企業概要
UACJは、アルミニウム板製品・箔製品・押出製品・鋳物鍛造製品などを製造する古河グループの非鉄金属メーカー。2003年に古河電気工業が軽金属部門を分社化、古河スカイとして独立。2013年には住友グループの住友軽金属工業と合併したうえで、現社名・UACJへと社名変更。現在ではアルミニウム分野で国内シェア50%以上を掌握するトップ企業。アルミニウム生産能力は年間100万トン以上であり、世界的にも上位級のアルミニウム企業となっている。
・古河Gのアルミニウム専業メーカー、アルミニウム分野で断トツ首位
・売上高は地金高騰で増加するも利益は伸び悩む、財務体質は普通
・平均年収684万円、福利厚生は独身寮と借上げ社宅が手厚い
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:62(中堅上位)
大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:やや難関
総合職の採用実績は年間20名~40名と控えめだが、うち大学院卒の採用数が20名~30名を占める。ニッチトップ企業かつ採用数自体が少ないために、入社する難易度はそれなりに高い。
採用大学:【国公立】名古屋大学・金沢大学・静岡大学・秋田大学・小樽商科大学・長岡技術科学大学など、【私立】明治大学・青山学院大学・東京理科大学・工学院大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
UACJの売上高は、2020年まで5,600億〜6,600億円ほどで推移していたが、同年以降は急増*1。2022年には売上高9,557億円に到達している。営業利益は2021年のみ595億円まで上振れた*2が、同年を除けば110億〜300億円ほどで推移。
*1:2021年から売上高が増加している理由は、①世界的な原材料価格高騰による販売価格の上昇、②自動車や空調機器におけるアルミニウム需要の増加、③為替レートの円安推移による為替効果、など。
*2:2021年に営業利益が急増した理由は、①世界的な原材料価格高騰により当社の保有するアルミニウム在庫の棚卸評価額が急増した点、②自動車メーカーの新車生産台数の回復による需要増加、など。
✔セグメント別の状況
UACJは、アルミニウム製品事業(アルミニウム板製品・箔製品・押出製品・鋳物鍛造製品、自動車部品・航空機部品・コンプレッサホイールなど)のみの単一事業会社である。
当社はアルミニウム分野において国内シェア50%を掌握するトップ企業。当社が製造したアルミニウム製品は、自動車・航空機・鉄道車両・飲料缶など多種多様な製品に用いられている。海外進出も進んでおり、現在では海外売上高比率は約40%に達している。
✔最終利益と利益率
UACJの純利益は、好調時には100億円を超えるものの、不調時には損益ギリギリにまで後退する傾向。過去8年間では、2021年に純利益320億円に到達した一方で、2020年・2022年には純損失に転落。営業利益率は2021年を除けば1%〜4%で推移しており、それほど高くはない水準に留まる。
✔自己資本比率と純資産
UACJの自己資本比率は、2020年から改善傾向にあるが、直近でも30.3%と高くはない。純資産は2020年まで横ばいであったが、同年からは右肩上がりで増加しており、直近の2023年には3,020億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
UACJの平均年収は、過去8年間に渡って650万〜720万円ほどで横ばい。総合職の場合、30歳で年収450万〜530万円、課長職レベルで年収900万~1,100万円が目安。平均年齢は直近で41歳と大企業の標準的な水準。
✔従業員数と勤続年数
UACJの単体従業員数は、長期的に微増傾向が続いている。直近の2023年は2,900人ほどの組織規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.04万人ほど。平均勤続年数は直近で16.3年と、大企業の標準的水準。
総合評価
企業格付け:CC
アルミニウム分野において国内シェアの半分以上を掌握するトップ企業。当社が製造したアルミニウムは多種多様な分野に使われており、最も身近な製品としてはアルミ飲料缶もまた当社製造のアルミニウムがよく使用されている。業績における当社の特徴は、世界のアルミニウム地金相場に左右されやすい点。昨今の世界的な地金価格の高騰によって売上高は増加傾向にあり、2022年には売上高9,557億円に到達。他方で、COVID-19感染拡大により世界的に経済活動が停滞した2020年には売上高5,697億円まで後退しており、良くも悪くも浮き沈みはある。利益については必ずしも売上高の増減と一致せず、2021年には一過性の要因で大幅増益を記録した一方で2020年・2022年には小幅ながらも最終赤字となっている。こうした外部環境に業績を左右されやすい傾向は金属業界における特徴そのものであり、製鉄メーカーなどにも見られる傾向である。財務体質においては直近でも自己資本比率30.3%と高くはなく、特筆して評価すべき点は見られない。
就職格付け:CC
古河電気工業から分離独立して設立されたアルミニウムメーカー。BtoBの素材メーカーだけあって一般知名度は低いが、東海道新幹線の車内電光掲示板への広告を長らく継続していることから、東海道新幹線のヘビーユーザーにはよく知られている。給与水準はかつての母体である古河電気工業とそれほど大差はないが、当社は平均年収700万円を超えたのが2021年しかない一方で古河電気工業は平均年収700万円を超える年も多々ある。参考値としては、総合職・30歳で年収450万〜530万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,100万円には達する。福利厚生は家賃補助制度こそないものの独身寮・借上げ社宅が充実しており、若手社員であれば月額1万円程度の自己負担で独身寮へ入れる。結婚後についても借上げ社宅制度が適用され、家賃が月額8万円までの物件であれば30%の自己負担で生活できる。こうした平均年収に含まれない福利厚生を含めれば、実質的な待遇として平均年収+50万円以上は見ても良いだろう。