本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
ノーリツは、給湯器・温水暖房機器・厨房機器を主力とする住宅設備メーカー。1951年に太田敏郎が兵庫県神戸市で風呂釜メーカーとして創業し、当初は冷めにくいタイル風呂『能率風呂』を製造した。1961年にはアルミ製ガス風呂釜を投入し、家庭用燃料が薪・石炭からガスへ移行する流れを捉えて成長。1977年には室内からリモコン操作できるガス瞬間貯湯式給湯器『ユービック』、1979年には給湯と追いだきを一体化したふろ給湯器『ユラージ』を発売した。1993年には中国へ進出し、その後は米国・欧州・東南アジアなどへ海外事業を拡大。1995年の阪神・淡路大震災では神戸市の本社ビルが倒壊する被害を受けたが、事業基盤を再建した。2001年には厨房機器に強いハーマンと提携し、ガスコンロやレンジフードを持つ住宅設備メーカーへ領域を広げた。現在では給湯機器の国内シェアは約40%に達し、リンナイと並ぶ業界トップシェアを誇る。海外17ヵ国で事業展開するグローバル企業でもある。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:60(中堅)
給湯器分野において高い一般知名度を誇る企業。業績は成長性こそ頭打ちだが、利益体質の安定性はかなり高い。給与水準は住宅設備メーカーとして中庸な水準を得ることができる。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用数は年間25名~40名ほど。本社が兵庫県神戸市ゆえに関西地方の出身者が多い。住宅設備メーカーとしては知名度が高いが、選考倍率はそれほど高倍率にはならない。
採用大学:【国公立】広島大学・岐阜大学・福井大学・富山大学・山口大学・大阪公立大学・広島市立大学・兵庫県立大学など、【私立】青山学院大学・立教大学・法政大学・立命館大学・日本大学・東洋大学・亜細亜大学・東京電機大学・大阪工業大学・大阪電気通信大学など(出典:マイナビ2028)
業績動向
✔売上高と営業利益
ノーリツの売上高は2020年・2021年のみ下落*1したが、同年を除けば2,000億〜2,100億円ほどで推移している。営業利益は2013年に過去最高となる96億円を記録したが、過去8年間は25億〜68億円ほどで推移している*2。景気後退局面にも営業利益を着実に確保することができている。
*1:2020年・2021年に売上高が下落した理由は不採算事業となっていた住宅システム事業からの撤退。一時的に売上高を落としたが、2022年には給湯器分野の業績回復によって売上高2,000億円規模に回帰した。
*2:当社の売上高・営業利益が伸び悩む理由は、①日本国内の住宅建設数の減少による新設需要の伸び悩み、②給湯器の長寿命化による買替え頻度の低下、③海外市場における競争激化、④原材料費・人件費の増加によるコスト上昇、など。
✔セグメント別の状況
ノーリツは、温水空調事業(給湯機器・温水暖房機器・ガスファンヒーター・燃料電池用貯湯タンク・太陽熱温水器)、厨房機器事業(ガスコンロ・オーブンレンジ・レンジフードなどの製造販売など)、その他事業(アフターサービス・給湯器リサイクルなど)、の3事業を有する。
当社の事業領域は、給湯・温水機器を中核として、厨房機器・業務用設備・海外事業を組み合わせることで成立している。主力製品は、ガスふろ給湯器・給湯暖房機・石油給湯機器・ハイブリッド給湯機などの温水機器である。これらの製品は、新築住宅への設置需要に加え、既存住宅における故障・老朽化に伴う交換需要も継続的に発生する。さらに、給湯機器は日常生活に欠かせない設備であるため、景気後退局面でも需要が大きく落ち込みにくい。厨房分野では、ビルトインコンロ・レンジフード・オーブンなどを子会社・ハーマンを通じて展開している。給湯機器と厨房機器は製品としては異なるが、住宅会社・リフォーム業者など同一の営業網を通じて提案しやすい。住宅の新築やリフォーム時に、給湯器とコンロを一括して販売できる点に事業間の相乗効果がある。海外事業は国内市場の成熟を補う成長分野であり、現在では海外売上高比率は約30%以上となっている。かつては住設システム(浴室システムバス・洗面化粧台など)も展開していたが、2020年に撤退している(参考リンク)。
✔最終利益と利益率
ノーリツの純利益は2020年に純損失▲30.1億円に転落*3したが、同年を除けば8億~55億円のレンジで推移している。営業利益率は1%~3%ほどで長期的に推移しており、住宅設備メーカーとしても利益率はそれほど高くない水準に留まる。
*3:2020年に純損失を計上した理由は、構造改革に向けた住設システム事業からの撤退による特別損失85億円の計上が主要因である。
✔自己資本比率と純資産
ノーリツの自己資本比率は53%〜59%で長期的に推移しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。安定した利益体質を考慮すれば、財務健全性は大いに良好である。純資産は2021年まで1,100億〜1,160億円で推移していたが、2025年には1,450億円に上振れしている。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ノーリツの平均年収は長期的に600万〜655万円で推移しており、住宅設備メーカーとしては中庸な水準にある。総合職の場合、30歳で年収520万~600万円ほど、課長職レベルで年収850万~950万円が目安。年功序列色が強いため、給与を上げるためには勤続年数を重ねる必要がある。
✔従業員数と勤続年数
ノーリツの単体従業員は長期的な減少傾向にあり、2025年は1,985人の組織体制となっている。2020年には約500名ほどの急減が起こったが、これは希望退職者の募集が主要因*4。平均勤続年数は18.1年(2025年)と、大企業の標準的水準を上回る。
*4:当社は構造改革の実行のため2020年に45歳以上の正社員を対象に希望退職者を募集。これに従業員789人が応募したことで、単体従業員数が急減した経緯がある。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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