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【勝ち組?】DNPの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

DNP(正式表記:大日本印刷)は、印刷・電子部品・包装材・ITソリューションなどを展開する総合印刷会社。1876年に活版印刷会社として創業、明治時代に日本初の洋装本を手掛けるなど印刷業界を牽引してきた。終戦直後から非印刷分野への多角化に邁進、紙器・軟包装・建材など事業多角化を果たした。1980年代には情報通信分野へも参入、ICカードや液晶ディスプレイカラーフィルターなども手がけた。現在においても同業の凸版印刷と双璧をなす世界最大級の大手印刷会社として君臨。

POINT

・世界最大級の印刷会社、非印刷分野における事業多角化が進展
・売上高は横ばいだが利益は増加傾向、財務体質は堅実
・平均年収804万円と印刷業界トップレベル、福利厚生も大手企業なり

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:66(中堅上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用人数は年間150人~200人と門戸はそこそこ広い。事務系採用は年間70名前後・技術系は100名前後と文系採用枠も多め。総合職の出身大学も幅広く、特定大学には集中していない。
採用大学:【国公立】京都大学・横浜国立大学・千葉大学・電気通信大学・静岡大学・熊本大学・岡山県立大学・奈良女子大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・中央大学・立教大学・学習院大学・東京理科大学・関西学院大学など(出典:マイナビ2025

業績動向

✔売上高と営業利益

DNPの売上高は長年に渡って1.4兆円前後での横ばい推移が続いている。営業利益は増加傾向にあり、過去8年間で314億円(2016年)から754億円まで増加を遂げた*1。
*1:営業利益が堅調に増加している理由は、エレクトロニクス事業の利益拡大が主要因。世界的な半導体需要の伸長により半導体製造用フォトマスクが利益を伸ばしている他、ディスプレイ関連製品も出荷量が増加。

✔セグメント別の状況

DNPは、スマートコミュニケーション事業(出版・写真プリント部材・情報セキュア・BPO・マーケティング・コンテンツ制作・教育ソリューションなど)、ライフ&ヘルスケア事業(包装資材・建材・医薬品製造・住宅用内外装化粧材・電気自動車向バッテリーパウチなど)、エレクトロニクス事業(半導体製造用フォトマスク・有機ELディスプレイ製造用メタルマスクなど)、の3事業を有する。
当社は印刷会社として発展したものの、1960年台から事業多角化を推進してきたことで、印刷事業に依存しない事業ポートフォリオの構築に成功。現在では全社利益の約60%をエレクトロニクス事業が支えるまでに至っている。

✔最終利益と利益率

DNPの純利益は2018年に純損失356億円*2を計上したが、2021年以降は900億〜1,100億円ほどで推移している。営業利益率も長期的な改善傾向にあり、2016年の2%台から直近では5%台まで増加を遂げている。
*2:2018年の純損失転落は、住宅向け壁紙製品の不具合への補修費用として特別損失535億円を計上したことが主要因(参考リンク)。

✔自己資本比率と純資産

DNPの自己資本比率は長期的に50%〜60%ほどで安定しており、負債に依存しすぎない事業運営に成功している。純資産は2019年に一時減少したが、2020年以降は1.0兆〜1.2兆円で安定。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

DNPの平均年収は緩やかな増加傾向が続いており、直近では804万円に到達。総合職の場合、30歳で年収600万~700万円、課長職レベルで年収950万~1050万円が目安。平均年齢は直近で44.2歳と、大企業としては平均的な水準。

✔従業員数と勤続年数

DNPの単体従業員数は緩やかな減少傾向にあり、直近では0.95万人レベル。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3.69万人ほど。平均勤続年数は直近で20.3年と従業員の定着は良好。

総合評価

企業格付け:BB

TOPPANグループと双璧を為す印刷会社にして、現在ではIT・教育・出版・建材・電子材料など事業多角化が進んだ企業。斜陽産業のイメージが強い印刷業界であるが、当社はエレクトロニクス事業の成功によって2016年頃から増益傾向が継続中。売上高こそ1.4兆円レベルで横ばいであるものの、非印刷事業の堅調によって印刷業の衰退を打ち払って事業規模を維持できている。財務体質においては自己資本比率50%以上をキッチリと確保できており負債に依存しすぎない事業運営を志向している。長年のライバルであるTOPPANグループ(売上高1.68兆円)と比較すると売上高・利益がやや当社が後塵を拝する状況にあったが、2022年・2023年においては営業利益・純利益において当社がリードする状況。いずれにせよ僅差であるため、絶対的な差があるわけではまったくない。

就職格付け:BB

世界トップクラスの巨大印刷会社であり、就職人気ランキングにおいて今なお上位陣に食い込む人気企業。平均年収は過去8年間に渡って増加傾向にあり、直近では804万円に到達している。30歳で年収600万~700万円、課長職レベルで年収950万~1050万円が目安。真っ先に比較されるTOPPANグループに対しては平均年収706万円と、当社が100万円ほどの差をつけてリードしており差はかなり大きい。福利厚生も日系大手企業なりの制度が整っており、若手社員向けの独身寮や転勤者用の社宅によって住宅コストを抑制できる。2019年頃からは人事制度改革にも熱心であり、①週半分以上を在宅勤務とすることができるリモートワーク制度(参考リンク)、②特定スキルに特化したキャリアを選べる専門職コースの創設、③60歳~65歳の間で好きなタイミングで定年退職ができる選択定年制(参考リンク)、などが次々と誕生している。

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出典:大日本印刷株式会社(有価証券報告書)