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物流

【勝ち組?】NX日本通運の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

NIPPON EXPRESSホールディングスは、陸運・海運・空運をはじめとするロジスティクス全般を主力とする総合物流会社。1937年に戦時下の国策会社として設立、1950年には民営化を果たして総合物流会社として発展。物流業界最大手の一角であり、陸運・海運・空運あらゆる輸送に対応。現在では世界49ヶ国312都市に拠点を置き、グローバル物流ネットワークを構築。2021年に持株会社体制へ移行、NIPPON EXPRESSホールディングスを新設。NX商事・NX情報システムをはじめとする中核企業を傘下に収めた。

POINT

・物流業界の最大手の一角、世界シェア上位10社に数えられる元国策企業
・売上高・利益いずれも安定的、財務体質は凡庸な水準だが問題はない
・総合職の30歳で450万~530万円ほど、福利厚生もそれなりに充実

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:62(中堅上位)

大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中難易度

総合職の採用数は年間200人~230人とかなり多め。物流業界の不人気もあって、業界トップ企業ながら倍率は高まりにくい。中堅大学からの採用実績も豊富であり、学歴に囚われずに業界トップ企業へ入れる可能性が開かれている。かなりの穴場企業。
採用大学:【国公立】神戸大学・金沢大学・岡山大学・宇都宮大学・熊本県立大学・福知山公立大学など、【私立】早稲田大学・立命館大学・日本大学・成城大学・中京大学・江戸川大学・流通経済大学・産業能率大学・桃山学院大学・武蔵野大学・名古屋商科大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

NIPPON EXPRESSホールディングスの売上高は2021年まで1.8兆~2.1兆円レベルで推移していたが、2022年に2.61兆円まで急増*1。営業利益は500億∼700億円レベルで長期的に推移しているが、2022年のみ1,555億円まで急増*2。
*1:2022年に売上高が急増した理由は、①COVID-19影響が緩和したことによる輸送需要の反動増、②国際輸送における航空・海上輸送量の増加による増収、③為替レートの円安推移による為替効果、など。
*2:2022年の営業利益が急増した理由は、①国際貨物輸送の数量増による増益、②米州・欧州地域における運賃単価の高止まり、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

NIPPON EXPRESSホールディングスは日本事業(ロジスティクス全般:鉄道・自動車・船舶輸送、倉庫・流通加工、引越・移転など)、米州事業(米州におけるロジスティクス全般)、欧州事業(欧州におけるロジスティクス全般)、東アジア事業(東アジアにおけるロジスティクス全般)、オセアニア事業(オセアニアにおけるロジスティクス全般)、警備輸送事業、重量品建設事業、物流サポート事業(石油販売・不動産・梱包資材・保険代理店など)の8事業を有する。
当社は世界49ヶ国312都市に拠点を置くグローバル総合物流会社であり、物流業界では売上高において世界上位10社に食い込む。が、売上高の約51%は日本事業に依存している他、利益においても日本事業が約47%を占めている。

✔最終利益と利益率

NIPPON EXPRESSホールディングスの純利益は2017年・2019年には低迷が見られた他、2022年のみ1,083億円まで急増。ただし、同年を除けば360億~560億円ほどで長期的に推移している。営業利益率は3~5%ほどで推移しており、物流業としては標準的な水準。

✔自己資本比率と純資産

NIPPON EXPRESSホールディングスの自己資本比率は長年に渡って35%~39%ほどで推移している。大手企業としては高くも低くもない普通の水準。純資産は2020年から増加傾向にあり、直近では純資産8,178億円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

NIPPON EXPRESSホールディングスの平均年収は2021年まで560万~610万円で推移していたが、同年以降は急増。直近では平均年収937万円に到達しているが、2022年に持株会社制へ移行しているため参考にならない*3。実際には、総合職の30歳で450万~530万円、課長クラスで850万~1,000万円ほどが目安。
*3:2022年以降は持株会社の従業員のみで平均年収・平均勤続年数が算出されている。持株会社は現業職の社員が含まれず、本社勤務の総合職が殆どであるため平均年収が上がりやすくなる。

✔従業員数と勤続年数

NIPPON EXPRESSホールディングスの単体従業員数は3.2万~3.5万人で推移していたが、2022年に持株会社制へ移行したことで急減少。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7.44万人ほど。平均勤続年数は16年~18年前後で推移していたが、2022年に持株会社制へ移行したことで急増。

総合評価

企業格付け:B

物流業界における最大手の一角。日系物流会社としては日本郵船グループと並び最大規模を誇り、世界においても上位10社に数えられる物流会社。さすがに世界大手3社(UPS・DHL・Fedex)には遠く及ばないが、世界的にも名の知れた存在である。陸運・海運・空運あらゆる輸送モードでの輸送ができる総合物流会社であり、あらゆる顧客の輸送ニーズを満たすことができる稀有な企業。業績は売上高・利益いずれも安定的な傾向が強め。物流は人類の経済活動にとって不可欠のインフラである為、景気動向に関わらず一定の需要はあることが強み。財務体質は自己資本比率30%台と高くも低くもない水準だが、安定的な利益創出力を考えれば特段の問題はない水準だろう。最大の課題はグローバルを標榜しながら依然として海外売上高比率が半分ほどのドメスティック企業であること。将来的な人口減少を見据えた海外展開の加速を急いでおり、2021年には持株会社制への移行と”NIPPON EXPRESS”ブランドへ移行。2024年には豪カーゴ・パートナーを買収(参考リンク)、海外展開の加速に不退転の決意を示す。

就職格付け:CC

■総合職
元国策企業にして物流業界における最大手の一角。連結従業員数が7万人を超える巨大組織であり、国内47都道府県に約2,300拠点を張り巡らせている。給与水準は持株会社制への移行により平均年収937万円(2023年)に到達したが、これは持株会社に勤務している総合職だけで算出された平均年収であり参考にならない。実際には2021年までの平均年収560万~610万円の方が実態に近い。総合職の場合、30歳で500万~600万円、課長クラスで900万~1,050万円ほどが目安となるだろう。福利厚生は大手企業なりの制度が整っており、全国転勤ありの総合職であれば家賃補助・借上げ社宅制度によって家賃額の自己負担は約30%程度で済む。2020年から有給休暇の取得日数を増やすことにも力を入れており、直近の平均有給休暇取得日数は17.1日(2023年)と以前と比べると働く環境の改善が進んでいると評価できる(参考リンク

■エリア事務職
当社は各地方支店において転勤なしを前提に採用されるエリア事務職を採用している。日本全国を網羅する物流会社ゆえに全都道府県に拠点を有しており、過疎地域においても採用活動を実施している。有力企業がない地方社会においては、当社のエリア事務職は、”日本を代表する企業の事務職”という卓越したステータスを転勤なしで手に入れられる採用枠である。是非着目して欲しい。

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出典:NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社(有価証券報告書)