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エレコムの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

エレコムは、パソコン・スマートフォン・AV機器などの周辺機器を製造販売する大手PC周辺機器メーカー。1986年に葉田順治がパソコンラック販売会社として創業、マウス・キーボード・ディスクケースなど総合PC周辺機器メーカーとして発展。自社工場を持たないファブレスメーカーであり、企画・設計・販売に特化することで高い利益率を確保。月300点以上のペースで新商品を投入、市場ニーズに合致した商品ラインナップを構築している。家電量販店との関係が強く、ヤマダ電機向けの売上高が約13%を占める。

POINT

1.大手PC周辺機器メーカー、ファブレス経営で商品開発スピードが強み
2.売上高・利益は長期的に成長してきたが直近は停滞、財務体質は極めて健全
3.平均年収571万円だが若い組織なので低めに見える、福利厚生もそこそこ

業績動向

✔売上高と営業利益

エレコムの売上高は長期的な成長が継続しており、2021年には売上高1,074億円に到達*1。営業利益は2020年をピークに微減しており、停滞感に直面している*2。
*1:エレコムは長期的な成長トレンドが継続している企業。2000年代前半は売上高200億円規模であったが、2019年には売上高1,000億円を越えた。15年間で約5倍に成長。
*2:2020年以降に営業利益が伸び悩んだ要因は、①為替レートの円安推移により約70%を占める輸入商品の原価が高騰したこと、②世界的な半導体不足・原材料価格の高騰によるコストアップ、③世界的なサプライチェーン混乱による輸送費の急騰、がある。

✔セグメント別の状況

エレコムはパソコン関連(マウス・ケーブル・キーボード・電源タップなど)、スマホ関連(重電機・モバイルバッテリー・ケース・フィルム・ケーブル・ヘッドホンなど)、TV・AV関連(リモコン・アンテナ・ケーブル・スピーカー・分配器など)、周辺機器(Wi-fiルーター・HDD・SSD)、その他(調理家電・ヘルスケアなど)、の5事業を有する。
エレコムは家電量販店に強い販売チャネルを有しており、新しい製品を大量投入してフレッシュな品揃えを維持している。月300種類以上の新製品を投入、商品の新鮮さを耐えず維持することで売れるラインナップを揃える。全売上高に占める国内販売の割合が98.5%と極めて高い点も特徴、海外子会社での販売強化を図りながら海外への拡販の足掛かりを模索する状況。

✔最終利益と利益率

エレコムの純利益は2020年に過去最高となる107億円を記録したが、同年以降は営業利益の減少と連動して縮小気味。営業利益率は長年に渡って10%~15%を維持し続けており、ファブレスメーカーならではの高利益率を確保。

✔自己資本比率と純資産

エレコムの自己資本比率は2016年以降は急激な増加傾向、直近の2022年には75.8%と著しい高水準。実質無借金経営であり、財務体質としては極めて健全な水準を維持している。純資産は2021年をピークに停滞気味だが、依然として潤沢である。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

エレコムの平均年収は550~580万円前後の水準が定着。大手メーカーと比較すると少ないが、中堅メーカーとしては標準的な給与水準。平均年齢は直近で36.2歳と若めであるが故に、平均年収も低くなりやすい背景がある。

✔従業員数と勤続年数

エレコムの従業員数は増加傾向*3が続いており、2021年には1,462人に到達。ファブレスメーカーゆえに少数精鋭の組織規模である。平均勤続年数は9.0年と短いが、平均年齢が36.2歳の若い組織であるため違和感はない。
*3:2016年に社員数が急増したのはテレビ用アンテナ・受信用機器などを主力とするDXアンテナを買収、完全子会社したことが理由。

総合評価

企業格付け:BB

大手PC周辺機器メーカーとしてはアイ・オー・データ機器やバッファローと並ぶ業界最大手。マウスやキーボードなどでは国内首位級のシェアを掌握する他、大手家電量販店とのコネクションが非常に強いことが特徴。企画・販売に特化したファブレスメーカーであり、営業利益率は10%以上とかなりの高水準をキープ。業績は長年に渡って増収増益が続いていたが、COVID-19以降に急速に進んだ円安・コスト高に直面したことで停滞気味。とはいえ、同社のビジネスモデルそれ自体が頓挫したわけではなく、外部環境に起因する不調であるため復活の目も大いにある。財務体質は健全すぎる程に健全であり、自己資本比率75%・実質無借金経営。市場ニーズの変化に機敏に答える商品開発力が強みであり、月間300点以上の新商品を投入するスピード感は圧巻。財務健全かつスピード感のある組織である為、将来的にも変化に適応しながら生き残っていきそうだ。

就職格付け:BB

家電量販店で数多くの商品が並んでいるが故に、日本人ならば知らない者はいない企業。給与水準は中堅企業としてはそこそこ良い水準。平均年収571万円と数字上は凡庸にも映るが、平均年齢36歳の若い組織である点も合わせて見る必要がある。大卒総合職ならば30代で500~650万円、40歳で650~800万程あたりが目安。福利厚生はそこそこ揃っており、家賃補助・単身赴任手当・地域手当など。エレコムの最大の魅力は、①スピード感のある企画開発による商品展開力、②極めて健全な財務体質に支えられた安定性、であろう。自分がかかわった商品が家電量販店に並び、市場にどのように評価されるのかをハイスピードで体感できるのは大手家電メーカーでは得られない経験だろう。

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