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プラントエンジニアリング

【勝ち組?】東洋エンジニアリングの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

東洋エンジニアリングは、発電所・鉄道・化学プラント・肥料プラント・パイプラインなどを建設する三井グループのプラントエンジニアリング会社。1961年に三井化学工務部が分離独立して設立。設立時に三井物産の出資を受けた経緯から、現在でも三井物産が発行済み株式数の約23%を保有する筆頭株主。世界60カ国以上で数千件の建設プロジェクトを完工した実績を有しており、東南アジア・中近東・ロシア・アフリカにも事業展開。尿素・アンモニア・エチレン技術においてライセンス世界シェア上位級。

POINT

・プラント業界3位の業界大手、エチレンプラントでは世界首位級
・売上高・利益いずれも停滞気味で苦戦傾向、財務体質も回復途上
・平均年収957万円だが海外赴任時は2倍以上にも、駐在社員は特に厚遇

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:67(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

採用人数は年間30人~50人と少なく、うち事務系採用枠は10人前後。プラントエンジニアリング業界自体がマイナー寄りだが、海外志向が強い求職者には底堅い人気があるため低倍率にはならない。
採用大学:【国公立】大阪大学・名古屋大学・九州大学・広島大学・千葉大学・横浜国立大学・信州大学・徳島大学・大阪公立大学・東京外国語大学・京都工芸繊維大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・上智大学・明治大学・中央大学・法政大学・立命館大学・国際基督教大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

東洋エンジニアリングの売上高は年度による上下変動が大きく、2016年の4,319億円をピークに低迷が続いていた。が、2024年には売上高2,780億円まで回復している*1。営業利益は2018年まで赤字転落していたが、同年以降は15億~67億円ほどに回復している。
*1:2017年から売上高の減少が続いた理由は、2017年の業績悪化を経て、入札案件の選別を進めたことが主要因。当社は2010年代に事業拡大を目指して無理な応札を重ねたことで巨額赤字に陥った経緯があり、最近では黒字確保を優先した入札の選別によって売上高を落としている(参考リンク)。

✔セグメント別の状況

東洋エンジニアリングは、EPC事業(石油化学・肥料などのプラント・ガス発電所などの建築プロジェクトを一括請負するエンジニアリング・ビジネス、なおEPCとは設計Engineering・調達Procurement・工事Constructionの頭文字の略である)、のみの単一事業会社である。
当社の石油化学・肥料などの多種多様なプラント工事を手掛ける総合エンジニアリング会社として知られる。特に得意としているのは1962年に進出したエチレンプラント分野であり、過去45基を建設した世界トップクラスの実績がある(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

東洋エンジニアリングの純利益は2017年に▲268億円に転落*2したが、同年以降は▲10億~100億円ほどで推移している。年度による上下変動が大きく、不安定性は否めない。営業利益率は▲9%~3%ほどの水準で推移しており、利益率は不安定かつ低空飛行が続いている。
*2:2017年に純損失▲268億円を計上した理由は、米国向けエチレンプラントの工事コスト急増が原因。工事遅延の挽回が必要な状況でハリケーン・長雨が続き、大きなコスト増となった。

✔自己資本比率と純資産

東洋エンジニアリングの自己資本比率は2017年の業績悪化により10%まで低下した。その後、投資ファンドの支援を受けて自己資本比率は回復傾向*3だが、依然として20.9%(2024年)での低空飛行が続く。純資産も602億円(2024年)まで回復したが、事業規模の割には小規模に留まっている。
*3:当社は2017年に財務体質が大幅に悪化したため、2018年に投資ファンド・インテグラルから優先株の引き当てによって約150億円を資金調達した経緯がある(参考リンク)。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

東洋エンジニアリングの平均年収は2018年・2020年を除けば790万~870万円ほどで推移しており、2024年に957万円まで上振れしている。大卒総合職の場合、30歳で年収550万~600万円ほど、課長職レベルで年収850~950万円が目安。海外赴任した場合には手当が支給され、給与水準が跳ね上がる特徴がある。

✔従業員数と勤続年数

東洋エンジニアリングの単体従業員数は970人~1,030人ほどで推移している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5,100人ほど。平均勤続年数は15.4年(2024年)と大手企業の標準的な水準だが、2020年頃から減少傾向がみられる。

総合評価

企業格付け:CCC

プラントエンジニアリング業界において、日揮千代田化工建設と並んで業界御三家と称される企業。業界御三家の中では万年3位の位置づけではあるが、三井物産が筆頭株主の三井グループ企業である。業績においては2017年の大幅赤字から回復途上ではあるが利益率は依然として低迷。プラントエンジニアリング業界は浮き沈みの激しい業界ではあるが、当社に関しては再浮上がなかなかできず苦しむ状況。2017年の業績悪化時には投資ファンド・インテグラルによる第三者割当増資で財務基盤の強化を図ったが、同じく業績悪化に陥った千代田化工建設三菱商事の救済を受けたのに対して当社は筆頭株主の三井物産の支援は得られなかった。そのうえ、第三者割当増資で発行された優先株はインテグラルが希望すれば普通株に転換できる条件付きとなっている。すなわち、優先株が転換された場合にはインテグラルが発行済み株式数の約35%を掌握する筆頭株主になるため、三井物産の当社への情熱は思いのほか薄い。

就職格付け:BB

業績こそ冴えないものの、海外志向が強いグローバル人材に根強い人気を誇るプラントエンジニアリング業界の1社。東南アジア・中央アジア・アフリカなどの発展途上国へ赴いてプラントを建築するダイナミズム溢れる事業内容はロマンがある。一定以上の語学力が求められるのは当然、危険を顧みず過酷な環境にも耐えるタフネスな精神力は必須(同業の日揮では2013年にアルジェリアに赴任していた社員10人がイスラム過激勢力に襲撃され死亡する衝撃的な事件もあった)。平均年収においては957万円(2024年)だが、海外赴任時には危険度に応じたハードシップ手当が支給され、手取ベースで2倍以上に跳ね上がることも多々。海外赴任時には家族の交通費がすべて支給されるうえ、子供の教育費用も会社負担(小中学校は全額・高校以上は80%)。海外赴任時には4ヵ月ごとに10日以上の帰国休暇も付与される。危険・不便を顧みずにダイナミックなビジネスに挑める人材には極めて推奨できる企業だろう。

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出典:東洋エンジニアリング株式会社(有価証券報告書)