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【勝ち組?】清水建設の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

清水建設はトンネル・ダム・橋梁・超高層ビル・商業施設などの大規模土木・建設工事を主力とする大手総合建設会社。1804年に清水喜助が創業した大工店を源流とし、江戸時代には城郭・奉行所などの建設に従事。1915年には清水組として企業化を果たし、昭和初期には建設業界トップ企業へと上り詰めた。戦後には日本初の原子力発電所である東海原子力発電所の建設工事を遂行した他、原爆ドーム保存工事・東大寺大仏殿修復工事を完工。1970年代以降にはグローバル化を加速させ、現在では世界40ヵ国以上に進出。

POINT

・スーパーゼネコン5社のうち売上高第4位、高さ日本一の麻布台ヒルズを竣工
・売上高は横這いだが2021年以降は利益低迷、財務体質はまずまず
・平均年収982万円、総合職なら30代で1,000万円以上だが長時間労働リスク

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:71(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用人数は年間330人~370人とかなりの大量採用だが、うち事務系採用枠は30名~50名に過ぎない。文系は旧帝大・早慶がボリューム層だが、理系は幅広い大学から採用している。
採用大学:【国公立】東京大学・東京工業大学・大阪大学・東北大学・九州大学・横浜国立大学・熊本大学・三重大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・関西大学・工学院大学・東京都市大学・金沢工業大学など(出典:大学通信オンライン

業績動向

✔売上高と営業利益

清水建設の売上高は2021年までは1.4兆~1.9兆円で推移していたが、同年以降は急増傾向。2023年には売上高2兆円に到達している*1。営業利益は2020年まで1,000億~1,300億円ほどで推移していたが、2021年からは減益傾向が続いている*2。
*1:清水建設の売上高が過去最高を記録したのは1993年に記録した売上高2.36兆円。建築バブル全盛期と比べると売上高はピークアウトしている。
*2:2020年から営業利益が縮小した原因は、①世界的な原材料価格の高騰による建設コスト高騰の価格転嫁の遅れ、②東京オリンピック後に受注した低採算工事のコスト負け、など。

✔セグメント別の状況

清水建設は、建設事業(ビル・商業施設・物流施設・工場・ホテルなどの建築事業、トンネル・橋梁・ダムなどの土木事業)、不動産開発事業(土地建物の賃貸借、不動産開発マネジメント、設計エンジニアリング、不動産投資助言、私募リート運営など)、道路舗装事業(道路舗装工事など)、その他の事業(建設資機材の販売・リース、建設機械レンタル、資金貸付事業、北米における事業)、の4事業を有する。
当社の主力事業は売上高の約67%を占める建設事業だが、利益面においては不動産開発事業・その他事業の貢献も大きい。不動産開発事業は全社利益の約32%を稼いでおり、同事業は売上高こそ小さいものの最近コスト高に苦しんでいる建設事業の落ち込みをカバーするだけの存在感はある。

✔最終利益と利益率

清水建設の純利益は2020年までは500億~900億円レベルで安定していたが、2021年以降は減益傾向が続いている。営業利益率は2020年までは6%~8%ほどで安定していたが、2021年以降は低下傾向。

✔自己資本比率と純資産

清水建設の自己資本比率は2020年まで上昇傾向が続いたが、同年以降は減少傾向へと転換。直近の自己資本比率は35.0%であり、財務体質は普通。純資産は右肩上がりの推移が続き、直近の2023年には純資産9,481億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

清水建設の平均年収は960~1,010万円前後で安定的に推移している。総合職であれば30歳で年収700万~800万円ほど、課長職レベルで年収1,200万~1,400万円に達する。ただし、長時間勤務・単身赴任が多いために手当による年収底上げが大きい点には注意が必要。

✔従業員数と勤続年数

清水建設の単体従業員数は長年に渡って1万人規模での推移が続いている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.98万人ほど。平均勤続年数は直近で15.9年と普通であり、大手スーパーゼネコン5社の中では短め。

総合評価

企業格付け:A

超高層ビル・大規模プロジェクトの設計~施工までを遂行する能力を有する大手スーパーゼネコン5社のうちの1社。最近では日本一の超高層ビルとなる麻布台ヒルズ(高さ330m)の建設においてメインタワーを竣工、最盛期には現場作業員5,000人/日以上を動員する難工事を完工する能力を見せつけた(参考リンク)。業績面においては東京オリンピックによる建設特需と好景気を追い風に2016年から2019年にかけて好業績が続いたが、特需剥落後は利益水準が低下。世界的な原材料価格の高騰をうけて建設資材費は高騰一途を辿っているうえ、建設業界は職人不足による人件費の上昇も苦しい。直近の2023年には上場以来で初となる営業赤字246億円に転落している。当社が過去最高の業績を記録したのは1993年の売上高2.37兆円・営業利益1,631億円であり、過去30年間に渡って成長がない停滞感も強い。現在では同業の鹿島の後塵を拝する状況となっており、大手スーパーゼネコン5社のうち売上高では第4位。財務体質は自己資本比率34.8%と大手企業としては標準的な水準だが、こちらは大手スーパーゼネコン5社では最下位である。

就職格付け:A

1804年に清水喜助が創業した建設会社であり、現在では建設業界トップクラスの規模を誇る大手スーパーゼネコンの一角。創業一族である清水家は今でこそ経営には直接関与していないが、資産管理会社にあたる清水地所を通じて発行済み株式数の約7.8%を掌握する筆頭株主となっている。歴代社長は清水家の出身者が多く、1804年から1966年までの社長は全員が清水家の出身であった。1966年以降は創業家以外のサラリーマン社長が続いており、有能な人材を経営者に登用する社風へと変化している。給与水準は平均年収950万~1,010万円ほど、大卒操業職なら30歳前後で年収750~850万円ほどに到達。業界トップの鹿島には劣るが、業界トップクラスの給与水準と言えよう。ただし、建設業界特有の長時間労働・単身赴任による手当によって給与水準が底上げされている点は否めない。福利厚生は家賃補助制度こそないが、独身者には独身寮・既婚者には社宅が提供される。いずれも2万~5万円/月ほどの自己負担であり、住宅コストを大きく抑えられる。が、2021年には東大工学部を卒業して入社した若手社員が過労自殺する事件が発生(参考リンク)。長時間に及ぶ残業が続いていたにも関わらず労働時間削減の目標と板挟みになったことで、勤務時間を過少申告していた。2021年8月頃の残業時間は平均100時間を上回っていたという。

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出典:清水建設株式会社(有価証券報告書)