本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
日本製紙は、洋紙・印刷用紙・板紙・特殊紙などを展開する三井グループの大手製紙メーカー。1949年にGHQによる財閥解体によって王子製紙から十條製紙として分離・独立。1993年には山陽国策パルプと合併し、日本製紙へと社名変更した。2003年には大昭和製紙・日本紙共販と合併し、年産能力600万トンを超える事業規模へと拡大。2009年には豪・オーストラリアンペーパーを買収し、国内市場の縮小を見据えた海外展開を本格化。2011年には東日本大震災によって石巻工場が甚大な津波被害を受けたが、半年後には操業再開に漕ぎつけた。現在では製紙業界において王子ホールディングスと双璧を為す最大手の一角であり、あらゆる紙素材に対応できる広範な製品ラインナップが強み。最近は「総合バイオマス企業」を標榜しており、木材・化学製品・特殊紙・バイオマスなどにも積極進出している。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:61(中堅上位)
製紙業界におけるトップ企業の一角。人口減少やデジタルシフトによる国内紙需要の減少が痛手。営業利益率の低迷が長年に渡って続いており、自己資本比率も20%台と高くはない。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用実績は年間40名~60名ほどだが、うち約半数は大学院卒。製紙業界の志望者にはまず選択肢として挙がる企業であるが、製紙業界がマイナー寄りであるため極端な高倍率にはなりにくい。
採用大学:【国公立】名古屋大学・広島大学・新潟大学・山口大学・佐賀大学・富山県立大学・長岡技術科学大学・室蘭工業大学など、【私立】明治大学・立教大学・法政大学・同志社大学・近畿大学・成蹊大学・芝浦工業大学・東京電機大学・共立女子大学など(出典:マイナビ2028)
業績動向
✔売上高と営業利益
日本製紙の売上高は2022年まで1兆円レベルで安定的に推移していたが、2025年には1.18兆円にまで増加している。が、過去最高となる売上高1.21兆円(2008年)には及んでいない*1。営業利益は2023年のみ▲269億円に転落した*2が、長期的には120億~350億円ほどで推移している。
*1:当社の売上高は2008年の1.21兆円をピークに横這いが続いている。これは新聞・雑誌類の発行数減少やデジタルシフトによる紙需要の衰退が挙げられる。
*2:2023年は世界的な原材料価格の高騰により、主力の紙・板紙事業が赤字転落。製紙に必要な原材料・燃料の価格高騰が進んだことで大幅な営業損失に沈んだ。
✔セグメント別の状況
日本製紙は、紙・板紙事業(洋紙・板紙・特殊紙・パルプなど)、生活関連事業(家庭紙・雑種紙・段ボール・化成品など)、エネルギー事業(石巻エネルギーセンターにおける発電・電力販売)、木材・建材・土木建設関連事業(木材・建材の製造販売、土木建設など)、その他事業(情報システム・情報機器販売・設備保全・船舶貸渡など)、の4事業を有する。
当社の事業構造は、新聞用紙・印刷用紙・情報用紙・段ボール原紙などを主力としながら、家庭紙・紙容器・化学品・エネルギー・木材建材などへ事業領域を広げることで成立している。祖業である紙・板紙事業は現在も売上高の約半分を占める最大事業であり、新聞用紙・印刷用紙から段ボール原紙・白板紙・特殊紙まで幅広い製品を供給する。一方、新聞・出版用紙はデジタル化や人口減少によって需要縮小が続いており、中長期的な成長が見込みにくい構造にある。このため当社は、生活関連事業におけるティッシュ・トイレットペーパーなどの家庭紙、液体用紙容器、紙パッケージ、機能性化成品へと経営資源をシフトしている。また、食品・飲料向け紙容器や機能性化学品についても、環境対応や脱プラスチック需要を取り込んでいる。
✔最終利益と利益率
日本製紙の純利益は2019年・2023年に大幅赤字に転落*3したが、同年を除けば19億~227億円で推移している。年度による上下変動が大きく、利益の安定性は高くない。営業利益率は平常時で1%~3%に留まっており、利益率が低いビジネスモデルとなっている。
*3:2023年の純損失は、①本業の大幅な営業損失、②秋田工場停止による減損損失、③希望退職実施による費用、④海外子会社の特別損失197億円、が原因。政策保有株式の売却で特別利益を計上するも、特別損失が巨額に上ったことでカバーしきれず。
✔自己資本比率と純資産
日本製紙の自己資本比率は2016年の31%から減少傾向が続いていたが、2025年には28.3%にやや回復。負債比率が高いうえに利益も安定しないため、財務健全性は高くはない。純資産は2023年まで3,860億~4,380億円ほどで推移していたが、2025年には5,104億円に増加している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
日本製紙の平均年収は640万~680万円ほどで推移しており、伸び悩む状況が続いている。総合職の場合、30歳で年収600万~680万円ほど、課長職レベルで年収850万~900万円ほど。年功序列色が強い給与制度となっており、昇給には勤続年数を重ねる必要がある。平均年齢は増加傾向が続いており、2025年は43.7歳となっている。
✔従業員数と勤続年数
日本製紙の単体従業員数は2019年に5,671人に増加したが、同年以降は減少傾向。2025年は4,983人の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.5万人ほど。平均勤続年数は21.1年(2025年)と、大手企業の標準的な水準を大きく上回る。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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