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自動車部品

【勝ち組?】小糸製作所の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

小糸製作所は、ランプ・光技術を結集した自動車向け照明機器を主力とする自動車部品メーカー。LED・HID・ハロゲンなど多様な光源のヘッドランプ・補助灯・標識灯を製造する他、鉄道車両・航空機向けランプ・道路照明・トンネル照明なども展開。過去には世界で初めて自動車用LEDヘッドランプ・オール樹脂製ヘッドランプを実用化、自動車用ランプのイノベーションを牽引してきた企業である。トヨタ自動車が発行済み株式数の約20%を保有する筆頭株主であり、トヨタグループと親密。

POINT

・トヨタグループの大手自動車部品メーカー、自動車向けランプが最主力商品
・売上高は安定的だが利益率が近年停滞、財務体質は大いに優良
・平均年収638万円、主力拠点は静岡県に集中しており転勤リスクは少ない

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:63(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用人数は年間20人~40人と企業規模の割には少なく、門戸はやや狭い。静岡県の有力企業であるため、同県出身者のUターン就職先として一定の人気がある。
採用大学:【国公立】静岡大学・新潟大学・三重大学・大阪公立大学・電気通信大学・豊橋技術科学大学など、【私立】青山学院大学・法政大学・東京理科大学・芝浦工業大学・東京電機大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

小糸製作所の売上高は長期的に8,000億円以上で推移しており、2023年には過去最高となる9,502億円に到達更新*1。2020年・2021年のみ7,000億円台に後退したが、これは一過性の要因*1。営業利益は2018年まで1,000億円レベルで推移していたが、2020年からは460億~560億円に後退*2。
*1:2020年・2021年に売上高が減少した理由は、COVID-19感染拡大および世界的な半導体不足による新車生産台数の減少。同年以降は新車生産台数の回復によって増収。
*2:2019年から営業利益が減少している理由は、①世界的な原材料価格の高騰によるコスト上昇、②トヨタグループの認証不正問題による生産混乱、③先行研究開発費の増加、など。

✔セグメント別の状況

小糸製作所は、日本事業(自動車向けライト、鉄道車両制御機器・航空機部品、信号機・交通システムなど)、北米事業(アメリカ・メキシコ・メキシコにおける事業展開)、中国事業(中国における事業展開)、アジア事業(タイ・インドネシア・インド・台湾における事業展開)、欧州事業(イギリス・チェコにおける事業展開)、その他事業(ブラジルにおける事業展開)、の6事業を有する。
売上高・利益を地域別に分解すると、日本事業が全社利益の約63%を支える主力事業となっている。北米地域は売上高こそ高いが利益が低く、アジア地域は売上高としては低いが利益貢献が大きい。

✔最終利益と利益率

小糸製作所の純利益は2017年をピークに縮小傾向*3。とはいえ、COVID-19感染拡大による急変動期にも純損失には転落していない底堅さが強み。営業利益率は2019年までは10%以上で推移していたが、2022年には5%台に半減している。
*3:2017年までは高採算なLEDヘッドライトの拡販で利益拡張が続いていた。しかし近年は、①新車生産台数の不安定化による固定費増加、②物流費・原材料費・光熱費の高騰、により苦戦を強いられている。

✔自己資本比率と純資産

小糸製作所の自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いており、2023年には69.6%に到達。安定的な利益体質と堅牢な財務体質を両立している。純資産も増加傾向が続いており、2023年には7,192億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

小糸製作所の平均年収は長年に渡って620万~670万円レベルで推移しているが、2017年以降の利益停滞で平均年収は伸び悩む。大卒総合職は30歳で年収480万~550万円ほど、課長職レベルで年収920万~1,000万が目安。年功序列型の給与制度であり、給与を上げるためには勤続年数を重ねる必要がある。

✔従業員数と勤続年数

小糸製作所の単体従業員数は長年に渡って横這い傾向が続いており、4,100人~4,500人ほどの組織規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.38万人ほど。平均勤続年数は直近で20.5年と非常に長く、従業員の定着は大変良い。

総合評価

企業格付け:CCC

自動車用ランプ分野においてスタンレー電気・市光工業と並んで業界大手3社として知られる企業。が、実際には同業2社を企業規模において大きく凌駕しており、事実上の自動車用ランプメーカーとして日系首位の存在と言えよう。ちなみに、自動車部品業界を見渡しても国内上位15社以内には数えられるほどの規模感ではある。業績においては、売上高こそ安定的だが、2017年から利益減少が続いている点が辛い。原材料費高騰や新車生産不安定化によって苦戦を強いられており、2024年には主要顧客であるトヨタグループの認証不正問題も逆風となった。とはいえ、自動車用ランプは機能性・デザイン性において新型車の商品力を大きく左右する部品であるため、高付加価値化による利益確保がしやすい商品ではある。1990年代には売上高1,000億円規模に過ぎなかったが、それから約25年で売上高を7倍にまで増やしており、実はかなりの成長企業でもある。財務体質においても優良であり、直近3年間は自己資本比率65%以上と相当の高水準である。

就職格付け:CCC

自動車部品に特化した企業であるため一般的知名度は高くはないが、主力4工場が集中する静岡県内においては大きな影響力がある企業。売上高9,000億円を優に上回る企業規模は日系企業でも上位250位以内に入ることから、一定以上のリテラシーがある層ならば誰もが知る企業である。給与水準においては平均年収は600万円台とそこまで高くはなく、年収は大手メーカーとしては凡庸な水準。大卒総合職は30歳で年収480万~550万円ほど、課長職レベルで年収920万~1,000万が目安となるだろう。しかし、主力拠点がすべて静岡県に集中しているために生活コストは安く済むのは大きな強み。静岡県内であれば、余裕で持家を取得して豊かな人生を楽しむことができる給与水準である。また、静岡県内であればトップ企業の1社であるため、同県内であれば世間体も不満ないだろう。同県のトップ企業であるヤマハヤマハ発動機スズキと比べると一般知名度がやや低いため、地元志向が強い静岡県出身者は積極的に狙いたい。

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出典:株式会社小糸製作所(有価証券報告書)