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【勝ち組?】くら寿司の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

くら寿司は、世界3ヵ国で回転寿司チェーン『くら寿司』を展開する大手外食会社。1977年に個人寿司店として大阪府堺市で創業、1990年代からはシステム投資・機械化投資によって効率的な店舗オペレーションを実現。2000年には『ビッくらポン!』を導入して、子連れ客ニーズを掴んだ。現在ではスシローに続いて業界2位の店舗数を誇り、台湾・米国・中国へと進出。現在では東京証券取引所プライム市場に加えて、米国NASDAQ市場にも上場する類稀な企業となっている。

POINT

・回転寿司分野で業界2位の大手、海外展開は業界トップのスピード感
・売上高は成長基調だが利益は苦しい、財務体質はそこそこ健全
・平均年収499万円で平均勤続年数7.1年、転勤範囲を限定できる制度あり

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:52(準中堅)

上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとして準中堅クラスの待遇を得られる。世間一般に見劣りすることのない、普通の人生を送ることができるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:易しい

総合職の採用人数は年間200人~280人と大量採用、外食業界の上場企業を志望するのであれば候補となる。アルバイトの正社員登用にも積極的であり、新卒・中途を問わず門戸は広い。
採用大学:【国公立】滋賀大学・愛媛大学・佐賀大学・下関市立大学・小樽商科大学など、【私立】青山学院大学・関西大学・日本大学・近畿大学・中京大学・明海大学・城西大学・和光大学・目白大学・高千穂大学・大阪産業大学・東京経済大学・東京農業大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

くら寿司の売上高は右肩上がりでの成長が続いており、2024年には過去最高となる2,349億円に到達*1。外食業界としては業界7位の売上高にまで成長している。営業利益は2018年をピークに損益ギリギリの状況が続いていたが、2024年には56.9億円まで回復している。
*1:当社の売上高が増加している理由は、①過去8年間に渡る出店攻勢によって200店舗以上を増やした点、②100円寿司を廃止して最低価格を115円まで引き上げた点、③人気アニメ作品とのコラボイベントによる集客増加、④為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

くら寿司は、日本事業(日本国内における店舗運営)、北米事業(アメリカにおける店舗運営)、アジア事業(台湾における店舗運営)、の3事業を有する。
当社は外食大手の中でも海外展開に極めて熱心であり、アメリカ64店舗・台湾59店舗を展開している。かつては上海にも3店舗を展開していたが、2025年には中国市場から撤退(参考リンク)。ただし実際には日本事業が売上高の約74%・利益の87%を占めており、国内市場が地盤であることに変わりはない。

✔最終利益と利益率

くら寿司の純利益は2020年から2023年まで損益ギリギリの状況*2が続いていたが、2024年には32.2億円まで回復している。営業利益率も2021年まで低下傾向が続いていたが、同年以降は回復傾向。が、2024年も営業利益率2.43%に留まっている。
*2:2020年から利益低迷が続いている理由は、①世界的な原材料費・人件費の高騰によるコスト増加、②歴史的な円安による海鮮品価格の高騰、などに起因。

✔自己資本比率と純資産

くら寿司の自己資本比率は2018年まで65%前後の高水準で推移してきたが、同年以降は右肩下がりで低下*3。2024年は自己資本比率40.5%と高くもなければ低くもない水準となっている。純資産は増加傾向が続いており、2024年には729億円に到達している。
*3:当社は2020年からIFRS国際会計基準16号「リース」を適用。会計基準の変更によって貸借対照表におけるリース債務が急増したことで自己資本比率が低下した。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

くら寿司の平均年収は長期的に440万~460万円ほどで推移していたが、2024年には499万円に上振れ。総合職で入社すると、早ければ入社2年目で店長に昇格して450万~500万円ほどになる。平均年齢が32.0歳(2024年)と極めて若いため平均年収は低くなりやすい事情はあるか。

✔従業員数と勤続年数

くら寿司の単体従業員数は増加傾向が続いており、2024年には1,787人に到達している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,820人ほど。平均勤続年数は7.1年(2024年)に留まっているが、従業員の平均年齢が低いためやむを得ない事情はある。

総合評価

企業格付け:D

■業績動向
売上高は右肩上がりで伸びるも、利益がついてこない状況。世界的な人件費・原材料費の高騰が逆風となっており、当面の事業環境は厳しい見込み。2022年には同業他社で寿司ペロ悪戯事件が発生、被害者であるはずの回転寿司業界への不信感が高まる不運も。が、当社はもともと抗菌寿司カバーを採用していたこともあって相対的に影響は軽微であった。

■財務体質
やや低下気味だが、良好。IFRS国際会計基準の変更によって貸借対照表に表れていなかったリース債務が可視化されたことで見た目の自己資本比率は低下傾向。外食業界トップレベルとまでは言えないが、規模拡大を急ぎつつも一定の財務健全性はしっかりと維持している。

■ビジネス動向
国内店舗数はスシローに続く2番手だが、海外店舗数においては同社を圧倒して先行。国内店舗数は人口減少もあって成長が頭打ちとなるため、海外展開で更なる成長を目指す。日本食ブームもあって海外展開の素地は整っており、どこまで現地に受け入れられるかを試す状況。

就職格付け:EE

■給与水準
平均年収は499万円と外食大手としては中庸な水準だが、これは従業員の平均勤続年数が短いことで従業員の年齢構成が若いことも理由。完全実力主義を標榜しており、店長クラス以上は店舗業績に応じて給与水準が変動。年功序列による温情昇給は一切ない。

■福利厚生
社是の実力主義により、店長以上になると固定残業制(45時間/月)でボーナスなしが基本。総合職でも転勤を最小限に留める配慮があり単身赴任者は社員数の1%前後。2023年は新卒だけで100人~200人を採用しており、超大量採用も特徴。

■キャリア
入社後は店舗に配属され、店舗オペレーションの基礎を学ぶ。総合職なら3年目以降に店長へと順次昇進して、一店舗の責任者に。その後は、本社部署へ異動してスーパーバイザーやスペシャリストへと昇進してマネジメント側へと進むのがロールモデル。

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出典:くら寿司株式会社(有価証券報告書)