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清水建設の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

清水建設はトンネル・ダム・橋梁・超高層ビル・商業施設などの大規模土木・建設工事を主力とする大手総合建設会社。1804年に清水喜助が創業した大工店を源流とし、江戸時代から横浜・江戸での城郭・奉行所などの建設に従事。1915年には清水組として企業化を果たし、昭和初期には日本の建設業界トップ企業へと上り詰めた。戦後には日本初の原子力発電所である東海原子力発電所の建設工事を遂行した他、原爆ドーム保存工事・東大寺大仏殿修復工事を完工。1970年代以降にはグローバル化を加速させ、現在では世界40ヵ国以上に進出。海外においても日系企業からの受注を中心として建設事業を展開している。

POINT

1.大手スーパーゼネコン5社の一角、売上高では第4位に位置
2.売上高は横這いで利益は低下傾向、財務体質はそこそこ
3.平均年収950~1,010万円、福利厚生は住宅支援が手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

清水建設の売上高は1.4兆~1.9兆円のレンジで推移しており、売上高は安定的*1。営業利益は2020年まで950億~1,300億円ほどで推移していたが、2021年からレンジを割り込んで減益傾向*2。
*1:清水建設の売上高が過去最高を記録したのは1993年に記録した売上高2.36兆円。建築バブル全盛期と比べると売上高はピークアウトしている。
*2:清水建設の営業利益が縮小した原因は、①東京オリンピック終了後の低採算大型工事の増加、②世界的な原材料価格の高騰による建設コスト高騰の価格転嫁の遅れ。東京オリンピック特需の収束直後の建設業界全体で受注を競う状況に陥り、採算の良い工事が減った状況での建設コスト上昇が打撃に。

✔セグメント別の状況

清水建設は、建設事業(ビル・商業施設・物流施設・工場・ホテルなどの建築事業、トンネル・橋梁・ダムなどの土木事業)、不動産開発事業(土地建物の賃貸借、不動産開発マネジメント、設計エンジニアリング、不動産投資助言、私募リートの運営など)、その他の事業(建設資機材の販売・リース、建設機械レンタル、資金貸付事業、北米における事業)の3事業を有する。
清水建設の主力事業は売上高の約73%を占める建設事業だが、不動産開発事業の利益貢献も大きい。不動産開発事業は全社利益の約36%を稼いでおり、同事業は売上高こそ小さいものの最近コスト高に苦しんでいる建設事業の落ち込みをカバーするだけの存在感はある。

✔最終利益と利益率

清水建設の純利益は2020年までは500億~900億円レベルで安定していたが、2021年以降は純利益400億円規模に後退。営業利益率は平常時であれば5~8%ほどの水準を安定的に確保しているが、2021年以降は営業利益率も2~3%に留まる。

✔自己資本比率と純資産

清水建設の自己資本比率は2020年まで上昇傾向が続いたが、2021年以降は減少傾向へと転換。直近の自己資本比率は34.8%であり、財務体質は普通。純資産は右肩上がりの推移が続き、直近の2022年には純資産9,073億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

清水建設の平均年収は950~1010万円前後で安定的に推移しており、直近の2022年の平均年収は971万円。大卒総合職なら30歳前後で年収700~800万円ほどが目安。長時間勤務・単身赴任が多い業界であるため、手当による年収底上げが大きい。

✔従業員数と勤続年数

清水建設の単体従業員数は長年に渡って横ばい推移が続いており、おおよそ1万人規模の組織。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.98万人ほど。平均勤続年数は直近で15.9年と普通であり、大手スーパーゼネコン5社の中では短め。

総合評価

企業格付け:A

超高層ビル・大規模プロジェクトの設計~施工までを遂行する能力を有する大手スーパーゼネコン5社のうちの1社。業績は2019年に1,339億円を記録したが、とりわけ利益の縮小が目立つ状況。東京オリンピックによる建設特需と好景気を追い風として、2016年から2019年にかけて好業績が続いたが、特需剥落後は利益水準が低下。世界的な原材料価格の高騰をうけて建設資材費は高騰一途を辿っているうえ、建設業界は職人不足による人件費の上昇も著しい状況。清水建設が過去最高の業績を記録したのは1993年の売上高2.37兆円・営業利益1,631億円であり、過去30年間に渡って業績は横ばいが続く。現在では同業の鹿島建設の後塵を拝する状況となっており、大手スーパーゼネコン5社のうち売上高では第4位。財務体質は自己資本比率34.8%と大手企業としては標準的な水準だが、こちらは大手スーパーゼネコン5社では最下位である。

就職格付け:A

1804年に清水喜助が創業した同族企業。創業一族である清水家の資産管理会社である清水地所は、清水建設の発行済み株式数の約7.8%を掌握しており現在でも筆頭株主。歴代社長は清水家の出身者が多く、1804年から1966年までの社長は全員が清水家の出身であった。1966年以降は創業家以外のサラリーマン社長が続いており、有能な人材を経営者に登用する社風へと変化している。給与水準は平均年収950万~1,010万円ほど、大卒操業職なら30歳前後で年収750~850万円ほどに到達。業界トップの鹿島建設には劣るものの、建設業界トップクラスの給与水準。ただし、建設業界特有の長時間労働・単身赴任による手当によって給与水準が底上げされている点は否めない。福利厚生は家賃補助制度がないものの、独身者には独身寮・既婚者には社宅が提供される。いずれも2万~5万円/月ほどの自己負担となるため、住宅コストは非常に抑えられる点は魅力。2021年には東大工学部を卒業して入社した若手社員が過労自殺する事件が発生したが、長時間に及ぶ残業が続いていたにも関わらず労働時間削減の目標と板挟みになったことで、勤務時間を過少申告していた。2021年8月頃の残業時間は平均100時間を上回っていたという。

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