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【勝ち組?】住友商事の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

住友商事は、金属・不動産・資源・穀物・インフラ・自動車ビジネスなどを幅広く展開する住友グループの総合商社。五大商社の一角であり、日本電気住友電気工業と並ぶ住友新御三家の一角。住友グループは歴史的に商社設立を禁じていたが、終戦後の1945年に住友土地公務の商社部門として設立。1962年には鉄鋼・非鉄金属・電気・機械・農水産・化学・繊維・不動産を揃え、名実ともに総合商社の一角に。五大商社の中では非資源分野比率が高く、自動車・建機・不動産などに強み。

POINT

・非資源分野に強い住友Gの総合商社、自動車・建機・不動産などに強み
・COVID-19以降は業績好調だが直近は減益、財務体質は良化傾向
・平均年収1,605万円で独身寮は卓越、家賃補助制度はない

✔就職偏差値:78(頂点)

サラリーマン社会の頂点。誰もが羨望する圧倒的な待遇・地位が約束されるスーパーエリート。入社できるのは同世代の極一握りに限られ、超人的な能力・努力・運がすべて必要となる。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:至難

総合職の採用数は年間100人ほど、全業界トップクラスの人気企業たる総合商社だけあって選考倍率はやはり熾烈。大卒総合職はトップレベル大学の出身者かつ何らかの実績がある人材が大多数。最近は中途採用枠も拡大中。
採用大学:【国公立】東京大学・一橋大学・京都大学・大阪大学・東北大学・神戸大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学など(出典:ダイヤモンドオンライン

業績動向

✔売上高と営業利益

住友商事の売上高は過去8年間に渡って増加傾向が続いており、2024年には6.91兆円に到達*1。営業利益は2020年に急落したが、2022年には過去最高となる営業利益4,230億円に到達。
*1:2022年の業績好調の理由は、①世界的な資源価格の高騰による金属・資源事業の好調、②自動車・建機の販売好調、③世界的な電力価格の高騰を受けた電力事業の好調、④為替レートの円安推移による為替効果など。

✔セグメント別の状況

住友商事は、金属事業(鉄鋼・非鉄金属、精錬)、輸送機・建機事業(自動車・二輪車・自動車部品・タイヤ・建設機械・産業機械、金融サービスなど)、インフラ事業(電力EPC・交通輸送インフラ・物流・工業団地開発)、メディア・デジタル事業(情報通信・5G関連事業・テレビ通販・映像コンテンツ・ケーブルテレビ)、生活・不動産事業(食品スーパー、穀物・油脂、オフィスビル・商業施設、建材・セメント・電気設備)、資源・化学品事業(非鉄金属原料・石炭・鉄鉱石の採掘生産、トレーディングなど)、の6事業を有する。
住友商事は売上高の約77%が非資源分野であり、総合商社のな中でも非資源分野に強い点に特徴。資源価格の乱高下による業績変動が少ないことが安定性に寄与する反面、資源価格の高騰局面において利益を大きく伸ばすこともない。

✔最終利益と利益率

住友商事の純利益は2022年に過去最高となる5,653億円に到達したが、2023年には3,864億円にやや後退*2、長期的には増加傾向が続いている。営業利益率は長期的に1%~6%と低めだが、事業規模の大きさによって巨額の利益を得られる構造。
*2:2023年に純利益が減少した要因は、①マダガスカルでのニッケル事業における減損損失890億円、②資源価格の一服によるボリビア銀・亜鉛・鉛事業・および豪州石炭事業の減益、③アメリカにおける銅管事業の減益、など。

✔自己資本比率と純資産

住友商事の自己資本比率は長期的な増加傾向が継続しており、直近では40.3%まで増加。総合商社は自己資本比率が高まりにくい性質があるが*3、それでも良好な自己資本比率まで達している。純資産も右肩上がりで増加しており、直近で4.67兆円に到達。
*3:総合商社は規模・信用を活かして多額の資金を調達して事業に投資するビジネスモデル。常に新たな事業への投資を模索しているため、自己資本比率は高まりにくい業態。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

住友商事の平均年収は長年に渡って緩やかな増加傾向が継続しており、直近の2022年には1,605万円に到達。業績によって給与水準が大幅に変動するが、大卒総合職は30歳で1,350万~1,500万円、課長職レベルで1,900万~2,100万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

住友商事の単体従業員数は過去8年間に渡って5,000人~5,200人ほどで安定的。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は7.82万人ほど。平均勤続年数は18年を上回って安定しており、従業員の定着はよい。

総合評価

企業格付け:SS

■業界ポジション
五大商社の一角。三菱商事・三井物産・伊藤忠商事との間には圧倒的な差があり、事実であり、売上高・利益いずれも大差で引き離されている。目下のライバルは丸紅であるが、2023年度決算では売上高・純利益いずれも負け。純資産においては依然としてリードしているものの、相対的な優位性は縮まりつつあるか。新興勢力として豊田通商も業績を伸ばしており、五大商社というポジションの維持は決して安泰ではない。

■業績動向
好調でありつつも踊り場を迎える。2022年には過去最高となる純利益5,653億円を叩き出して我が世の春を謳歌したが、2023年には一部事業の不振により減益に沈んだ。今まで業績を下支えしてきた円安・資源高などの要素も一巡しつつあり、2022年の記録を上回る利益計上はやや難しくなりつつあるか。

■財務体質
良好。昨今の業績好調によって財務体質が強化されつつあり、直近では自己資本比率40.3%まで増加。総合商社は本来は自己資本比率が低迷しやすい業態であるが、それでも良好な水準にまで伸ばした。自己資本比率だけならば総合商社トップクラスであり、現状の財務体質であれば「商社冬の時代」が再来したとしても耐え凌ぎやすいだろう。

就職格付け:S

■給与水準
業績回復に伴って給与水準も増加傾向が続く。業績によって賞与額が大きく変動するとはいえ、大卒総合職は30歳で1,350万~1,500万円には到達する。課長職レベルともなれば1,900万~2,100万円ほど。海外赴任すれば更に給与水準は跳ね上がるため、日本人の平均を大きく上回るリッチな生活を送れるだろう。

■福利厚生
卓越。とりわけ若手社員が入居する新浦安独身寮は美麗な建物に200戸以上を備え、トレーニングジム・テラス・卓球台・漫画ルーム・大浴場などの設備が充実。家賃補助制度はないが、独身寮を退寮する頃には年収1,500万円は超えるため問題はないだろう。海外勤務となれば住宅は会社が用意するため自己負担はほぼなく、金銭的には更に恵まれる。

■キャリア
一般職は廃止され、現在はプロフェッショナル職(総合職)のみ。入社後に配属された各事業部門においてローテーションを経験しながら昇格を目指していくのが基本。入社数年後には実務ないし研修の名目で海外勤務を経験する。入社から最短4年後に主任へと昇格し、8年後には基幹職へと昇格する(参考資料)。代表取締役会長は電力インフラ畑、現代表取締役は金属畑の出身。

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出典:住友商事株式会社(有価証券報告書)