企業概要
阪急阪神ホールディングスは、阪急電鉄・阪神電鉄を子会社とする大手鉄道会社。2006年に村上ファンドが阪神電鉄株を大量買付したことに危機感を高めた阪神電鉄が同業の阪急電鉄と合併して誕生。阪急阪神東宝グループの中核企業であり、主要子会社は阪急電鉄・阪神電鉄・阪急阪神不動産・阪急交通社・阪急阪神ホテルズなど。関西圏の不動産を数多く保有しており、土地保有額では日系企業上位10社に数えられる。子会社139社を有する巨大グループであり、関西圏では生活と密着した存在。
・阪急阪神グループの中核企業、鉄道と不動産が主力だが事業範囲は広大
・売上高・利益はCOVID-19による打撃から回復、財務体質は大いに健全
・平均年収870万円だが900万円以上の時期も、関西圏でのブランドは絶大
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:72(最上位)
日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関上位級
関西圏においてトップクラスのブランド力を誇る企業であるが、総合職の採用数は年間35名~45名と少ない。採用大学は非公開であるが、関西圏のハイレベル大学から応募者が集っている。
採用大学:非公開(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
阪急阪神ホールディングスの売上高は2020年に0.57兆円まで激減*1したが、同年以降は回復傾向。2023年には過去最高となる売上高0.99兆円に到達。営業利益も2020年・2021年に急減したが、平常時は850億~1,150億円で安定的。
*1:当社はCOVID-19感染拡大で甚大な影響を被った1社。外出自粛により通勤・行楽需要が激減したうえ、主力事業である鉄道乗客数が激減。これにより売上高・利益を大きく落とした。
✔セグメント別の状況
阪急阪神ホールディングスは都市交通事業(鉄道・タクシー・バスなど)、不動産事業(阪急阪神不動産、不動産賃貸・分譲など)、エンタテイメント事業(阪神タイガース・宝塚歌劇団・梅田芸術劇場など)、情報通信事業、旅行事業(阪急交通社)、国際輸送事業(阪急阪神エクスプレス)、その他事業(建設・広告・カード・金融など)の7事業を有する。
当社は関西圏において交通・不動産・エンタメ・旅行あらゆる分野で存在感を発揮しているが、最大の稼ぎ頭は不動産事業となっている。近年はCOVID-19による影響で鉄道事業が落ち込んだが、事業多角化が進んでいたことが幸いして鉄道業社の中では相対的に被害が少なかった。
✔最終利益と利益率
阪急阪神ホールディングスの純利益は2020年のみ純損失367億円まで低落したが、平常時は550億~670億円ほどで推移している。営業利益率は2019年まで12~15%*2で安定していたが、COVID-19以降は同水準まで回復できていない。
*2:当社の営業利益率は大手私鉄の中ではトップクラスに高いが、これは不動産事業が大きな利益貢献を果たしている事情。関西圏に優良不動産を数多く所有しているため、利益率が高くなっている。
✔自己資本比率と純資産
阪急阪神ホールディングスの自己資本比率は35%前後で推移してきたが、2020年以降は業績悪化により32%前後にやや後退。自己資本比率はやや低めの印象だが、これは当社特有の事情による*3。純資産は2021年まで0.9兆円前後で横ばいであったが、2023年には1兆円を超えた。
*3:当社は鉄道会社と不動産デベロッパーの性格を兼ね備えた企業であるが、いずれも業態も自己資本比率が高くなりにくい事情がある。鉄道・不動産は多額の投資資金を要する特性があり、自己資本比率は他業界と比べて低めとなる。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
阪急阪神ホールディングスの平均年収は2017年まで900万円前後で推移していたが、2018年以降は800万円台に後退。傘下企業である阪急電鉄・阪神電鉄とは給与テーブルは異なっており、鉄道会社よりもワンランク上の給与水準となっている*4。
*4:阪急阪神ホールディングスは巨大組織である阪急阪神グループを統括する持株会社であるため、鉄道会社というよりも事業統括会社の色彩が強い。そのためワンランク上の給与水準かつ採用窓口も別となっている。
✔従業員数と勤続年数
阪急阪神ホールディングスの単体従業員数は増加傾向にあるが、直近でも231人に過ぎない。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.28万人ほどであり、ほとんどの従業員は事業会社に属している。平均勤続年数は19年前後で推移しており、従業員の定着は良好。
総合評価
企業格付け:AA
関西圏の交通・文化・経済の発展を牽引してきた名門企業。もともとは1907年に鉄道会社として設立されたが、戦前から鉄道事業を中核とした都市開発・小売・観光など事業多角化によって発展(参考リンク)。現在では阪急電鉄・阪神電鉄を中核子会社として、バス・タクシー・不動産・旅行・国際物流・百貨店など多種多様な事業を擁する。関西圏の都市部に多数の有力不動産を持ち、傘下には宝塚歌劇団・阪神タイガースも。鉄道会社のイメージが先行するが、不動産事業も稼ぎ頭である為に不動産デベロッパーの性格も兼ね備える。業績においては成長性こそ希薄であるものの、売上高・利益いずれも安定性が強い。COVID-19感染拡大期には利益急減に陥ったが、もともと不動産事業が稼ぎ頭の企業であったために鉄道業界の中では打撃は限定的であった。財務体質においても鉄道会社としては優良な水準をキッチリと維持しており、数多くの優良不動産を保有していることから業績危機とは程遠い。
就職格付け:AA
関西圏における絶大な企業ブランドから人気トップ企業の1社であるうえ、もともと就職人気が高い鉄道会社と不動産デベロッパーの性格を兼ね備える超難関企業。給与水準もかなり恵まれており、大卒総合職であれば30代初頭には年収700~850万、30後半には1,000万円に到達する。傘下企業の阪急電鉄・阪神電鉄などは別で採用活動を行っている為、採用人数は50名程度とかなり少ない。未来の阪急阪神グループを統括・牽引する役割を期待されることから採用ハードルはかなり高め。入社後は傘下企業への出向を経ながら人脈・経験・スキルを蓄積するキャリアパスを歩むこととなる。採用サイトには「将来的には各事業やグループ全体を牽引する経営者・事業リーダーになっていただくことを期待しています」との文言がある通り、阪急阪神グループにおけるエリート街道を歩むことが期待されている。