カテゴリー
プラントエンジニアリング

東洋エンジニアリングの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

東洋エンジニアリングは、発電所・鉄道・化学プラント・肥料プラント・パイプラインなどを建設する三井グループのプラントエンジニアリング会社。1961年に三井化学工務部が分離独立して設立。設立時に三井物産の出資を受けた経緯から、現在でも三井物産が発行済み株式数の約23%を保有する筆頭株主。世界60カ国以上で数千件の建設プロジェクトを完工した実績を有しており、東南アジア・中近東・ロシア・アフリカにも事業展開。尿素・アンモニア・エチレン技術においてライセンス世界シェア上位級。

POINT

1.プラントエンジニアリング業界3位、発電分野の売上が多い
2.売上高・利益いずれも停滞、財務体質も回復途上
3.平均年収855万円だが海外赴任時は2倍以上にも、駐在社員は特に厚遇

業績動向

✔売上高と営業利益

東洋エンジニアリングの売上高は2016年をピークに減少傾向となっており、2022年には売上高1,929億円まで減少*1。営業利益は2019年からは黒字回復しているが、営業利益20億~50億円ほどに留まる。
*1:2016年の売上高の急増は、大規模プロジェクトの完工売上高が集中計上されたことが要因。が、2017年の業績悪化を経て、事業ポートフォリオの選択と集中を進めたことで売上高は減少。

✔セグメント別の状況

東洋エンジニアリングはEPC事業のみの単一事業会社。EPC事業とはプラント建築プロジェクトを一括請負するエンジニアリング・ビジネスであり、設計Engineering・調達Procurement・工事Constructionの頭文字の略。
東洋エンジニアリングの事業領域は多岐に渡るが、売上高に占める割合が最も大きいのは発電・交通分野である。とりわけ発電領域においては、火力発電所・水力発電所・原子力発電所・バイオマス発電所までを国内外において幅広く受注している。

✔最終利益と利益率

東洋エンジニアリングの純利益は2017年を除けば*2、10億~30億円ほどの水準で安定的。営業利益率はマイナス圏∼3%ほどの水準で推移しており、利益率は高くない状況。
*2:2017年の純損失268億円と巨額損失を計上しているが、これは米国向けエチレンプラントの工事コスト急増が原因。工事遅延の挽回が必要な状況でハリケーン・長雨が続き、大きなコスト増となった。

✔自己資本比率と純資産

東洋エンジニアリングの自己資本比率は2017年の業績悪化で一時的に10%前後まで低下。その後、投資ファンドの支援を受けて自己資本比率は回復傾向だが、依然として20%に満たない低空飛行が続く。純資産も緩やかな回復傾向にあるが、2016年頃の水準には今だ届かず。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

東洋エンジニアリングの平均年収は2018年・2020年を除けば790万~850万円ほど。大卒総合職は30歳前後で年収550万~600万円ほど、課長職レベルで年収850~950万円が目安。が、海外赴任した場合にはハードシップ手当が支給され、給与水準が跳ね上がり、家族の渡航費・教育費もほぼ会社負担。

✔従業員数と勤続年数

東洋エンジニアリングの単体従業員数は微減傾向にあり、直近では970人ほどの組織規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は6,600人ほど。平均勤続年数は直近で16.6年と大手企業の標準的な水準だが、こちらも減少傾向にある。

総合評価

企業格付け:CCC

プラントエンジニアリング業界において、日揮・千代田化工建設と並んで業界御三家と称される企業。業界御三家の中では万年3位の位置づけではあるが、三井物産が筆頭株主の三井グループ企業である。業績は2017年頃の急悪化から回復途上ではあるが利益率は依然として低迷。プラントエンジニアリング業界は浮き沈みの激しい業界ではあるが、再浮上がなかなかできない状況。2017年の業績悪化時には投資ファンド・インテグラルによる第三者割当増資で財務基盤の強化を図ったが、同じく業績悪化に陥った千代田化工建設が三菱商事の救済を受けたのに対して東洋エンジニアリングは筆頭株主の三井物産の支援は得られなかった。そのうえ、第三者割当増資で発行された優先株はインテグラルが希望すれば普通株に転換できる条件付き。優先株が転換された場合にはインテグラルが発行済み株式数の約35%を掌握する筆頭株主になるため、三井物産の東洋エンジニアリングへの情熱は思いのほか薄い。

就職格付け:A

業績こそ冴えないものの、海外志向が強いグローバル人材に根強い人気を誇るプラントエンジニアリング業界の1社。東南アジア・中央アジア・アフリカなどの発展途上国へ赴いてプラントを建築するダイナミズム溢れる事業内容はロマンの塊。一定以上の語学力が求められるのは当然、危険を顧みず過酷な環境にも耐えるタフネスな精神力は必須(同業の日揮ホールディングスでは2013年にアルジェリアに赴任していた社員10人がイスラム過激勢力に襲撃され死亡する衝撃的な事件もあった)。日本勤務時の平均年収は790万~850万円ほどだが、海外赴任時には危険度に応じたハードシップ手当が支給され、手取ベースで2倍以上に跳ね上がることも多々。海外赴任時には家族の交通費がすべて支給されるうえ、子供の教育費用も会社負担(小中学校は全額・高校以上は80%)。海外赴任時には4ヵ月ごとに10日以上の帰国休暇も付与される。危険・不便を顧みずにダイナミックなビジネスに挑める人材には極めて推奨できる企業だろう。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!