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【勝ち組?】サイゼリヤの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

サイゼリヤは、世界6ヵ国でイタリア料理レストラン「サイゼリヤ」を展開する大手外食会社。1967年に東京理科大学を卒業した正垣泰彦が洋食店として創業。創業間もない時期から市場規模が大きい低価格路線に商機を見出して多店舗展開を進め、現在ではイタリア料理店として世界首位の店舗数まで拡大。科学的アプローチによる合理化経営に特徴があり、食材生産・加工・物流・店舗運営の全プロセスの自前化に積極的。国内・海外の約1,500店舗をすべて直営展開している。

POINT

・イタリア料理店として世界1位の店舗数を誇る、徹底的な合理主義で有名
・売上高・利益いずれもCOVID-19影響から急回復、財務体質も大いに優良
・平均年収689万円と外食業界トップ級、料理は安価でも給与は渋らない

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:56(中堅)

上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや易しい

総合職の採用人数は年間40人~60人と、企業規模の割には少ない。創業者が東京理科大学の出身であるため、外食業界でありながら理系採用も重視している。
採用大学:【国公立】神戸大学・千葉大学・広島大学・金沢大学・富山大学・長崎大学・東京都立大学・島根県立大学など、【私立】明治大学・立教大学・関西学院大学・南山大学・日本大学・専修大学・拓殖大学・中京大学・国士舘大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

サイゼリヤの売上高は2019年・2020年に急落*1したが、同年以降は成長基調へ転換。2024年には過去最高となる売上高2,245億円に到達している*2。営業利益は2020年~2022年まで低迷したが、2024年には148.6億円まで急回復。
*1:2019年・2020年はCOVID-19感染拡大による業績悪化に直面。多人数来店を前提とするビジネスモデルゆえに客離れを起こしたうえ、全店舗が直営店であったために影響が深刻化した。
*2:2024年に営業利益が増加した理由は、①低価格路線を死守した事業展開による来客数の増加、②セルフレジの全店舗導入による労務費の削減、③50円単位の価格設定によるオペレーション効率化、など(参考リンク)。

✔セグメント別の状況

サイゼリヤは、日本事業(日本国内におけるサイゼリヤ店舗運営・食材加工など)、豪州事業(オーストラリアでの食材生産・加工)、アジア事業(中国・台湾・香港・シンガポールでのサイゼリヤ店舗運営など)、の3事業を有する。
当社は日本国内・アジアにおいて約1,500店舗を展開。最近では日本事業が歴史的な原材料価格・労務費の高騰によって利益縮小しており、アジア事業が全社利益を支えている状況。豪州事業はハンバーグ・ミラノ風ドリアを高品質・安価に提供するための生産拠点であり、2002年にオーストラリアに自社工場を設立。

✔最終利益と利益率

サイゼリヤの純利益は2020年・2021年は減益に沈んだが、長期的には50億~80億円ほどで安定的に推移している*3。営業利益率は2020年に急落したが、2024年には6.62%まで回復を遂げている。

✔自己資本比率と純資産

サイゼリヤの自己資本比率はCOVID-19による業績悪化で60.1%(2020年)まで低下したが、それでも60%以上の高水準で推移している。負債に依存しすぎない事業運営ができており、財務基盤は相当に強固である。純資産は緩やかな増加傾向が続いており、2024年には1,108億円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

サイゼリヤの平均年収は689万円(2024年)と外食業界トップクラスの水準にある。COVID-19による業績悪化に直面した2021年のみ平均年収551万円に低下したが、最近は回復。総合職であれば30歳前後で店長クラスに昇格して500万~650万円ほどに達する。課長職レベルであれば750万~850万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

サイゼリヤの単体従業員数は2,000人~2,100人ほどの水準で安定的に推移している。全店舗を直営展開するため、従業員数はかなり多めである。平均勤続年数は直近で15.0年となっており、外食業界としては従業員の定着が極めて良い。

総合評価

企業格付け:CCC

■業績動向
急好転。2022年まで世界的な人件費・原材料費の高騰で減益が続いたが、2023年から顕著な増益に転じて過去最高圏となる業績に浮上。世界的なインフレの渦中においても低価格路線を死守したことで、相対的な割安感から客足が増加。セルフレジや50円単位の価格設定によるオペレーション改革によって、低価格を維持しつつも過去最高圏の利益を叩き出している。原材料価格の高騰によって同業他社の値上げが相次ぐ中で、低価格を維持しつつ業績拡大を果たしているのはまさに驚異的。

■財務体質
優良。2018年までは自己資本比率は75%以上・実質無借金経営の超優良企業であったが、COVID-19以降はやや自己資本比率が低下した状態に。とはいえ依然として自己資本比率65.6%(2024年)もあるうえ、手元資金についても約719億円(2024年)を確保。依然として外食業界トップクラスの健全性を確保し続けている。

■ビジネス動向
食材調達・加工の効率化のみならず、店舗オペレーション革新に挑戦中。最近では、①299円などの端数価格を1円だけ値上げすることでレジでの釣銭受渡を劇的に削減、②客自身がオーダー用紙への記入をすることで伝達ミスを防止しつつ対応時間を削減、などに成功。終わりのない業務効率化に取り組み続けている。

就職格付け:CC

■給与水準
直近の平均年収は689万円となっており、外食業界ではトップクラス。総合職であれば30歳前後で年収500万円は超え、課長職レベルなら年収750万円を超える。待遇面に恵まれない企業が多い外食業界にありながら、中堅メーカー並みの給与水準が用意されている。当社は持株会社制ではなく従業員2,000人以上の平均年収であるから、実際の給与水準は外食業界のなかでも卓越している。

■福利厚生
総合職は国内外への全国転勤が前提となるが、独身寮・借上げ社宅が整備されているため住宅コストは抑制可能(自己負担2万円/月のみ)。転居制限制度という珍しい制度があり、申請すると36か月間は転居を伴う異動が免除される。食事補助制度では、サイゼリヤでの食事が50%引きとなるため勤務日の食費はかなり浮かせられる。

■キャリア
入社後は直営店に配属され、店舗オペレーションの基礎を学んだのち、2~3年目以降に店長へと昇進。店舗運営者としてヒト・モノ・カネの管理をマスターする。その後は、本社部門やスーパーバイザーへと昇進してマネジメント側へと進むことも可能。科学的アプローチを重視する社風であるため、外食業界にありがちな根性論的な雰囲気はまったくない。

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出典:株式会社サイゼリヤ(有価証券報告書)