企業概要
みずほ証券は、みずほフィナンシャルグループに属する大手証券会社。2000年に第一勧銀行・富士銀行・日本興業銀行が合併してみずほフィナンシャルグループを発足するにあたり、同行傘下の興銀証券・第一勧業証券・富士証券が合併して発足。2004年には農林中央金庫傘下の農林証券の営業譲渡を受け、規模を拡大。現在では預かり資産55兆円を超え、日系大手証券5社の一角として数えられる。国内店舗数224拠点と業界首位、海外市場にも注力すべく世界21拠点を展開する。
・みずほグループのメガバンク系証券会社、日系5大証券会社の一角
・営業収益は急伸するも利益は年度ごとの上下変動が大きめ、財務体質は良好
・大卒総合職・30歳で年収750万円以上、特定コース採用はより高待遇
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:GM・CIB=77/オープン=66
GM/CIB:誰もが羨望する圧倒的な待遇・地位が約束されるスーパーエリート。しかしそれゆえ、入社できるのは同世代の極一握りに限られる。
オープン:かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:GM・CIB=至難/オープン=難関
総合職の採用数は毎年190名~240名ほど、かなりの大量採用である。GM/CIBコース採用は採用枠が数人のみ、トップエリートのみが得られる採用枠である。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・東北大学・神戸大学・筑波大学・岡山大学・一橋大学・東京工業大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・明治大学・中央大学・立教大学・法政大学・同志社大学・関西学院大学・専修大学・東北学院大学・東京理科大学など(出典:外資就活ドットコム)
業績動向
✔営業収益と営業利益
みずほ証券の営業収益は2022年まで3,800億〜4,400億円ほどで推移していたが、同年以降は急増傾向。2024年には営業収益7,297億円に到達している。営業利益は年度による浮き沈みがあるが、160億〜960億円ほどのレンジで推移している。
*1:2021年からの営業収益の急増の理由は、①COVID-19以降の金融市場の安定化、②国内外における株価上昇による株式や投資信託の売買増加、など。
✔セグメント別の状況
みずほ証券は、証券事業(個人・法人向け資産運用コンサルティング・ソリューション、グローバル投資銀行ビジネス、グローバルマーケッツ、内外業界動向リサーチなど)、のみの単一事業会社である。
親会社・みずほフィナンシャルグループが当社株式の100%を保有しており、同グループにおける証券事業を担う位置付けにある。日本国内では224店舗を展開しており、店舗網においては業界屈指のネットワークを誇る。債券引受数においても日系証券として首位であり、市場環境・発行体のニーズを踏まえた提案力、投資家の需要を捉えたプライシング能力、店舗ネットワークを生かした販売力に強みがある。
✔最終利益と利益率
みずほ証券の純利益は2018年・2022年に急落しているが、同年を除けば210億~750億円ほどで推移している。営業利益率は3%〜21%で推移しており安定しないが、証券会社のビジネスの特性上、営業収益が年度により増減しやすいためやむを得ない。
✔自己資本比率と純資産
みずほ証券の自己資本比率は3%〜6%ほどで推移しており、と著しく低い水準にある。が、これは証券業の特性によるもの。顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。純資産は2021年に急落してからは回復傾向が続いており、2024年には1.0兆円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
みずほ証券の平均年収は非公開だが、長期的に920万円~1,090万円ほどで推移していると推定される*2。総合職の場合、30歳で年収750万~850万円ほど、課長職レベルで年収1,200万~1,400万円に達する。IBD部門の場合は別の給与テーブルが提供され、職務・実績に応じた報酬が用意されている。
*2:この平均年収は求人情報・企業口コミ情報をベースに当組織が業績・平均年齢・平均勤続年数を加味して推計した数値である。
✔従業員数と勤続年数
みずほ証券の単体従業員数は6,485人(2024年)と証券会社としては相当の巨大組織となっている。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は9,600人規模となっている。平均勤続年数は16.0年(2024年)と、大手企業の標準的な水準を上回る。
総合評価
企業格付け:BBB
みずほフィナンシャルグループにおける中核3社(みずほ銀行・みずほ信託銀行・みずほ証券)の一角であり、同グループの証券ビジネスを担っている企業。2000年に興銀証券・第一勧業証券・富士証券が合併して発足した企業であり、他の大手証券会社と比べると歴史は浅い。業績においては、2021年から営業収益が急激に伸びているが、これは金利上昇による金融収益の増加が主要因。金融収益は901億円(2021年)から3,546億円(2023年)まで急増しており、当社の営業収益を急増させる主要因となっている。財務体質においては自己資本比率は3.6%(2024年)と低いが、これは証券会社は顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がる事情によるもの。連結総自己資本規制比率は227.7%(2024年)と十分に健全な水準を保っている(参考リンク)。
就職格付け:IB=SS/オープン=BB
■オープン採用
メガバンク系大手証券会社の一角であり、性質が類似する企業には三菱UFJモルガンスタンレー証券(MUFG系)やSMBC日興証券(SMFG系)などがある。メガバンクのグループ企業であるため、よく言えばメガバンクの顧客基盤を活かした営業活動を展開できる反面、悪く言えばグループ全体のため証券事業を展開するいち事業会社に過ぎないとも評価できる(これが証券業を中核に発展した野村證券・大和証券との違いである)。給与水準においては平均年収1,000万円ほどで推移しており、証券業界としても上位級の待遇。大卒総合職は30歳で年収750万〜850万円ほど、課長職レベルで1,200万〜1,400万円ほどである。当然ながら証券業界では避けられない”目標達成”への心理的負担は相当にあり、一定以上の努力をしつづける覚悟は必要。また、当社特有の事情として店舗数が業界首位であるがゆえに転勤範囲が広大に及ぶ点にも注意が必要。北は北海道から南は鹿児島県まで、大抵の都道府県には店舗があるが故に、総合職であれば長距離転勤は避けられないと考えたい。。
■GM・CIB採用
入社時点でキャリアパスを特定するコースであり、GM採用はグローバルマーケッツ部門・CIB採用はコーポレートバンキング部門に確約される所謂ブレイン採用枠である。ドサ周り営業に人生の時間を費やすことなく、高度金融に携われるキャリアパスは大いに魅力的。給与水準においてもオープン採用とは別れており、30歳で年収1,000万円以上には確実に到達するうえ、40代で年収1,500万円以上にも余裕で到達可能。さすがに外資系金融機関には劣るが、日系企業ゆえの雇用安定性を加味した総合力では決して劣らない。将来的なキャリアパスの幅や高待遇からして、就職格付けは日系金融機関では最上位クラスとなる。オープン採用の総合職だと全国転勤による過疎部勤務も避けられないが、勤務先が東京・大阪などの大都市に確定することも圧倒的な強み。給与水準・キャリア(専門性の確立)・転勤リスクいずれをとってもオープン採用とは別格であり、まさしく金融業界においてもトップエリートともなりうる。