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【勝ち組?】武田薬品工業の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

武田薬品工業は、三菱グループに属する国内最大手の大手製薬メーカー。1781年に近江屋長兵衞が大阪で開いた和漢方問屋を源流とし、1943年に現社名の武田薬品工業へ社名変更。日本の製薬業界において売上高は首位。2018年には6.2兆円を投じて米シャイアーを買収、欧米の世界的メガファーマと対等に渡り合える規模を誇る唯一の日系製薬メーカーとしての地位を確立。2019年に一般医薬品・大衆医薬品を扱っていた武田コンシューマーヘルスケアを売却、処方箋医薬品・医療用医薬品に特化。

POINT

・日系製薬メーカー最大手、米シャイアー買収で世界上位10社入りを達成
・売上高4兆円規模へ躍進、巨額買収で急増した負債の返済を急ぐ
・平均年収1,081万円と高待遇、借上社宅制度も充実

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:75(最高峰)

サラリーマンとしては最高峰クラスの勝ち組。製薬業界では他を突き放す事業規模を誇り、一般知名度も高い。給与水準は同業他社の追い上げが激しいが、依然として総合力では優位。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用数は年間20人~50人と事業規模の割に少なく、高倍率になりやすい。技術系採用・事務系採用いずれもハイレベル大学からの採用が多く、旧帝大・早慶クラスがボリューム層。
採用大学:【国公立】京都大学・大阪大学・東北大学・九州大学・東京工業大学・横浜市立大学・岐阜薬科大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・星薬科大学・東京薬科大学など(出典:ダイヤモンドオンライン

業績動向

✔売上高と営業利益

武田薬品工業の売上高は2018年まで約2兆円規模であったが、2019年に売上高3兆円レベルまで急増*1。同年以降も売上高は拡大傾向にあり、直近では4.28兆円に到達。営業利益は年度により好不調が分かれており、2020年以降は4,600億~5,000億円を上回る推移となっている。
*1:武田薬品工業は2018年に米シャイアーを買収、2019年以降は同社の売上高が加わったことで売上高3兆円規模へ躍進。米シャイアーの売上高は2018年時点で1.7兆円あり、これらが希少疾患領域・血漿由来免疫疾患治療領域・ニューロサイエンス領域などで売上高に加わっている。

✔セグメント別の状況

武田薬品工業は消化器系疾患領域(潰瘍性大腸炎・クローン病・短腸症候群の治療薬)、希少疾患領域(ハンター症候群・ファブリー病・血友病・ゴーシェ症1型などの治療薬)、免疫疾患領域(免疫不全・自己免疫疾患・原発性免疫不全症候群などの治療薬)、がん領域(多発性骨髄腫・非小細肺胞がんの治療薬)、神経性心疾患領域(ADHD・大うつ病などの治療薬)、その他領域、の6事業を有する。
武田薬品工業の事業ポートフォリオはバランス型、特定事業に依存しない売上高の構成比となっている。ただし、地域別では日米欧先進国における売上高が85%以上を占めている。海外売上高比率が80%以上を占めるため、為替レートの決算影響も大きい。

✔最終利益と利益率

武田薬品工業の純利益は年度により好不調が分かれる。2014年には純損失1,458億円と赤字転落したが、2020年以降は純利益が2,000~3,000億円レベルへ飛躍*2。営業利益率は年度によるムラが大きく、安定していない。
*2:武田薬品工業は上場以来60年以上に渡って純利益を確保してきたが、2014年に初の純損失に転落。これは糖尿病治療薬アクトスの副作用による膀胱がんを訴えるアメリカ原告団との和解を急ぐため、和解金3,241億円を計上した影響。

✔自己資本比率と純資産

武田薬品工業の自己資本比率は2018年には30%台への下落*3したが、これは米シャイアー買収などの拡大路線による反動。2019年以降は右肩上がりで改善傾向にある。純資産は2018年に5兆円規模に急増、同年以降も増加傾向が続いている。
*3:武田薬品工業は米シャイアー買収にあたり、2018年に巨額の資金調達を敢行。負債額が1.3兆円(2018年3月末)から4.88兆円(2019年3月末)に急増したことで自己資本比率が下落した。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

武田薬品工業の平均年収は直近で1,081万円と高水準、大卒総合職であれば30歳で750万~880万円に到達し、課長職レベルで1,300万~1,400万円ほど。職種により給与テーブルが異なっており、研究開発職・MRなどは給与水準が高いが他職種はやや低めとなる。

✔従業員数と勤続年数

武田薬品工業の単体従業員数は5,400人レベルで安定的。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は、米シャイアーの買収以降は4.91万人を超える大所帯となっている。平均勤続年数は14.6年と大手企業としては標準的な水準。

総合評価

企業格付け:AA

日系製薬メーカーにおいて唯一、欧米の世界的メガファーマと比肩する企業。製薬業界はメガファーマによる寡占化が進んでおり、中規模企業が林立する日系製薬メーカーは不利な立場に置かれてきたが武田薬品工業は米シャイアー買収という離れ業で世界上位10社レベルにまで規模を一気に拡大することに成功。業績は概ね安定的で、2014年の和解金支払いの為の純損失転落を除けば上場以来60年以上に渡って黒字を維持。事業ポートフォリオもバランス型であり、特定のヒット薬への過度な業績依存もみられない(製薬業界では従来の治療方法を覆す革命的薬品を生みだす薬品を"ブロックバスター"と呼び、莫大な売上・利益を得られる特定薬品に業績を依存する企業が少なくない)。強いて言えば、米シャイアー買収の為に巨額の負債を背負ったことで財務がやや不安視されるが、2020年以降の業績好調を追い風に返済額を積み増して財務改善を加速させている状況。

就職格付け:AA

日系製薬メーカー最大手であり、業界のリーダー的存在。平均年収は年収1000万円を安定して上回っており高待遇のうえ、住宅補助として最優良とされる借上社宅制度も充実。家賃補助制度にありがちな「補助により額面給与が増える結果、税金で思ったほど手取りが思ったよりも増えない」現象を回避しつつ、高い給与水準を謳歌できる点は極めて魅力的。採用職種は開発職・生産技術職・総合職の3種類だが、総合職は入社後MRとして経験を蓄積することが前提。MRは医薬知識の積極的習得や医師との関係構築など、いわゆる営業としての適性が相応に求められる点には留意が必要。また、企業規模の割に社は狭き門であり、新卒採用人数は20~50人/年ほど。

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出典:武田薬品工業株式会社(有価証券報告書)