企業概要
Amazonは、アメリカに本社を置くインターネット小売・IT会社。1993年にジェフ・ベゾスがインターネット書籍販売会社として設立、2000年代以降には非書籍分野にも商材を拡大していきインターネット小売(EC)分野の巨人へと成長。2006年にはクラウドサービス「AMS」を開始、卓越したサービス性によってクラウド市場においてシェア首位を掌握するに至った。現在では北米・欧州・日本などでECシェア首位級に君臨、時価総額において世界シェア上位5社に数えられる。
・ECサービス・クラウド領域で世界首位の巨大テック企業、アメリカ地盤
・売上高・利益いずれも急増傾向で規模拡大を優先、財務体質は普通
・30歳L5クラスで年収880万~1,100万円、終身雇用は望み薄
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:75(最高峰)
サラリーマンとしては最高峰クラスの勝ち組。今や西側諸国を席巻するIT企業の一角として君臨しており、給与水準・キャリア価値いずれも卓越。一般知名度も抜群であり、隙がない。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関上位級
総合職:米国本社の採用方針によって採用数が大きく変動するため、大量採用の年度もあれば採用縮小の年度もある。中途採用枠が多い為に必ずしも新卒入社にこだわる必要はない。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・東京工業大学・大阪大学・名古屋大学・九州大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・明治大学・立教大学など(出典:大学通信ONLINE)
業績動向
✔売上高と営業利益
Amazonの売上高は長期的な増加傾向が継続しており、直近では5,747億ドルに到達。営業利益は売上高ほどの増加ペースにはないが、直近の2023年には368億ドルにまで増加*1。
*1:2023年に増益となった理由は、①北米地域における堅調な消費意欲によるEC販売の好調、②先行投資が嵩む非北米地域における先行投資による赤字幅縮小、③最大の利益源となっているAWS事業の利益拡大、など(参考リンク)。
✔セグメント別の状況
Amazonは、北米部門(北米地域におけるインターネット小売サービス、小売店舗「ホールフーズ」、物流サービス、サブスクリプションサービスなど)、国際部門(欧州・日本・インド・シンガポール・トルコ・アラブ首長国連邦・オーストラリア・ブラジル・メキシコにおける事業展開)、AWS部門(Amazon Web Servicesによるクラウドコンピューティングサービスなど)、の3部門を有する。
当社は世界最大級のインターネット小売会社であるが、売上高の多くは北米地域に依存。欧州・日本でも強大な勢力を誇るが、売上高・利益における貢献はそれほど大きくはない。最大の利益の源泉はクラウドサービス「AWS」であり、インターネット小売サービスの利益率はそれほど大きくはない。
✔最終利益と利益率
Amazonの純利益は2021年の333億ドルをピークに停滞傾向。2022年には純損失27億ドル*2に転落後、直近の2023年には純利益304億ドルまで回復した状況。営業利益率は2%~5%ほどでの推移が定着しており、世間が思うほど高利益率でもない*3。
*2:2022年に純損失に転落した要因は、①当社が出資しているEVメーカー「リビアン」の株価低迷による評価損128億ドルの計上、②リアル店舗の「Amazon Go」や「Amazon books」などの不振による閉鎖、③地盤の北米市場における歴史的な物価上昇による消費意欲の低下、などが要因。
*3:当社は目先の利益を追わずに長期的な成長と顧客満足の追求を社是とする。常に巨額の先行投資を継続しているため利益は伸びないが、その甲斐あって世界トップクラスの巨大企業へと成長した。
✔自己資本比率と純資産
Amazonの自己資本比率は増加傾向が継続しており、直近では38.2%。純資産も急激な増加傾向が続いており、直近では2,018億ドルに到達。過去7年間で7倍以上に増加を遂げており、純資産の拡大が際立っている。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
Amazonの平均年収は非公開。総合職の場合、新卒L4レベル(担当者クラス)で年棒420万~600万円ほど、L5レベル(主任クラス)で年収880万~1,100万円に達する。L6(マネージャークラス)で年収1,300万~1,500万円が目安。
[日本法人の個別データは非公開]
✔従業員数と勤続年数
Amazonの従業員数はグローバルで152万人(2023年)レベルとなっており、テック企業としては断トツ首位級人員規模を擁している。日本法人における従業員数は1.5万人ほどと推定される。日本法人における平均勤続年数は非公開。
[日本法人の個別データは非公開]
総合評価
企業格付け:SSS
世界首位のECサービス会社として君臨する巨大物流企業、しかしその本質はECサービスを通じて培ったクラウドコンピューティングを中核とするビッグテック企業でもある。創業者ジェフ・ベゾスの絶対的な顧客主義と長期的視点からなる企業哲学は「ベゾノミクス」とも評価されており、独特のビジネスモデルによって競合他社を圧倒してきた歴史を持つ。ECサービスの普及とクラウドサービスの成長を追い風に売上高は右肩上がりの成長傾向が継続、利益は今なお安定しないが短期的利益を度外視して将来の成長を優先するビジネスモデルゆえ。
就職格付け:AAA
世界的ビッグテックたるGAFAの一角として2020年代に君臨するグローバル巨大企業。GAFAのなかでは日本法人の規模が最大かつ拠点数も多く、ECサービスを利用する日本人の多くにとって必要不可欠な存在として認知される。給与水準はジョブレベルによって規定され、主任クラスに相当するL5レベルで年収880万~1,100万円に達する。ジョブレベルを上げない限りは年収も上がらないが、ジョブレベルが上がるに連れて累進的に給与が伸びる。RSU(株式報酬)かあり、上記年収とは別枠で当社株式が付与されるため古株社員のなかには当社株価の上昇によってひと財産を築いた者も多い。が、徹底した実力主義により成績下位5%は毎年リストラの対象となるほか、米国本社の方針により大量リストラされる年もある。仮にリストラされたとしても履歴書の箔づけにはなるため、まずはチャレンジしてみるのも一興だろう。
出典:Amazon.com, Inc.(Investor Relations)