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製薬メーカー

参天製薬の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

参天製薬は、眼科向け・一般向けの目薬・眼科薬・点眼薬などを製造販売する製薬メーカー。1890年に田口謙吉が大阪府で創業した田口参天堂が源流企業。創業当時は風邪薬を主力としたが、1899年に眼科薬を開発してからは眼科薬・点眼薬へと転換。現在では眼科領域では国内首位を独走、アイリーア・アレジオン・ジクアスなどを主力製品とする。2014年には米製薬大手メルクから眼科医薬品事業を買収、2015年には抗リウマチ薬事業を譲渡。眼科領域に強い製薬メーカーとしての選択と集中を加速。

POINT

1.眼科領域で断トツ首位の製薬メーカー、海外売上高比率35%
2.売上高は右肩上がりだが利益減少中、財務体質は相当に健全
3.平均年収851万円で業界中位級、福利厚生もそこそこ充実

業績動向

✔売上高と営業利益

参天製薬の売上高は長期的な成長が継続しており、直近では売上高2,790億円に到達*1。営業利益は減益トレンドが継続しており、直近の2022年には営業赤字に転落*2。2015年のみ営業利益802億円と傑出しているが、抗リウマチ薬事業の譲渡益450億が一過性要因として含まれている。
*1:参天製薬の売上高の成長を支えているのは、角結膜疾患点眼薬ジクアス・抗アレルギー点眼剤アレジオン・滲出性AMD阻害剤アイリーアなど。
*2:参天製薬の業績不振を招いたのは、①海外展開の頓挫、②後発医薬品との競合激化。とりわけ米国事業の失敗は痛手であり、過去に撤退した米国市場へ2020年に再参入したが損失拡大。経営陣が突然辞任するなどの混乱が続く。

✔セグメント別の状況

参天製薬は医療用医薬品(ジクアス・ヒアレイン・アレジオン・アイリーアなど)、一般用医薬品(サンテFXシリーズ・ソフトサンティアシリーズなど)、医療機器(レンティスコンフォート・プリザーフロなど)の3事業を有する。
参天製薬は薬局で販売されている点眼薬のイメージが強いが、売上高の90%以上は医療用医薬品が占めている。売上高の約40%を海外事業が占めるが、主力は中国やアジア事業など。2020年に再参入した米国事業の業績貢献は希薄である。

✔最終利益と利益率

参天製薬の純利益は売上高の成長に逆行、長期的な減少トレンドが続いており苦戦気味。2022年には純損失149億円を計上*3。営業利益率は年度により好不況が分かれており、好調時には営業利益率20%に迫るが、不調時には損益ギリギリに沈む。
*3:2022年は米国事業で約300億円の減損損失を計上、他事業で補い切れずに最終赤字に沈んだ。2020年に買収した眼科薬メーカーの米アイバンスにおいて薬事承認の取得が遅れ、思い描いていた黒字化の道筋が立たず。

✔自己資本比率と純資産

参天製薬の自己資本比率は概ね70%前後の水準で推移しており、実質無借金経営。財務体質としては極めて健全な水準を維持している。純資産は2021年をピークに停滞気味だが、依然として潤沢である。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

参天製薬の平均年収は800万円前後の水準が定着。世界的な大手製薬メーカーと比較すると少ないが、中堅製薬メーカーとしては優良な給与水準である。平均年齢は直近で43.9歳とこちらも標準的な水準。

✔従業員数と勤続年数

参天製薬の従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、2021年には4,315人に到達。平均勤続年数は16.7年と大手メーカーに勝るとも劣らない勤続期間である。

総合評価

企業格付け:BBB

在阪大手製薬メーカーの代表格の一社、眼科領域に特化した事業運営により日本国内では眼科領域で断トツ首位。最主力の医薬品は滲出性AMD阻害剤アイリーア・抗アレルギー点眼剤アレジオンだが、これらの2製品で売上高の約38%を稼ぎ出す。業績は売上高こそ右肩上がりで推移しているが、過度な拡大戦略が祟って利益水準が悪化。米国事業の失敗により減損損失300億円を計上するなど辛い状況が続く。経営陣の辞任により体制は一新されたが、次の成長ストーリーをどう描くのかが問われる。最主力のアイリーアの特許切れも迫っており、後発医薬品との競争激化も予想される。幸か不幸か、中国事業はそれなりに好調であるため、中国事業へのテコ入れも模索中。

就職格付け:BBB

ロート製薬・小林製薬などと並ぶ、在阪中堅製薬メーカーの1社。創業130年以上に及ぶ老舗であり、1890年に発売した大学目薬は今なお継続販売される100年以上のロングセラー商品(参考リンク)。給与水準は中堅製薬メーカーとしては恵まれており、平均年収800万円以上をキープ。2022年には人事制度改定により基本給を上げて賞与比率を下げたことで、賞与に過度に依存しない安定給与にシフト。MR職の場合には営業日当が支給される為、手取額が更に充当される。福利厚生も充実しており、家賃補助制度・住宅手当はないが、借上げ社宅制度が充実。 上限額内なら月1.8万円で住むことができる。

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