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【勝ち組?】NTTドコモの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

NTTドコモは、NTTグループのモバイル通信会社。1991年に日本電信電話からモバイル通信事業を分離して設立。1999年には世界初となる携帯電話インターネット接続『iモード』を開始。平成時代を通して世界最先端となる携帯電話向けインターネットサービスを提供し続けた。スマートフォンの普及によってモバイル通信の重要性が拡大した現在では、携帯電話契約数は8,800万回線以上で国内シェア約35%を掌握。2020年にNTTが株式公開買い付けによって全株式を取得、上場廃止となった。

POINT

・NTTグループのモバイル通信会社、2020年に上場廃止され完全子会社化
・売上高は超安定かつ巨額利益を安定して稼ぐ、財務体質も極めて健全
・大卒総合職・30歳で年収700万〜800万円、福利厚生が制度改定で縮小

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:73(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用人数は年間200人〜300人と多めだが、NTTグループ屈指の人気を誇る企業であるため入社難易度は高い。安定企業ゆえに不景気になると人気度は更に高まる。
採用大学:【国公立】東京工業大学・大阪大学・名古屋大学・北海道大学・神戸大学・電気通信大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・東京理科大学など(出典:大学通信ONLINE

業績動向

✔営業収益と営業利益

NTTドコモの売上高は2019年まで4.6兆~4.8兆円レベルでの横ばいが続いていたが、2020年から5.8兆円~6.1兆円レベルへと増加*1。営業利益は8,500億円~1.1兆円レベルで推移しており、景気の波にも左右されず極めて安定している。

✔セグメント別の状況

NTTドコモは、コンシューマー通信事業(個人向け5G・LTE等モバイル通信サービス、光ブロードバンド回線、モバイル通信端末販売など)、法人事業(法人向け通信サービス・オフィスリンク・ドコモビジネスなど)、スマートライフ事業(金融決済サービス、動画・音楽・電子書籍配信サービス、ケータイ補償サービスなど)、の3事業を有する。
当社はNTT法に基づきNTTグループの移動体通信事業者としてモバイル通信・国際通信サービスなどを展開する。最大の稼ぎ頭は個人向けモバイル通信だが、法人事業も売上高・利益の約30%を占める他、スマートライフ事業も売上高・利益の約17%を占める。

✔最終利益と利益率

NTTドコモの純利益は5,900億~7,000億円で極めて安定的に推移している。営業利益率は18%~20%台の高水準で安定しており、高い利益率を安定的に確保できている。名実ともにNTTグループにとって最大の稼ぎ頭となっている事業会社である。

✔自己資本比率と純資産

NTTドコモの自己資本比率は60%〜70%レベルで長期的に推移しており、安定した利益水準を加味すれば倒産リスクとはまったく無縁な財務体質であろう。純資産も増加傾向にあり、2021年からは6兆円レベルで安定。巨額の純資産を確保できている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

NTTドコモの平均年収・平均年齢は非公開。大卒総合職は30歳で年収700万〜800万円ほど、課長職レベルで1,100万〜1,300万円ほどと推定。2023年からは「専門性を軸とした人事給与制度への見直し」が実施され、年功序列色の緩和が試みられている*1。
*1:昇格に必要となる年次・年数要件が廃止され、専門性に基づく昇給・昇格が設定。制度設計上は年功序列が薄められることとなった(参考リンク)。

✔従業員数と勤続年数

NTTドコモの単体従業員数は8,900人ほど。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は5.1万人となっている。2022年からはNTTグループ中核5社の一角であるNTTコミュニケーションズ(連結従業員数1.16万人)が当社子会社となったことで、組織規模が更に巨大化している。

総合評価

企業格付け:AAA

NTTグループにおいてモバイル通信を所轄する企業であり、最大の稼ぎ頭にして成長性にも恵まれる企業。2010年代からの爆発的なスマートデバイスの普及によってモバイル通信の重要性はかつてなく高まっており、自動車・腕時計・船舶・ドローンに至るまでモバイル通信を活用する現在では将来的なビジネス拡大も大いに期待できるだろう。業績も卓越しており、売上高6兆円という規模もさることながら、営業利益1兆円超を安定的に稼ぎ出す利益創出力は圧巻。インフラ業界の雄として名高いJR東海すら営業利益6,000億円レベルであることを思えば、凄まじい利益創出力の一言に尽きる。が、この利益創出力が災いして2020年には持株会社・NTTが当社株式を全株取得して上場廃止となり、現在ではNTTグループの事業会社としての性格が強くなっており独立色は希薄化してしまった(後述する待遇悪化もこの影響)。上場廃止前と異なり、現在のNTTドコモは低採算部門も抱えるNTTグループ全体を支えていく必要性が増しており、この卓越した利益創出力をグループ全体に還元しなければならない立場となっている。

就職格付け:AA

言わずと知れたNTTグループの最優良企業であり、就職人気ランキング上位常連。給与水準は大卒総合職は30歳で年収700万〜800万円ほど、課長職レベルで1,100万〜1,300万円ほど。福利厚生においては借上げ社宅制度・家賃補助制度では自己負担1万円レベルで都内で生活拠点を得ることができる…が、支給期間が35歳までに制度改定されてしまったことで、かつてほどの旨味はなくなりつつある模様(2020年に上場廃止して持株会社・NTTの完全子会社とされたことも制度改定の遠因である)。とはいえ優良企業であることは疑いの余地がないのだが、就職を考える上での最大の課題は「入社難易度の割には待遇は傑出していない」点にあるだろう。超人気企業ゆえ入社難易度が極めて高い割には30歳でも年収700万〜800万円ほど。外資系コンサル会社や大手金融企業であれば同年代で年収1,000万円を超えることを思えば(当社に入社できるハイポテンシャル人材には)微妙な待遇。安定した終身雇用を切望する場合には優良企業である一方で、都内でハイステイタスな暮らしを謳歌できる程の待遇にないことはあらかじめ理解しておきたい。

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出典:株式会社NTTドコモ(IR情報)