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物流会社

住友倉庫の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

住友倉庫は、住友グループに属する倉庫業・物流業・海運業・不動産業を主力とする大手物流会社。1899年に住友家が個人商店として創業、1960年代に神戸港・東京港でコンテナターミナル業務を開始したことで業容拡大。国内外に保有する倉庫は延床面積80万㎡を超え、国内主要港のコンテナターミナル運営・船舶代理店業務も展開。過去に倉庫を展開していた都市部の用地にオフィスビル・商業ビルなどを建設、不動産事業も展開している。2006年には陸運業界の遠州トラックを買収して子会社化。

POINT

1.住友Gにおいて物流業を担う財閥系倉庫、業界3位の規模
2.売上高・利益は2020年から急増したが、海運事業の売却で一服見込
3.平均年収753万円で福利厚生も充実、平均年齢36.9歳と若め

業績動向

✔売上高と営業利益

住友倉庫の売上高は微増傾向が続いており、2021年以降は売上高2,000億円台での推移が続いている。営業利益は100億円規模で安定していたが、2021年以降は営業利益260億~270億円で推移*1
*1:2021年以降は世界的なサプライチェーン混乱による恩恵を享受。物流の混乱を受けて製品貯蔵の需要が急増、海上運賃・航空運賃の高騰により増収増益。

✔セグメント別の状況

住友倉庫は物流事業(倉庫保管・荷役・陸上運送・港湾荷役・国際運送など)、海運事業(北米北西岸航路における船舶運航)不動産事業(オフィスビル・商業ビル・物流施設・賃貸住宅・ビジネスホテル・高齢者施設など)の3事業を有する。
住友倉庫は物流事業をコア事業としつつも、海運事業・不動産事業にも進出*2。2021年には海運事業・不動産事業の利益がコア事業に匹敵する利益を稼ぎ出している。不動産事業において首都圏・大阪に保有するビルの延床面積は38万㎡以上。都市再開発にも参画するなど積極的。
*2:海運事業は2021年に事業売却して撤退することを発表。海運事業は海運市況に業績を極端に左右される為、好業績のうちに事業売却することを決断した。

✔最終利益と利益率

住友倉庫の純利益は80億円前後の水準で安定的であったが、2021年以降は200億円レベルへ急増*3。営業利益率も2021年から増加、直近では営業利益率11.65%と倉庫業界では首位級の利益率を誇る。
*3:2021年の純利益には海運子会社の売却による特別利益185億円が含まれる。海運市況の好調による増益が失われる為、2023年以降は純利益100億円規模へと戻る見通し。

✔自己資本比率と純資産

住友倉庫の自己資本比率は長期的に50%レベルでの推移が続いており、十分な健全性を維持できている。純資産は2019年からは増加傾向、2022年には純資産2,289億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

住友倉庫の平均年収は730~750万円ほどの水準が長年に渡って継続。平均年齢は緩やかな増加が続いているが、直近でも36.9歳と大手企業としては若めの水準。平均年齢が低めの組織であるため、先述の平均年収は低めに算出されやすい点に留意したい。

✔従業員数と勤続年数

住友倉庫の従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、直近の2022年には832人に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4,511人ほど。平均勤続年数は13.1年と短めの水準だが、平均年齢が若いことを踏まえれば何ら問題ない水準。

総合評価

企業格付け:BB

三菱倉庫・三井倉庫に並ぶ、財閥系倉庫の雄。三菱倉庫・三井倉庫は売上高3,000億円規模に対して、住友倉庫は売上高2,000億円レベルと規模はやや小さめ。直近2年間は、三菱倉庫・三井倉庫を上回る純利益を叩き出しているが、これは住友倉庫のみ海運事業を保有しており、同事業が海運市況の絶好調で高利益を生み出した恩恵が大。海運市況は落ち着きつつあるうえ、2021年には海運子会社ウエストウッドシッピングラインズをシンガポール海運大手に売却して海運事業からは撤退済。財務体質は自己資本比率50%レベルと三菱倉庫に続くレベルで健全、三井倉庫に対しては財務健全性で上回っている。不動産事業を展開する点も三菱倉庫・三井倉庫と共通、オフィスビル・商業ビル・物流施設・高齢者施設などを幅広く保有している。総じて、業績はそこそこ好調だが、大きな成長性は特段ない安定企業である。

就職格付け:BB

住友グループの物流会社にして財閥系倉庫会社の一角。財閥系倉庫会社では唯一、大阪に本社を置いている。業界首位級かつ財務盤石の三菱倉庫と業界首位級だが財務凡庸な三井倉庫に対して、業界2位級かつ財務健全という中庸気味な立ち位置。給与水準は三井倉庫と同格の平均年収730~750万円レベル。しかし、三井倉庫は持株会社の従業員173名のみの平均年収かつ平均年齢が約6歳も上であるため、実質的な給与水準は住友倉庫の方が高いとみられる。福利厚生はかなり充実しており、独身寮には35歳まで入居できるうえ、家賃は光熱費込みで月5,000円を下回る。寮費が格安かつ10年以上に渡って滞在できるため、無理せず貯金をハイペースで蓄積できるのは大いに有利。他の財閥系倉庫とは異なり大阪本社のため、独身寮から出た後の住居コストも首都圏よりは安価という隠された優位性も忘れてはならない。

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