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九州電力の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

九州電力は、九州地方全域において発電事業・電気小売事業を展開する大手電力会社。1899年に熊本財界の有力者たちが設立した熊本電氣を源流とし、1951年に九州電力として再編・発足。戦後しばらくは石炭火力発電・地熱発電に依存していたが、オイルショックを経て1974年には玄海原子力発電所を稼働開始。1990年には甑島風力発電所を稼働させ、日本で初めて風力発電所として運用開始。九州エリアに本社を置く企業としては最大の売上高を誇り、九州財界に大きな影響力を持つ。

POINT

1.九州地方を代表する大手電力会社、地元財界のリーダー的存在
2.売上高は過去最高を記録するも利益率は低迷、財務体質は低空飛行
3.平均年収766万円と九州エリアでは最高峰の待遇、福利厚生も優れる

業績動向

✔売上高と営業利益

九州電力の売上高は2021年まで約1.5兆円レベルで安定していたが、2022年には売上高2.22兆円に急増して過去最高を更新*1。営業利益は2016年から右肩下がりが続いており、2022年には営業赤字730億円を計上*2。
*1:2022年にはロシアによるウクライナ侵攻で燃料油価格が急騰。燃料価格の上下変動を電気料金に転嫁する燃料費調整額が急増したことで売上高が急増した経緯。
*2:2022年の営業赤字の原因は、①燃料油価格の上昇による発電コストの増加、②原子力発電所の稼働減少、③卸電力市場における電力価格の上昇による購入電力コストの増加、が主要因。

✔セグメント別の状況

九州電力は発電・販売事業(火力・原子力・再生可能エネルギーの発電・販売など)、送配電事業(九州域内における一般送配電など)、その他エネルギーサービス事業(電気設備の建設・保守、ガス・LNG販売など)、海外事業(海外における発送電など)、ICTサービス事業(データ通信、通信工事・保守、データセンターなど)、都市開発事業(都市開発・不動産・社会インフラ)の6事業を有する。
九州電力のコア事業は発電・販売事業と送配電事業の2事業であり、売上高の約85%を電力関連で稼いでいる。その他の事業は売上高ベースでは約15%ほどに過ぎないが、利益においては大きく貢献を果たしている。直近の2022年は発電・販売事業が振るわなかったが、エネルギーサービス事業やICTサービス事業が大きな利益貢献を果たした。

✔最終利益と利益率

九州電力の純利益は2017年から下落傾向が続いており、2022年には純損失564億円を計上。営業利益率は通常時には2~5%ほどの水準だが、2022年は営業利益率もマイナス。

✔自己資本比率と純資産

九州電力の自己資本比率は長年に渡って10%台での推移が続いている*3。直近の2022年には自己資本比率10.4%まで低下、他電力会社と比べても低めの推移である。
*3:経済産業省の有識者審議会は一般電気事業の適切な自己資本比率を30%と掲げるが、九州電力の自己資本比率はこれを下回る推移が続いている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

九州電力の平均年収は2016年以降は750万円ほどの水準で安定的*4。九州地方の大手企業としては傑出した平均年収の高さを誇る。平均年齢は多少の上下変動はあるものの42歳前後の水準で安定的。
*4:九州電力は2011年の福島第一原子力発電所事故を発端とする原発停止で深刻な業績悪化に陥った経緯があり、2015年までは従業員の給与カットが行われていた。2016年以降は業績好転したことで給与水準が回復。

✔従業員数と勤続年数

九州電力の従業員数は2020年の分社化によって急減少。1.06万人(2019年)から0.53万人(2020年)まで5,000人規模の減少となった*3。平均勤続年数は20年を優に上回る高水準で安定推移しており、従業員の定着のよさが伺える。
*3:送配電インフラの透明化を目的とした政府方針に従い、送配電事業を九州電力送配電として分社化(参考:資源エネルギー庁)。

総合評価

企業格付け:A

九州エリア全域への電力供給を担う大手電力会社、電力業界では東北電力に続く第5位に位置している。2011年の福島第一原子力発電所事故による混乱で2011年から2014年にかけて累積7,000億円を上回る純損失を計上。2018年には玄海原子力発電所が再稼働したものの、業績・財務は辛い状況が続いている。業績は売上高こそ安定的だが、利益は燃料油価格に大きく左右される体質。2022年には世界的な資源価格の高騰により、純損失564億円に再び沈んでしまった。財務体質は2011年~2014年の巨額の純損失で負った痛手から回復できておらず、自己資本比率は10%台での低空飛行が続く。とはいえ希望の兆しも見えつつあり、経済産業省が2023年6月からの電気料金値上げを認可したことで利益体質の改善が期待されつつある。

就職格付け:AA

九州エリア屈指の名門企業であり、九州経済連合会の歴代会長を多数輩出してきた地元財界のリーダー的存在。給与水準は平均年収766万円と東北電力に続く水準をキッチリ確保。九州エリアにおいて最高峰の給与水準であり、同エリアの生活コストの安さを踏まえると十分すぎる待遇。福利厚生も充実しており、独身寮・社宅は勤務地周辺に完備されている。リフレッシュ休暇制度により年間5日の連続休暇取得を義務付けており、土日休みと組み合わせることで7連休を自由に生み出すことができる。要するにホワイト企業である。当然ながら平均勤続年数は20年オーバーであり社員の定着は極めて良好。九州エリアでは憧れの企業の筆頭格であり、九州出身者であれば地元の親族友人からの社会的名声も抜群である。

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