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電力会社

中国電力の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

中国電力は、岡山県・広島県・鳥取県・島根県・山口県において発電事業・電気小売事業を展開する電力会社。1951年に日本発送電・中国支社と中国配電が合併により設立、現在に至るまで中国地方全域への電力供給を担ってきた。1977年には関西電力・東京電力に続いて原子力発電へと進出、初の国産原子炉を採用した島根原子力発電所を稼働。マツダ・広島銀行と並んで広島財界を代表する企業の一角である。山口県電気局を吸収した歴史的経緯があり、現在においても山口県が大株主に名を連ねる。

POINT

1.中国地方全域をカバーする電力会社、広島財界の雄
2.売上高は過去最高圏まで増加も巨額損失を計上、財務体質も微妙
3.平均年収809万円と中国地方トップ級、平均勤続年数20年以上で長い

業績動向

✔売上高と営業利益

中国電力の売上高は1.1兆~1.3兆円ほどで安定していたが、2022年には過去最高となる1.69兆円まで急伸*1。営業利益は長期的に340億~480億円ほどで安定していたが、2021年・2022年には営業赤字600億円以上が連続*2。
*1:2022年にはロシアによるウクライナ侵攻で燃料油価格が急騰。燃料価格の上下変動を電気料金に転嫁する燃料費調整額が急増したことで売上高が急増した経緯。
*2:中国電力が2020年から営業損失にしている主要因は、①燃料費価格・卸電力価格の上下変動による損失、②燃料価格の高騰による燃料費調整制度の⼤幅な期ずれ差損、など。

✔セグメント別の状況

中国電力は、総合エネルギー事業(火力・原子力・再生可能エネルギーの発電・販売など)、送配電事業(送電線・配電線などの送配電ネットワークなど)、情報通信事業(エネルギア・コミュニケーションズなど)、その他事業(中電工・電気計測機器・設備エンジニアリングなど)、の5事業を有する。
中国電力は祖業の電力事業(総合エネルギー事業・送配電事業)が売上高の約95%を占めており、事業多角化はあまり進んでいないようにも見える。しかし、利益においては総合エネルギー事業が2022年は赤字転落しているため、情報通信事業・その他事業が全社利益の約65%を占める貢献を示している。

✔最終利益と利益率

中国電力の純利益は2019年のみ901億円まで急騰したが、2020年からは赤字転落*3。営業利益率は2019年までは2%~4%程であったが、2020年以降はマイナス圏で推移。
*3:2019年の純利益901億円は原子力発電工事償却準備引当金の取り崩しによる一過的な増益(参考リンク)。2020年以降は事業環境が急激に悪化(上述)したことで赤字転落している。

✔自己資本比率と純資産

中国電力の自己資本比率は長期的に20%未満で推移しており低水準、2022年には11.1%まで下落している*4。純資産は2020年をピークに減少しており、直近では4,555億円まで下落。
*4:経済産業省の有識者審議会は一般電気事業の適切な自己資本比率を30%と掲げるが、東北電力の自己資本比率はこれを下回る推移が続いている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

中国電力の平均年収は直近で809万円とかなりの水準であり、中国地方ではトップレベルの給与水準。業績悪化時にも給与水準はほとんど変わらず、安定性も高い。大卒総合職なら30歳で年収600万~730万円ほど、課長職レベルで年収1,000万~1,300万円レベル。

✔従業員数と勤続年数

中国電力の従業員数は2020年の分社化で急減少。8,256人(2019年)から3,668人(2021年)まで4,500人規模の減少となった*5。平均勤続年数は直近で20.7年と極めて長く、従業員の定着はよい。
*5:送配電インフラの透明化を目的とした政府方針に従い、送配電事業を中国電力ネットワークとして分社化(参考:資源エネルギー庁)。

総合評価

企業格付け:BBB

中国地方全域への電力供給を担う電力会社、電力業界では九州電力・電源開発に続く第7位に位置している。保有する原子力発電所は島根原子力発電所のみだが、2000年代から上関原子力発電所を新設すべく準備を進めている。もともと原子力発電への依存度は高くなかったため2011年以降の原子力発電所の長期停止による打撃は他電力会社と比べると軽めではあったが、それでも最近の業績は冴えない。2021年・2022年には世界的な原油・燃料高による燃料費高騰大幅赤字に転落しており、過去最悪クラスの決算となった。巨額赤字によって財務体質にも打撃が及んでおり、自己資本比率は11.1%まで低迷。とはいえ希望の兆しも見えつつあり、経済産業省が2023年6月からの電気料金値上げを認可したことで利益体質の改善が期待されつつある。また、2023年の決算では電気料金引き上げや燃料費調整制度の期ずれによって大幅増益が予定されており、営業利益1,540億円・純利益1,090億円にも到達する予定である。

就職格付け:BB

中国地方におけるトップクラスの大企業であり、広島財界の雄として長年君臨してきた名門企業。給与水準は平均年収809万円と中国地方ではトップクラスの給与水準を誇り、大卒総合職ならば大半の社員が30歳前後で年収700万円近くにまで到達する。平均勤続年数も極めて長めであり、直近では20年を上回って推移している。全国区ではそこまで存在感はないが、中国地方全域においてはトップクラスの企業イメージを誇っており世間体も抜群。が、2022年には関西電力のとの電力カルテルが発覚して一大スキャンダルに発展。もともとは関西電力側が中国電力へカルテルを提案した側であったにも関わらず、関西電力側が公正取引委員会へと密告。不幸にも取り残された中国電力には約700億円もの巨額課徴金が課されることとなった。関西電力側は密告したことで課徴金は一切免れており、非常に不公平感が際立つ事件となった。

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