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日本証券金融の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

日本証券金融は、貸借取引・資金貸付・信託銀行・賃貸ビルなどを展開する証券金融会社。1927年に短期清算取引の受渡調節の役割を果たすために創業、1950年に証券金融会社として改組。日本国内に唯一現存する証券金融会社であり、東京証券取引所の指定証券金融会社として機能している。現在の主力事業は、①株式投資における信用取引の資金・株券の貸付け(貸借取引業務)、②証券会社向け運転資金・有価証券貸付および個人向け有価証券担保ローン(セキュリティファイナンス業務)、など。

POINT

1.日本唯一の証券金融会社、株式市場の制度信用取引を支えている
2.業績は営業収益・利益いずれも増加傾向、財務体質も問題ない水準
3.平均年収948万円で転勤ほぼなし、ただし日銀・財務省の天下り人事が濃い

業績動向

✔営業収益と経常利益

日本証券金融の営業収益は緩やかな増加傾向にあり、2022年には425億円に到達*1。経常利益も緩やかな増加が続いており、2022年には経常利益63億円まで増加している。
*1:日本証券金融は貸借取引業務を主力とするため、株式投資ブームが起こると業績が伸びやすい。バブル景気全盛期の1990年には営業収益1,722億円・経常利益182億円に到達している。

✔セグメント別の状況

日本証券金融は、証券金融事業(貸借取引、公社債・一般貸付、債券貸借・貸株業務など)、信託銀行事業(日証金信託銀行による有価証券信託・預金・貸出など)、不動産賃貸事業(日本ビルディングによる賃貸事業など)、の2事業を有する。
日本証券金融は営業収益・利益いずれも証券金融事業が大半を占めているため、同事業の好不調によって業績が大きく左右される。証券金融事業は、日本唯一の証券金融会社として貸借取引業務・セキュリティファイナンス業務を展開している(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

日本証券金融の純利益は長年に渡って増加傾向が続いており、直近では純利益59億円まで増加。営業利益率は長期的に15%前後の水準で推移しており、かなり高めの利益率となっている。

✔自己資本比率と純資産

日本証券金融の自己資本比率は長期的に減少傾向が続いており、直近の2022年には1.0%と著しく低い水準にある。しかし、これは負債が広がりやすいビジネスモデルが理由であり財務健全性に問題はない*3。純資産は長年に渡って1,200億~1,400億円前後での横ばい推移。
*3:日本証券金融は顧客から有価証券・貸借担保金などを預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がりやすい。そのため自己資本比率が低くなる特徴がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本証券金融の平均年収は930万〜950万円ほどの水準で安定的。給与水準は金融業界でも上位クラスに位置しており、総合職であれば30歳で780万円~830万円ほど、課長職レベルであれば1,300万~1,500万円に達する。

✔従業員数と勤続年数

日本証券金融の単体従業員数は2015年頃からやや減少気味であり、直近では210人規模の組織体制。平均勤続年数は直近で21.0年と極めて長い。給与水準の高さと勤続年数の長さの両立においては金融業界トップクラス。

総合評価

企業格付け:BBB

現代において唯一現存する証券金融会社であり、貸借取引業務を通じて株式市場における制度信用取引を支えている企業。株式市場における信用取引…といえば「ギャンブル」や「大損」などのイメージが先行するが、それは一側面に過ぎない。信用取引があることで株式市場の取引回数が増え、結果として迅速かつ的確な株価形成と流動性が確保される。日本の金融市場を下支えすることで株式市場、ひいては日本経済の活性化に貢献していると言えるだろう。事業の性質から株式市場の好不調に業績が左右される特徴があるが、直近の2022年においては業績好調。アベノミクス以降の株高局面・投資ブームが追い風となっており、直近8年間においては安定的に業績を伸ばしてきた。1990年代には現状以上の業績を叩き出した時期もあったが、あくまでもバブル景気での過熱した株式投資ブームに支えられた一過性が強い業績好調に過ぎなかった。が、2022年からは投資会社ストラテジック・キャピタルが大株主として現れ、物言う株主からの積極的な株主提案に揺れる側面も(参考リンク)。政策保有株式・役員報酬・天下り問題などあらゆる角度からの株主提案に揺られている状況が続いている。

就職格付け:BBB

一般社会での認知度は壊滅的に低いものの、金融業界において株式市場を制度・インフラ面から支えている知る人ぞ知る企業。企業規模こそ営業収益500億円以下・従業員数200名規模と中堅企業クラスに過ぎないが、事業内容の独占性・競合他社の不在などの事情によって業績は大いに安定的。給与水準も企業規模を思えば相当以上に恵まれており、総合職であれば30代半ばには年収1,000万円付近までほぼ昇格できる。さすがにメガバンクには給与水準で劣るものの、上位地銀クラスであれば大差をつけて引き離せる平均年収はしっかりとある。また、①ノルマに追われるドサ周り営業がない点、②拠点が東京・大阪のみで地方転勤が存在しない点、③年功序列色が強いため熾烈な社内競争がない点、などが魅力的。福利厚生においても恵まれており、社員寮・独身寮が都心部に確保されているため額面の年収以上に生活水準を高く維持できる。総じて、ニッチかつ小規模企業ながらも待遇面は恵まれており、知られざる優良企業である。ただし、日本銀行・財務省・日本証券取引所からの天下り先として機能している側面もあり、1950 年代からの歴代社長は全員が日本銀行の天下りであるためプロパーでのトップ就任は事実上困難である(参考リンク)。

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