企業概要
日本M&Aセンターホールディングスは、中堅中小企業を対象としたM&A仲介会社。1991年に創業者の分林保弘が設立した日本エム・アンド・エーセンターを源流とし、日本のM&A業界を切り開いた企業である。主力事業のM&A仲介に留まらず、企業再生・再編支援、MBO支援などの事業も展開。約30年に渡る歴史の中で国内地銀・信金の8~9割と提携関係を築き、国内最大級のM&A情報網を完成させている。2006年には、M&A仲介会社として国内初となる東証1部上場を果たした。
・国内首位のM&A仲介業者、国内M&A業界の始祖鳥的存在
・急成長フェーズは終わるも依然として高利益率、財務体質も大いに健全
・平均年収は1,200万円以上、実力さえあれば若くして超高年収に到達
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:76(最高峰)
日本企業における最高峰クラスのキャリアであり、誰もが勝ち組として認めるレベルの待遇・名声が得られる。入社するためには人並み外れた能力・努力は当然、運も必要である。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:至難
総合職の採用人数は年度によって幅があるものの、概ね10人~40人ほどと極めて狭き門。総合職の出身大学はハイレベル大学が多いが、学歴よりも人格重視の採用方針である。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・九州大学・神戸大学・岡山大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・同志社大学・学習院大学・東京農業大学など(出典:マイナビ2025)
業績動向
✔売上高と営業利益
日本M&Aセンターホールディングスの売上高は右肩上がりの成長が続いており、直近では400億円を突破*1。営業利益も売上高に連動して伸びているが、2021年以降は横ばい傾向*2。
*1:驚異的な売上高の増加は、日本国内における旺盛なM&A需要を追い風としている。高齢化や後継者不足から会社の売却を希望するオーナー経営者が増えている他、ITベンチャー企業の売買などM&Aニーズは近年増加する傾向にある。
*2:最近ではM&A業界における新規参入が増加、熾烈な競争環境によって当社の業績も伸び悩む。2022年からは不適切会計問題によって社内が混乱している事情も(参考リンク)。
✔セグメント別の状況
日本M&AセンターホールディングスはM&Aコンサルティング事業(M&Aコンサルティングおよびマッチング、ファンド運営、企業再生・再編支援、MBO支援など)のみの単一事業会社である。
✔最終利益と利益率
日本M&Aセンターホールディングスは売上高に連動する形で純利益も増加しているが、2021年以降は横ばい傾向。営業利益率は低下傾向にあるものの、直近においても36.4%と高水準にある。
✔自己資本比率と純資産
日本M&Aセンターホールディングスの自己資本比率は直近で74.9%と著しい高水準であり、高い利益体質もあわせて考えれば極めて良好な財務体質。純資産は過去10年以上に渡って増加基調を維持してきたが、2023年には440億円に後退。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
日本M&Aセンターホールディングスの平均年収は長年に渡って1,200万円ほどで推移してきたが、2022年以降は非公開。なお、業績好調時には平均年収1,400万円を上回っていた。平均年齢は35歳前後と若く、若くして高い給与水準を享受できることが伺える。
✔従業員数と勤続年数
日本M&Aセンターホールディングスの従業員数は過去8年間に渡って増加していたが、2022年以降は持株会社の従業員数が事業会社へ移籍となり0人になった。事業会社を含めた連結従業員数は1,000人を超えており、人員規模は拡大中。他方、平均勤続年数は4年前後と短く、従業員の入れ替わりは早い。
総合評価
企業格付け:A
日本に置けるM&A業界を切り開いたリーディングカンパニーであり、過去30年間で築いた業界首位の情報ネットワークを武器として競合を凌駕している企業。営業利益率は40%台と驚異的な高さを誇り、財務体質も自己資本比率80%以上と超優良。業績は右肩上がりの拡大が続いており、旺盛なM&A需要が続く限り拡大路線が続きそうで前途は明るい。従来であればSランク以上であったが、2022年3月に不適切会計問題が勃発。売上の前倒し計上が社内で横行していることが判明してランクを下げた。尤も、業界2位・3位の企業には今なお大差をつけており、地盤は揺らげども今なお競争力は高い。
就職格付け:SS
30代で年収1000万を優に超える給与水準と、営業成績に応じて高いインセンティブが積み増しされる実力主義が魅力。基本給もしっかりと整備されており、インセンティブありきの給与水準ではない点も魅力。実力次第では年収2~3000万レベルも。福利厚生は薄いが、高い給与水準を考えればデメリットにはならない。平均勤続年数が4年程度と極端に短いが、元々が終身雇用を期待して入社する会社ではないため問題はないだろう。将来的な需要拡大が続くであろうM&A領域の専門性を高めることで、将来的なキャリアパスも広がり、高い人材価値を獲得できるだろう。
出典:株式会社日本M&Aセンターホールディングス(有価証券報告書)