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【勝ち組?】JR東日本の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

東日本旅客鉄道(JR東日本)は、関東地方・東北地方・北陸地方など東日本エリアにおいて在来線・新幹線を運営する大手鉄道会社。1949年に設立された日本国有鉄道を源流とし、1987年に国鉄分割民営化により発足。東京都内をはじめとする首都圏エリアの通勤・通学を支える長大な路線網を有し、関東圏の運賃収入だけで年1兆円以上。新幹線は東北・上越・北陸・秋田・山形の路線を運営。JRグループ全社において売上高・従業員数・営業路線長は最大を誇り、売上高は全鉄道会社の中でも断トツ首位。

POINT

・首都圏在来線を支える国内最大・世界2位の大手鉄道会社
・売上高・利益は安定的だがCOVID-19による打撃から回復途上
・平均年収676万円だが総合職は昇給が早い、福利厚生で在来線無料

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:総合職=72(最上位)

総合職:日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

新卒採用数は年間350人前後だが、うち総合職は年間80人ほど。総合職は旧帝大・早慶クラスがボリューム層だが、エリア職になると中堅大学からの採用も積極的。
採用大学:【国公立】東京大学・一橋大学・東北大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学など[エリア職:日本大学・東洋大学・東海大学など](出典:ダイヤモンドオンライン

業績動向

✔売上高と営業利益

JR東日本の売上高は2.5兆~3兆円レベルで推移してきたが、2020年に1.76兆円まで激減して現在は回復途上*1。営業利益も2020年に営業損失5,204億円という大赤字を経験したが、同年以降は回復傾向。
*1:JR東日本はCOVID-19感染拡大で大打撃を被った1社。東京都内の大企業がリモートワークを一挙拡大したことで稼ぎ柱の首都圏在来線の採算が急激悪化。COVID-19感染を恐れて公共交通機関の利用が忌避された為に業績への打撃甚大。

✔セグメント別の状況

JR東日本は運輸事業(在来線・新幹線・駅業務運営・鉄道車両製造・鉄道車両メンテナンス)、流通・サービス事業(小売・飲食・卸売・広告代理店など)、不動産・ホテル事業(駅ビル賃貸・ショッピングセンター・ホテルなど)、その他事業の4事業を有する。
当社は運輸事業をコアとして、流通・不動産・ホテルなどの事業多角化が進んだ企業である。COVID-19以降は鉄道分野が大幅赤字に沈んでいたが、2023年には運輸事業が全社利益の約49%を稼ぐまでに回復している。

✔最終利益と利益率

JR東日本の純利益は概ね1,900億~2,900億円のレンジで安定推移してきたが、2020年には純損失5,779億円を計上。同年以降は回復傾向。営業利益率もかつては15%以上で安定していたが、2020年以降は回復途上。

✔自己資本比率と純資産

JR東日本の自己資本比率は直近でも27.8%と凡庸な水準に留まる*3。かつては自己資本比率35%以上で推移していたが、2020年の大幅赤字により20%台に後退。純資産は2019年まで右肩上がりで増加していたが、2020年に大幅赤字により急減。こちらも現在は回復途上。
*3:鉄道会社は鉄道車輛や線路の維持管理に膨大な設備投資資金を要する特性があり、自己資本比率は他業界と比べて低めとなる特徴がある。ただし、安定したキャッシュフローが得られる業態であるため自己資本比率がやや低めであったとしても大きな問題とはならない。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

JR東日本の平均年収は700万円前後で推移しているが、2021年にはCOVID-19による業績悪化の影響で600万円台に後退。大卒総合職ならば35歳頃に年収650~850万円、順当に出世して課長職になれば1,000万円を越える*3。平均年齢は38.2歳と大手企業としては若め。
*3:JR東日本の採用枠には、総合職・エリア職の3種類がある。各職種ごとに職務領域が異なり、待遇にも大きな違いがある。

✔従業員数と勤続年数

JR東日本の単体従業員数は減少傾向が続いており、直近では4.11万人まで縮小。JRグループ全社において最も大所帯である。平均勤続年数は15.6年と意外と大手企業の標準的水準に留まるが、現業職も含めた平均勤続年数である点も影響している。

総合評価

企業格付け:AA

■業界ポジション
東日本エリア全域を統括するJRグループ最大手の一角。収益力こそJR東海には及ばないが、企業規模・売上高は全鉄道会社中トップを誇る。実は輸送人員数においても国営インド鉄道に次いで世界第2位の地位にあり、世界トップレベルの鉄道会社でもある。東京一極集中が続く限りドル箱の首都圏在来線は安泰だが、首都圏エリア以外は人口減少による衰退が続くことは既定路線。

■業績動向
回復途上。かつては安定企業の鏡とも評されていたが、COVID-19という特殊事態に打撃を受けて急激悪化。2021年から回復傾向にあるものの、全盛期の売上高・利益には依然として届かない。が、2023年には実に4年ぶりに運輸事業が営業黒字に転換。本業で稼ぐことができる状態となったのは希望。

■財務体質
まずまず。自己資本比率は直近でも27.8%とそこそこレベル。2019年までは自己資本比率35%ほどで安定していたが、COVID-19感染拡大期に巨額損失を計上したことで急下落。財務体質の回復は今なお道半ばであり、2019年以前にまで回復するまで時間を要するか。

就職格付け:総合職=AA、エリア職=B

■給与水準
直近の平均年収は676万円と世間のイメージよりも低いが、これは現業職も含めた給与水準。大卒総合職の給与テーブルは別枠であり、30歳頃に年収650万~850万円ほど、課長職レベルになれば1,000万円を越える。傑出した高給ではまったくないため過度な期待は禁物だが、終身雇用の安定性と引き換えである。

■福利厚生
良い。かつて国営鉄道だった時代の名残で独身寮や社宅も充実、35歳までは住宅コストを大きく抑えて生活することができる。ただし、家賃補助制度は最大3万円/月と少ないため、35歳以降は相応の負担が発生する。最大の福利厚生は当社の在来線すべて無料となる点にあり、これにより移動コストは大幅抑制できる。

■キャリア
総合職・ジョブ型総合職・エリア職の3職種制。総合職は将来の幹部候補として相応の給与水準とキャリアパスが約束されるが、エリア職はあくまでも現業職であり給与水準も大幅に低くなる。同じ企業とはいえ採用職種によって大幅に待遇が異なるため、就職格付は明確に分かれる。ジョブ型総合職は不動産事業・Suica事業・データマーケティング事業での専門的業務に従事することを前提とした採用となる。

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出典:東日本旅客鉄道株式会社(有価証券報告書)