カテゴリー
不動産

【勝ち組?】地主の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

地主(旧・日本商業開発)は、不動産投資・アセットマネジメント・サブリースなどを手掛ける不動産会社。2000年に大阪市中央区で創業、1992年の改正借地借家法で策定された事業用定期借地権に着目して、土地のみに投資するビジネスモデルを構築。関東・中部・関西エリアで累計360件以上もの底地を買付、スーパー・ドラッグストア・家電量販店などを顧客として土地を貸し出す事業を展開。私募REIT「地主プライベートリート投資法人」も運営しており、投資家の資金を長期安定運用する事業も営む。

POINT

・事業用定期借地権に特化した不動産会社、私募REIT運営も手掛ける
・売上高・利益は年度によりけりだが、創業20年で大きく成長
・平均年収1,915万円と給与水準は極めて高い、家賃補助も大盤振る舞い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:77(最高峰)

サラリーマンとしては最高峰クラスの勝ち組。一般知名度は極めて低いが、それを補って余りある給与水準が魅力。土地活用という専門性を確立できるキャリア価値も高査定を牽引。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:最難関級

総合職の採用数は毎年0名~3名のみ。単体従業員数が100名未満の組織規模であるため、入社するチャンス自体が非常に稀。大卒総合職の出身大学はハイレベル大学が揃う。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・名古屋大学・九州大学、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・関西学院大学(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

地主の売上高は年度による上下変動が激しいが、これは不動産売買という事業の性質が原因。2019年には過去最高となる売上高741億円に到達*1したが、2020年には298億円まで急落*2。営業利益は2020年を除けば増加傾向にあり、2024年には過去最高となる86.7億円に到達。
*1:2019年の売上高急増は、同年に不動産市場の下落を察知して販売用不動産220億円分を売却したことが主要因。有利子負債の返済を通して財務基盤強化を進めた経緯。
*2:2020年の売上高急減は、①前年に販売用不動産を一気に売却した反動が生じた点、②同年に決算月を3月から12月に変更したため9か月決算となった点、が主要因。

✔セグメント別の状況

地主は、不動産投資事業(JINUSHIビジネス:土地買付および長期借地権設定契約による土地賃貸借など)、不動産賃貸事業(土地を借り入れて転貸するサブリース、個人投資家向け不動産金融商品『地主倶楽部』運営など)、資産運用事業(私募リートにおける資産運用・運営管理・アセットマネジメントなど)、の3事業を有する。
当社の主力事業は「JINUSHI」ビジネスであり、売上高・利益いずれも不動産投資事業が85%以上を占める。事業領域を土地投資に絞り込むことで、効率的な事業展開を実現。借地権においては、建物の運営・修繕は土地を借りて上物を建てる賃借人側にあるため、管理運営の手間がないのも強み。

✔最終利益と利益率

地主の純利益は2020年を除けば緩やかな増加傾向にあり、2024年には60.8億円に到達*2。営業利益率は不動産市況・案件によって変化するため安定しないが、好調時には20%に迫る水準まで上昇する。
*2:売上高の変動幅に比べて利益が安定しているのは、①主力の土地賃貸収益が安定している点、①土地売買は不動産市況を踏まえながら調整している点、に起因する。

✔自己資本比率と純資産

地主の自己資本比率は21%~42%のレンジで長期的に推移している。それほど高い水準にはないが、不動産事業の性質上やむを得ない*3。純資産は右肩上がりで増加しており、2024年には過去最高となる448億円に到達。
*3:不動産事業者は不動産の買付のための投資額が巨額に及び、投資期間も長期に渡るためため長期借入金などの資金調達で賄うことが多く、自己資本比率は高まりにくい傾向がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

地主の平均年収は年度によって好不調が分かれるが、長期的には1,500万~1,920万円ほどで推移している。年棒制かつ実績に応じて給与が決定される完全実力主義。入社年次に応じた給与水準の相場はないが、大卒初任給は月給50万円を超える。

✔従業員数と勤続年数

地主の単体従業員数は長期的に増加傾向にあるが、直近でも69人規模の組織体制となっており、極めて少数精鋭の組織体制である。平均勤続年数は3年~5年ほどで推移しているが、不動産業界は人材の流動性が高いためやむを得ない。

総合評価

企業格付け:AAA

■業績動向
成長基調。当社は2000年に創業した若い企業であるが、創業20年余で売上高・利益を大きく伸ばしており、2019年には売上高700億円を突破する局面も。運営する私募REITは開始9年目にして資産規模2,500億円を突破。当社の事業のコアとなっている事業用定期借地権自体が1992年の借地借家法改正で生まれた新しい概念であるが、マーケットの成長にあわせて事業規模を拡大しつつある。

■財務体質
普通。直近では純資産448億円(2024年)に対して有利子負債628億円(2024年)と有利子負債比率は高い。が、不動産業自体が長期的に負債を有効活用して収益を生むビジネスであるから負債額をそれほど危険視する必要がない点には注意。2019年には販売用不動産を高値で売り抜けて負債額を圧縮しており、適正な財務コントロールに努めている。

■ビジネス動向
安定成長のためにストックビジネス拡大に注力。具体的には、①土地の長期賃貸収益の割合を高めることで安定利益を拡大、②私募REITの規模拡大によるアセットマネジメント収益の積増、を狙う。2026年の目標は売上高1,000億円・純利益70億円と控えめだが、安定・堅実な成長を志向していると解釈すれば理解できる。

就職格付け:SS

■給与水準
極めて高水準。成績に応じたインセンティブにより給与額は大きく変動するが、平均年収でも1,500万円を優に上回る。2024年には平均年収1,900万円すら上回っており、給与水準は極めて高い。大卒初任給は50万円に設定されており、インセンティブ抜きでも外資系コンサルティング会社の初任給ラインとなる600万円は確約されている。

■福利厚生
良好。若手社員には初任給50万円とは別に、住宅手当も10万円/月を支給。勤務時間は7時間/日と短いうえ平均残業時間も25.4時間/月(2021年)に過ぎず、年間休日日数も125日と相場よりも多め。個人成績に応じて3か月おきに支給されるインセンティブが給与水準を大きく左右する。国内拠点は東京・大阪・名古屋・福岡の4拠点であるため、僻地への転勤リスクもない。

■キャリア
営業社員1人で土地の買付〜商品化〜売却までを一貫して担当する制度に特色。不動産ビジネスマンとして生き抜くために必要なスキルを得られるのは大きな魅力。社員数50人規模の極めて少数精鋭の企業であるため、大手不動産会社とは違って入社早々にプレイヤーとして大きな仕事を任されるため、成長スピードは早い。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!

出典:地主株式会社(有価証券報告書)