企業概要
日清オイリオグループは、食用油・マーガリン・食品原料などを展開する食品メーカー。1907年に大倉喜八郎らが大豆油メーカーとして創業。1924年には日本初のサラダ油となる「日清サラダ油」を発売。戦時中には原材料難から事業縮小を強いられたうえ主力工場を全て喪失するも、終戦後に事業を再開。食の多様化を追い風に業績を伸ばし、1970年代にはドレッシング事業やファインケミカル事業へと進出。現在では食用油分野で国内シェア首位を誇るほか、チョコレート用油脂においても世界的シェア上位。なお、社名が類似する日清食品・日清製粉とは歴史的にも資本的にも一切の関係はない。
・食用油で国内シェア首位、チョコレート用油脂では世界的大手
・売上高は急増加傾向で利益も増加傾向、財務体質も大いに良好
・平均年収801万円だが年間休日日数はやや少なめ、従業員の定着が良い
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:64(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関
総合職の採用実績は年間25名~35名とかなり少なめであり、選考倍率は相当に高くなりやすい。一般知名度もかなり高い企業ゆえに、ハイレベル大学からの応募も多い。
採用大学:【国公立】大阪大学・名古屋大学・名古屋工業大学・東京農工大学・東京海洋大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・中央大学・成蹊大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
日清オイリオグループの売上高は2020年まで3,000億円レベルで推移していたが、同年以降は急成長*1。2022年には過去最高となる売上高5,565億円に到達している。営業利益も2020年までは90億〜120億円ほどで安定していたが、直近2年は増益傾向。
*1:2020年から急激に売上高を伸ばした理由は、①COVID-19以降の世界的な原材料高を値上げ対応により価格転嫁した点、②為替レートの円安推移による為替効果、が主要因。世界的な人口増による油脂需要の増加やバイオ燃料需要の拡大も、販売価格の上昇を後押ししている事情がある。
✔セグメント別の状況
日清オイリオグループは、油脂事業(食用油・加工用油脂など)、加工油脂事業(チョコレート用油脂・マーガリンなど)、加工食品事業(チョコレート関連品・ドレッシング・介護食品・高エネルギー食品・食用大豆など)、ファインケミカル事業(化粧品原料・植物性工業油・洗剤など)、その他事業(情報システム・スポーツ施設運営・不動産賃貸など)、の5事業を有する。
当社は売上高・利益いずれも油脂事業・加工油脂事業が大半を占めており、名実共に食用油脂に特化した事業展開をしている。周辺事業として加工食品やファインケミカルなども展開するが、いずれも事業規模はそれほど大きくない。
✔最終利益と利益率
日清オイリオグループの純利益は緩やかな増加傾向が続いており、2023年には過去最高となる純利益151億円に到達。景気後退局面も含めて、安定的に利益確保ができている。営業利益率は2%〜4%とそれほど高くはない水準。
✔自己資本比率と純資産
日清オイリオグループの自己資本比率は長期的に43%〜52%ほどの高水準で安定的。負債に依存しすぎない事業運営ができており、安定的な利益体質を踏まえれば財務健全性は大いに良好といえる。純資産も増加傾向が続いており、直近では1,926億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
日清オイリオグループの平均年収は長期的に710万~760万円ほどで推移。2023年には業績好調により平均年収801万円に到達した。総合職の場合、30歳で年収500万〜600万円、課長職レベルで年収850万〜900万円が目安。平均年齢は直近で41.9歳と、大企業の標準的水準。
✔従業員数と勤続年数
日清オイリオグループの単体従業員数は2017年から増加傾向にあり、直近では1,240人ほどの組織規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3,000人ほど。平均勤続年数は直近で18.0年とかなり長く、従業員の定着は大いに良好。
総合評価
企業格付け:CCC
食用油分野において戦前からトップクラスの地位を占めてきたリーディングカンパニーであり、日本で初めてサラダ油を商品化して大衆レベルに普及させた名門企業。良くも悪くも食用油を中核とした事業展開を続けてきた歴史があり、食用油では国内トップシェアを誇る一方で、チョコレート用油脂(世界シェア9%)を除けば他事業の存在感はそれほど大きくはない。業績は2020年まで売上高・利益いずれも横ばいが続いていたが、COVID-19以降には激変。世界的な食用油需要高騰と原材料高から食用油の値上げ対応を機敏に進め、2022年には売上高・利益いずれも過去最高圏に到達。財務体質もかなり優れており、過去10年間は自己資本比率40%〜50%レベルを維持しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。食用油という人類の生存に今や欠かせない商材において高シェアを確立しているうえ、利益体質・財務体質いずれも安定しているため、倒産リスクとはまず無縁であろう。
就職格付け:CCC
食用油における最大手企業。日本全国のスーパーや小売店に当社製品は並んでおり、主婦層を含めて一般知名度はかなり高い。一般では日清食品・日清製粉などの系列企業と思われがちだが、歴史的にも資本的にも一切の関係はない。給与水準は食品業界の最大手メーカーには敵わないが、それでも業界上位に恥じない。平均年収は長期的に710万~760万円ほどで安定している上、2023年には業績好調を従業員にも還元して平均年収801万円に到達。総合職であれば30歳で年収500万〜600万円、課長職レベルで年収850万〜900万円には達する。年功序列色が強いため若手社員は年収400万円台に留まるが、借上げ社宅制度により入社後10年間は住宅コストの負担が極めて少ないため見た目の年収よりも生活は楽。入社後10年間で2〜3部署を経験するキャリアパスとなっており様々な経験を積めるが、若いうちから専門性を磨きたい場合にはやや不向きか。とはいえ平均勤続年数18.0年と従業員の定着は大いに良好であり、従業員満足度はかなり高い模様。年間休日日数が119日と大手企業としてはやや少ない。