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【勝ち組?】日本IBMの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

IBMは、アメリカに本社を置くITテクノロジー企業。1911年にパンチカード計算機メーカー3社が合併して誕生。戦前から計算機事業を主力としたが、1946年には電子式コンピュータを完成させ他社を圧倒。1960年代にはコンピュータ分野で世界市場を席捲した。1990年代にはマイクロソフトアップルなどの躍進で経営危機に陥ったが、ソフトウェア事業への構造転換により復活。2000年代以降はビジネス向けソリューションに軸足を移し、現在ではクラウド・AI・ソフトウェア・コンサルティングなどを主力事業とする。

POINT

・ビジネスITの世界的名門企業、ハードウェアからソフトウェアへ構造転換
・売上高・利益いずれも横ばい気味で利益率も中庸、財務体質もまずまず
・30歳・900万~1,300万円に到達するが、完全実力主義で終身雇用は望み薄

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:71(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

日本における総合職の採用数は年間400人~600人と、外資系企業としてはトップクラスの大規模採用を展開。総合職の出身大学は上位大学出身者が多いが、上位大学以外からの採用もある。
採用大学:【国公立】東京工業大学・大阪大学・東北大学・神戸大学・筑波大学・横浜国立大学・電気通信大学・東京外国語大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・東京理科大学・国際基督教大学・立教大学・立命館大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

IBMの売上高は長期的な減少傾向が継続しており、2020年には551.7億ドルまで減少*2。が、同年以降は緩やかな回復傾向にあり、直近では618.5億ドルまで微増。営業利益はそれほど安定していないが、2023年には86.9億ドルまで増加。
*1:売上高が長期的に減少している要因は、①メインフレームなどのハードウェア事業の計画的な縮小、②クラウド・AI分野における競争環境の激化、③IBMワトソンの不振、などが主要因。
*2:2020年に売上高が急減した理由は、当社からシステムインテグレータ事業・アウトソーシング事業を分社化したことが主要因(参考リンク)。現在では別会社・キンドリルとなっている。

✔セグメント別の状況

IBMは、ソフトウェア事業(レッドハット・ITオートメーション・AI・データ分析・セキュリティなど)、コンサルティング事業(ビジネストランスフォーメーション・テクノロジーコンサルティング・アプリケーションオペレーションなど)、インフラストラクチャー事業(メインフレーム・クラウドコンピューティングなど)、ファイナンス事業、その他事業、の5部門を有する。
当社はビジネス向けITソリューションを主力とするが、現在ではソフトウェア事業が稼ぎ頭。同事業ではITオートメーション・AI・データ分析・セキュリティなどを幅広く展開。コンサルティング事業ではIT分野への知見を活かしたビジネストランスフォーメーションやテクノロジーコンサルティングを得意とする。

✔最終利益と利益率

IBMの純利益は年度による変動が大きいが、過去6年間は16.4億ドル~94.3億ドルのレンジで推移している。営業利益率もそれほど安定しておらず、好調時には15%前後に到達する反面、不調時には1桁%台まで後退する。

✔自己資本比率と純資産

IBMの自己資本比率は長期的に13%~17%ほどの水準で推移しており、かなり低めの水準。純資産は緩やかな増加傾向で推移しており、直近の2023年には226億ドルに到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

IBMの平均年収は非公開。総合職の場合、新卒のアナリストクラスで年棒490万円が確約され、入社後にグローバルセールス研修を完了するとBand6職位の年棒660万円に更新される。スムーズに昇格すると30歳でBand8・マネージャークラスとなり年収1,100万~1,300万円に到達するが、実力がなければ昇給はない。

✔従業員数と勤続年数

IBMの従業員数はグローバルで30万人レベル。日本法人における従業員数は3,000人ほどと推定される。日本法人における平均勤続年数は非公開。

総合評価

企業格付け:AA

世界170か国以上で事業展開するグローバルIT企業として知られ、とりわけビジネス向けITソリューションにおいては100年以上に渡って事業展開してきた名門中の名門。日本においては戦前の1937年から事業展開しており、外資系企業でありながらも下手な日本企業を凌駕する歴史と事業基盤を持つ。創立から現在までに多種多様な事業を組み替えてきた歴史があるが、大きな分岐点となったのは1990年代におけるハードウェアからソフトウェアへの転換。これにより、現在でも高い収益性を見込めるソフトウェア・クラウド・AIなどの先端分野で事業展開ができている。が、昨今においてはマイクロソフト・アップル・アマゾンなどの新興ビッグテックに押され気味。日本事業においても2000年には売上高1.64兆円を記録したが、2023年には売上高7,309億円と半減以上の減少となっている。多種多様な事業展開こそあれど、いずれの分野においても厳しい競争環境に晒され、他社を圧倒するシェアの確立に至っていないジレンマがある。

就職格付け:A

1990年代から2000年代にかけてはトップレベル企業として外資系企業を目指すエリート達が羨望した企業であった名門。戦前からの長い歴史を持つ日本IBMは今なお高いネームバリューを誇り、IT業界を志望する求職者にとっては一定以上の存在感を放っている。給与水準は外資系企業の名に恥じず、かなりの高水準。大卒初任給で年棒490万円が確約され、入社後にグローバルセールス研修を完了すると年棒660万円にアップする。完全実力主義であるため実力さえあれば30歳前後でマネージャーレベルに到達して年収1,100万~1,300万円に到達する。ただし福利厚生は削減傾向にあり、家賃補助制度・借上げ社宅制度はいずれも廃止されている点には注意が必要。当社の課題は日本型雇用とはまったく異なる雇用慣習であり、過去には苛烈なリストラ手法が何度も報道されている(参考リンク)他、労働組合による批判も相当に手厳しい(参考リンク)。実力さえあれば相当以上の待遇を享受できるが、実力がなければ終身雇用は望めない。こういった雇用慣習や実力主義への覚悟は当然必要だろう。

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出典:International Business Machines Corporation(Investor Relations)