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海運

【勝ち組?】NSユナイテッド海運の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

NSユナイテッド海運は、日本製鉄グループに属する中堅海運会社。戦後の財閥解体をうけて1950年に日本製鐵の海運部門が分離独立して創業。1962年に同業の東邦海運と合併、2010年に同業の日鉄海運との合併を機に現社名へと社名変更。創業以来、日本製鉄をはじめとする鉄鋼会社との取引が中心であるため、鉄鉱石・石炭などを輸送する撒積船を船隊の主力とする。2019年には日本初となる40万トン級の鉱石運搬船を就役させた。日本製鉄グループに属しながらも、第2位の大株主が日本郵船との関係も深い。

POINT

・日本製鉄G・日本郵船Gに属する中堅海運会社、ばら積み船が主力
・売上高・利益いずれも2021年から急増傾向、財務体質も大いに健全化
・平常時は平均年収880万円前後だが、業績好調なら1,000万円を優に超える

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:68(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用人数は年間5人前後のみと、門戸は極めて狭い。一般知名度は極めて低いが、海運業界では数少ない上場企業ということもありハイレベル大学からの採用が多い。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・九州大学・北海道大学・神戸大学・東京外国語大学・東京海洋大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・明治大学・法政大学・獨協大学・国際基督教大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

NSユナイテッド海運の売上高は2020年まで1,250億~1,510億円のレンジで推移していたが、同年以降は売上高が急増*1。2022年には過去最高となる売上高2,508億円に到達。営業利益も2020年まで65億~80億円で安定していたが、2022年には過去最高となる324億円に到達*2。
*1:海運業界は極めて市況変動が激しい業界であり、市況高騰と低迷を歴史的に繰り返している特徴がある。2020年以降には歴史的な海運バブルが10年ぶりに到来、海運各社は大幅な増収増益を遂げた。
*2:2021年はCOVID-19感染拡大によるサプライチェーンの混乱で海運市況が大幅高騰。当社が主力とするばら積み船の運賃も市況改善。大口顧客の日本製鉄の業績好転も追い風に。

✔セグメント別の状況

NSユナイテッド海運は外航海運事業(ばら積み船による鉄鉱石・石炭・鉄鋼製品の輸送、タンカーによるLPG輸送、船舶貸渡など)、内航海運事業(国内水域でのばら積み船による鉄鉱石・石炭・鉄鋼製品の輸送、国内水域でのタンカーによるLPG輸送)の2事業を有する。
当社は外航海運・内航海運いずれも手掛けるが、売上高の約87%を外航海運事業で稼いでいる。外航海運事業の運航船舶127隻のうち80隻前後をばら積み船が占めており、鉄鉱石・石炭などの輸送を主力としている。日本製鉄などの大口顧客との長期輸送契約を安定的な収益源としつつ、運賃市況が高騰した際にはスポット契約での受注を得ている。

✔最終利益と利益率

NSユナイテッド海運の純利益は2020年まで30億~90億円ほどで推移していたが、同年以降は急増。2022年には過去最高となる純利益276億円に到達。営業利益率は平常時であれば4%前後で推移しているが、業績好調時には10%を上回る。

✔自己資本比率と純資産

NSユナイテッド海運の自己資本比率は2020年まで30%台で推移していたが、同年以降は業績好調により増加傾向。直近の2023年には52.2%に到達しており、大いに健全な水準。純資産は増加傾向が続いており、2023年には1,495億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

NSユナイテッド海運の平均年収は850万~900万円前後での推移が続いていたが、2022年・2023年は業績好調により急増。2023年には平均年収1,143万円に到達している。総合職であれば30歳で年収650万~780万円ほど、課長職レベルで年収1,200万~1,500万円ほど。海運市況に業績を大きく左右されるため、給与水準も上下変動が激しい。

✔従業員数と勤続年数

NSユナイテッド海運の単体従業員数は2019年から増加傾向にあり、2023年は234人ほどの組織規模となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は649人ほど。平均勤続年数は直近で13.8年となっており、大企業の標準的な水準を下回る。

総合評価

企業格付け:CCC

日本製鉄グループの中堅海運会社。日系海運会社としては売上高で大手海運3社に続く4位に位置しているが、業界3位の川崎汽船が売上高9,579億円(2023年)であるため圧倒的な差はある。世界の海運市況に業績を大きく左右されやすい海運会社でありながら、業績はそこそこ安定的であり、営業利益・純利益を安定的に確保できている点は海運業界では珍しい。海運大手3社が急激な業績悪化に見舞われた2010年頃の海運大不況期においても、当社は2011年に純損失9億円を計上したのみで耐え凌いだ実績もある。2022年には海運市況の急改善によって当社の業績も急騰、過去最高となる売上高・利益を記録するに至った。財務体質においても健全性は高く、最近の業績好調で自己資本比率52.2%(2023年)まで増加。海運業界は好況・不況が極端に分かれる業界事情があるため、直近数年の業績好調によって財務基盤を強化できたことは将来的な企業存続にとって大きな追い風となるだろう。

就職格付け:B

かつて日本製鉄の海運部門であったが、戦後の財閥解体によって日本製鉄から強制的に分離独立させられた企業。同業の中堅海運会社との合併を経て、現代では再び日本製鉄グループへと回帰している。社名の「NS」は日本製鉄(NIPPON STEEL)の略であると誤解されがちが、実は合併前の日鉄海運と新和海運の頭文字に由来している。給与水準においては平常時でも平均年収880万円台前後と高めであり、業績好調時には平均年収1,000万円を優に越える。海運業自体が平均年収が高いの業界であるため、当社のような業界中堅のポジションであっても他業界の大手並みの給与を得られる。福利厚生は企業規模なりだが、独身寮(東京都世田谷区)と社宅(千葉県内)を格安で利用できる。ただし家賃補助制度はないため、独身寮・社宅から離れた場合には自己負担での生活となるのは要注意。大卒総合職は入社10年以内に約半数が海外駐在を経験する為、海外生活への覚悟は入社にあたってはマストであろう。日系海運会社で第4位に位置するのだが、一般知名度は壊滅的に低いため、ネームバリューが望みがたい点だけは惜しいか。

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出典:NSユナイテッド海運株式会社(有価証券報告書)