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電機メーカー

【勝ち組?】シチズン時計の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

シチズン時計は、時計製造を主力とする精密機械メーカー。1918年に貴族院議員の山崎亀吉が尚工舎時計研究所として設立した。創業から時計製造が一貫して主力事業ではあるが、世界中の時計メーカーに時計機械(ムーブメント)を販売する部品サプライヤーでもある。とりわけクオーツ式ムーブメントは得意分野であり、1999年には累計生産数量17億個がギネス記録に認定。時計製造で培った機械・電子技術を活かして、工作機械・自動旋盤・自動車部品・電子部品など事業多角化にも成功。

POINT

・腕時計と工作機械が主力、時計ムーブメントは世界シェア上位
・COVID-19流行による業績不振から復活、財務体質は大いに健全
・平均年収713万円まで回復、グローバル職は海外赴任・駐在も多い

就職偏差値

62(中堅上位)

日本企業における中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

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業績動向

✔売上高と営業利益

シチズンの売上高は2019年・2020年に大幅失速*1したが、2023年には3,128億円まで回復。営業利益は2019年・2020年に大幅減益に沈んだが、同年以外は200億円レベルで安定的に推移している。
*1:COVID-19感染拡大による世界的な外出規制により腕時計需要が大幅減少。当社は実用時計が主力のため、外出減少による需要低迷が顕著に。第二のコア事業である工作機械事業もCOVID-19感染拡大による景気後退で急減したことも痛手であった。

✔セグメント別の状況

シチズン時計は時計事業(腕時計・掛時計・ムーブメントなど)、工作機械事業(工作機械・CNC自動旋盤など)、デバイス事業(自動車部品・水晶デバイス・小型モータ・LEDなど)、電子機器事業(プリンター・健康機器など)の4事業を有する。
当社は時計メーカーとして著名ではあるが、時計事業は売上高の約52%ほどであり、時計以外の事業についても業績貢献はかなり大きい。とりわけ工作機械事業は、時計事業に続く第二のコア事業といえるまでに成長している。

✔最終利益と利益率

シチズン時計の純利益は2019年・2020年には大幅赤字に転落したが、2021年以降は200億円以上のレベルに回復。営業利益率は7%~8%レベルで推移しており、電機メーカーとしてはやや高めの水準。

✔自己資本比率と純資産

シチズン時計の自己資本比率は直近で59.6%とかなり高めの水準。2019年・2020年の業績悪化でやや低下したものの、大いに健全な水準をしっかりと維持。純資産は2018年の2,675億円をピークに横這い推移が続いている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

シチズン時計の平均年収は2020年・2021年に一時的に減少*2したものの、直近で713万円まで増加。大卒総合職なら30歳で年収450万~550万円ほど、課長職レベルで年収880万~980万円ほど。平均年齢は長期的に微増傾向が続いていたが、2023年は43.4歳まで微減した。
*2:2019年・2020年の業績悪化によるボーナス減少が打撃となり、一時的に給与水準が低下した経緯がある。が、2022年以降は業績回復により給与水準も戻りつつある

✔従業員数と勤続年数

シチズン時計の単体従業員数は直近で762人に過ぎず、従業員の大半は事業会社に属している。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は1.22万人ほど。平均勤続年数は18年前後とかなり長めの水準であり、従業員の定着は良好である。

総合評価

企業格付け:CC

■業界ポジション
セイコーグループ・カシオ計算機と並ぶ、日系時計メーカーの雄。高級価格帯ではセイコーグループの展開する”グランドセイコー”や”クレドール”に対して、当社の”ザ・シチズン”や”カンパノラ”は押されており形勢不利。しかしながら普及価格帯においては当社が依然として優位であり、時計事業の売上高・利益においては同格レベルである。

■業績動向
回復基調。2019年・2020年にはCOVID-19感染拡大による外出自粛により腕時計需要が急減、当社の業績も大きく落ち込んだが同年以降は回復傾向に。当社と価格帯が重複する”アップルウオッチ”の普及は逆風であるものの、売上高・利益において顕著な打撃が及ぶにまでは至っていない。ちなみにセイコーグループは売上高・利益で当社に及ばず、業績面では当社が優れる。

■財務体質
良い。自己資本比率は直近で60%前後と高く、負債に依存しない事業運営がしっかりできている。長年に渡って有利子負債に依存しすぎない事業展開を続けてきた保守的な企業であり、財務体質は今なお堅実。ちなみにセイコーグループは自己資本比率39.6%・純資産1513億円(2023年)であるため、財務体質は当社の方が大いに健全。

■海外ブランド買収戦略
シチズンブランドが普及価格帯のブランドであることから、最近では海外ブランドの買収に熱心。潤沢な資金を武器に、多数の著名な海外時計ブランドを次々と傘下に収めた(フレデリックコンスタント・アルピナ・アーノルド&サン・ブローバなど)。より高収益で付加価値があるブランド展開への転換を急ぐが、ハイブランド市場は著名な時計ブランドが激しい争いを繰り広げており、普及価格帯に強い当社がどこまで健闘できるかは依然不透明。

就職格付け:C

■給与水準
給与水準はCOVID-19影響で平均年収600万円台に後退したが、2023年には平均年収713万円まで回復。大卒総合職なら30歳で年収450万~550万円ほど、課長職レベルで年収880万~980万円ほど。年功序列色が強いうえ平均年齢が高めの企業であるため、若手社員の昇給ペースは遅めである。

■福利厚生
まずまず。若手社員は借上げ社宅が付与されるため住宅コストが節約できるが、基本的には入社8年目までに限られる。西東京市にある本社オフィスは精密機械メーカーだけあって美麗かつ行き届いた勤務環境が用意されている(参考リンク)。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職・グローバル職・デザイン職の4職種制。総合職は他メーカー同様に複数部署をローテーションしながら業務経験を蓄積し、専門性を高めていくキャリアが主。グローバル職は海外営業・海外企画に専従する他、海外出張・海外駐在のチャンスが多い。グループ会社を含めると、北海道から鹿児島にまで15以上の生産拠点が分散しており、特に生産部門については地方転勤の可能性の高さには注意したい。

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出典:シチズン時計株式会社(有価証券報告書)