機器向けが約37%を占めており、最主力領域となっている。汎用SoCとは異なり、当社は顧客企業の製品企画段階から関与することで高性能・高品質なカスタムSoCを提供している。

✔最終利益と利益率

ソシオネクストの純利益は、営業利益の増加に比例して2020年頃から急増傾向。2020年から2023年までの4年間で約18倍もの急増を遂げ、直近では純利益261億円に到達。営業利益率も右肩上がりで増加しており、直近では16.0%に到達。

✔自己資本比率と純資産

ソシオネクストの自己資本比率は高水準で安定しており、直近の2023年には自己資本比率70.1%と極めて健全な水準を確保。純資産は2022年の急増を経て、直近では1,868億円となっている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ソシオネクストの平均年収は業績好調によって急増傾向にあり、直近では921万円に到達*2。大卒総合職であれば30歳で600万~700万円ほど、課長職レベルで1,100万~1,200万円ほど。平均年齢は49.8歳とかなり高めとなっており、高齢社員が多いために平均年収も高めに算出される点には注意が必要。
*2:半導体業界は市況による業績変動が大きい業界であり、業績好調時には賞与を急増させることで従業員に還元することが通例。業績悪化した場合には賞与を減額することで人件費の調整弁としている。

✔従業員数と勤続年数

ソシオネクストの単体従業員数は長期的に2,100人規模で安定的*3。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,500人ほど。平均勤続年数は直近でも8.1年とかなり短いが、これは当社が2015年に設立された企業であるため(転籍前の勤続年数はカウントされていない)。
*3:当社の設立時には約2,600名の組織規模であった。内訳は、富士通グループの転籍者が約2,000名、パナソニックからの転籍者が約600名。

総合評価

企業格付け:BB

富士通グループとパナソニックグループのSoC事業を統合して2015年に誕生した新しい企業。設立当初は特定用途特化SoCを主力としており業績も振るわなかったが、2018年頃からカスタムSoCを主力事業へと転換。事業転換後は数多くの大型商談が次々と成立したことで、売上高・利益いずれも急伸するに至った。直近では売上高2,200億円・営業利益355億円にまで達しており、かつて富士通・パナソニックに見限られた両社のSoC部門が輝かしい再建を果たすにまで至ったと評価できるだろう。財務体質も盤石であり、自己資本比率は70%以上をしっかりと確保。市況変動が激しい半導体業界であるが、多少の業績悪化であれば優に乗り切れるだけの財務基盤を確立できている。

就職格付け:B

2015年に誕生した新興企業であるうえ一般消費者向け製品を扱わず、そのうえカスタムSoCというマニアックな業界ゆえに、一般知名度は極めて低い半導体メーカー。強いて言えば、新規上場以来の輝かしい株価上昇によって株式投資家には著名であることくらいか。平均年収は直近で921万円とかなりの高水準であり、日系半導体メーカー首位のルネサスエレクトロニクス(平均年収889万円)をも上回る。ただし平均年齢が49.8歳とかなり高齢化が進んだ企業であるため、他社比較時には多少は割り引いてみておく必要はある。実際の給与レンジとしては、大卒総合職・30歳で600万~700万円ほど、課長職レベルで1,100万~1,200万円ほどである。さすがに富士通・パナソニックから分離された企業であるだけに福利厚生も整備されており、年間休日日数は127日とかなり多め。若手社員は30歳になるまで家賃額の半額(最大3万円まで)を家賃補助として支給される。

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出典:株式会社ソシオネクスト(有価証券報告書)