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【勝ち組?】サカタのタネの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

サカタのタネは、野菜・果物・花などの種子を開発生産する大手種苗メーカー。1913年に坂田武雄が神奈川県で開いた農園を源流とし、1910年代半ばには種子・球根類を欧米向けに輸出。1930年には世界初となる完全八重咲きペチュニアの種子を発売して欧米で大ヒットを記録。現代においてもブロッコリー・メロン・チンゲンサイなどの種子開発で先行、世界的シェアを誇る種子製品を多数擁する。世界170ヵ国以上に種子を輸出するグローバル企業である。

POINT

・ブロッコリーなどで世界シェア上位の種苗会社、海外売上高比率75%以上
・売上高・利益いずれも好調、営業利益率も高いうえに実質無借金経営
・平均年収687万円だが賃上げが長期的に継続中、福利厚生はそこそこ充実

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:62(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用数は年間15人~30人だが、うち10名程度は専門学校から積極採用している点が特徴的。農業分野の志望者にとっては有望な就職先であり倍率が高止まりしている。
採用大学:【国公立】北海道大学・千葉大学・信州大学・東京農工大学・など、【私立】同志社大学・立教大学・立命館大学・東京農業大学など、【その他】静岡県立農林環境専門職大学・千葉県立農業大学校・専門学校農林大学校・東京バイオテクノロジー専門学校(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

サカタのタネの売上高は2019年までは600億~620億円ほどで安定していたが、同年以降は増加傾向に転換*1。2024年には過去最高となる売上高886億円に到達している。営業利益は70億~110億円ほどで安定的に推移しており、景気後退局面にも底堅い。
*1:当社の売上高が増加している理由は、①COVID-19感染拡大期において在宅で楽しめる園芸趣味が普及拡大した点、②為替レートの円安推移による為替効果、③国内外におけるブロッコリーなど主力種子類の販売好調、など。

✔セグメント別の状況

サカタのタネは、国内卸売事業(国内向け野菜種子・花手指・球根・苗木、農園芸資材など)、海外卸売事業(海外向け野菜種子・花手指・球根・苗木、農園芸資材など)、小売事業(一般園芸向け商品)、その他事業(官公庁・民間向け造園工事施工、人材派遣)、の3事業を有する。
当社は海外卸売事業によって売上高・利益の約75%以上を稼ぎ出しており、海外比率が特に高いグローバル企業である。国内卸売事業が業績に占める割合は低く、業績の柱とはなっていない状況。とりわけブロッコリー・トルコギキョウでは世界シェア70%以上を確保しており世界的な存在感を誇っている。

✔最終利益と利益率

サカタのタネの純利益は2022年・2024年に急増しているが、これは一過性の要因*2。一過性の要因を除けば、純利益は60億~90億円ほどで安定している。営業利益率は12%~15%ほどで長期的に安定しており、高い利益率を長く維持している点において優秀。
*2:2021年の純利益には米カリフォルニア州に保有していた巨大な土地資産の売却益が含まれており、2024年の純利益には横浜市内の『ガーデンセンター横浜』の売却益123億円が含まれている。

✔自己資本比率と純資産

サカタのタネの自己資本比率は長期的に80%以上の超高水準で安定的に推移。利益が安定していることに加えて、財務体質も極めて良好であり、実質無借金経営を達成している。純資産は長期的な増加傾向が続いており、直近の2022年には純資産1,381億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

サカタのタネの平均年収は長年に渡って緩やかな増加が続いており、2024年には687万円に到達している。大卒総合職は30歳で年収520万~590万円、課長職レベルで年収820万~950万円ほど。ただし平均年齢が30代後半と比較的若いため、他社比較時にはもう少し多めに見てもよいだろう。

✔従業員数と勤続年数

サカタのタネの単体従業員数は長期的に660人~700人ほどで横這いが続いており、少数精鋭の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,900人ほど。平均勤続年数は15.4年(2024年)となっており、大手企業の標準的な水準にある。

総合評価

企業格付け:CC

種苗業界において世界上位10社に数えられる大手企業であり、日系種苗会社としてはタキイ種苗に並んで業界首位級。戦前から欧米市場に積極進出してきた名門企業でもあり、野菜種子に限れば世界上位5社に食い込める実力を有している。業績においては2020年から売上高を大いに伸ばしており、営業利益・純利益も好調。メキシコや南米地域における販売シェアの拡大が続いている他、昨今の為替レートの円安推移による追い風も大きい。利益率においても優秀であり、営業利益率12%以上を余裕で上回る水準を過去8年に渡って継続し続けているのは美点。財務基盤においても輪をかけて優秀であり、自己資本比率80%以上を安定的に維持できている。すなわち実質無借金経営であり、利益率の高さも加味すれば堅実すぎるほどに堅実である。種苗業界は国内市場が頭打ちである反面、海外市場は依然として成長基調が継続しているため、グローバル企業としての当社の存在意義はますます拡大していくものと見込まれる。

就職格付け:CCC

種苗業界というマイナー業界において業界首位の大手企業だが、家庭菜園向けの製品も多数販売しているために一般知名度もかなり高い。世界19ヵ所に研究所を保有しており、全世界の従業員の20%が研究者という研究開発型の企業でもある。給与水準はそこそこであり、平均年収687万円(2024年)となっている。ただし過去8年間に渡って給与水準が安定的に増加し続けている為、平均年収700万円の突破もそう遠くないかもしれない。福利厚生もそこそこ恵まれており、住宅支援では30 歳未満の独身社員については家賃の20%相当の金額で住める独身寮を提供している。有給休暇の取得促進にも力を注いでおり、全社員の有給休暇取得率は70%以上。総じて優良企業であり、安定的な業績・財務からして長期的に安心して働き続けることができるだろう。ただし主要事業所は国内複数個所に分散気味であり、北海道・神奈川・千葉・長野・静岡などに立地。転勤距離が遠距離になる点には留意が必要か。

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出典:株式会社サカタのタネ(有価証券報告書)