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【勝ち組?】住友倉庫の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

住友倉庫は、住友グループに属する倉庫業・物流業・海運業・不動産業を主力とする大手物流会社。1899年に住友家が個人商店として創業、1960年代に神戸港・東京港でコンテナターミナル業務を開始したことで業容拡大。国内外に保有する倉庫は延床面積80万㎡を超え、国内主要港のコンテナターミナル運営・船舶代理店業務も展開。過去に倉庫を展開していた都市部の用地にオフィスビル・商業ビルなどを建設、不動産事業も展開している。2006年には陸運業界の遠州トラックの筆頭株主となり、同社を子会社化した。

POINT

・住友Gにおいて物流業を担う財閥系倉庫、業界3位の規模
・売上高・利益は2020年から急増したが、海運事業の売却で一服見込
・平均年収790万円で福利厚生も充実、平均年齢37.7歳と若め

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:65(中堅上位)

大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用数は年間25名~30名ほどだが、事務職の採用数も10名~15名ほどある。不人気傾向が強い物流業界の企業であるが、住友グループのブランド力もあって選考倍率は高め。
採用大学:【国公立】大阪大学・筑波大学・新潟大学・静岡大学・滋賀大学・横浜市立大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・国際基督教大学・中央大学・青山学院大学・関西学院大学・関西大学・成蹊大学・成城大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

住友倉庫の売上高は2021年に過去最高となる2,314億円に到達したが、2023年は1,846億円に後退。営業利益は2020年まで100億円規模で推移していたが、2021年に過去最高となる259億円に急増。ただし、2023年は営業利益207億円に後退。
*1:2021年・2022年はCOVID-19影響による世界的なサプライチェーン混乱により製品貯蔵の需要が急増した他、海上運賃・航空運賃の高騰により増収増益。2023年は混乱一服によって特需が剥落した。

✔セグメント別の状況

住友倉庫は、物流事業(倉庫保管・荷役・流通加工、陸上運送、港湾荷役・運送、国際運送、トランクルームなど)、海運事業(北米北西岸航路における船舶運航)、不動産事業(オフィスビル・商業ビル・物流施設・賃貸住宅・ビジネスホテル・高齢者施設など)、の3事業を有する。
当社は物流事業を中核としつつ、不動産事業において首都圏・大阪にオフィスビルを多数保有する事業展開となっている。かつては海運事業も展開していたが、2022年に事業売却して撤退(参考リンク)。海運事業は海運市況に業績を極端に左右される為、好業績のうちに事業売却することを決断した。

✔最終利益と利益率

住友倉庫の純利益は80億円前後で安定的であったが、2021年・2022年は200億円レベルへ急増*3。営業利益率も2020年まで5%前後で推移していたが、同年以降は7%~11%ほどに上昇。物流業界としては上位級の利益率を誇る。
*3:2022年の純利益には海運子会社の売却による特別利益131億円が含まれる(参考リンク)。業績好調であった同事業の売却により、2023年の純利益は減少となっている。

✔自己資本比率と純資産

住友倉庫の自己資本比率は長期的に50%レベルでの推移が続いており、十分な健全性を維持できている。純資産は2019年からは増加傾向、2023年には純資産2,648億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

住友倉庫の平均年収は2021年まで730万~750万円で推移していたが、同年以降は増加。2023年には平均年収790万円となっている。総合職の場合は30歳で年収650万~750万円ほど、課長職レベルで年収1,030万~1,130万円が目安。平均年齢は増加傾向だが、直近でも36.9歳と大企業としては若め。

✔従業員数と勤続年数

住友倉庫の従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、直近の2023年には850人に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4,460人ほど。平均勤続年数は13.5年と短めの水準だが、平均年齢が若いことを踏まえれば問題ない水準。

総合評価

企業格付け:BB

三菱倉庫三井倉庫に続く、財閥系倉庫の雄。三菱倉庫・三井倉庫は売上高3,000億円規模に対して、住友倉庫は売上高2,000億円レベルと事業規模はやや小さめ。しかしながら、利益においては三菱倉庫・三井倉庫とも互角級であり、決して見劣りしない。これは、①海運事業がCOVID-19後の海運市況急騰で高利益を生み出した点、②物流事業において無闇な規模拡大よりも利益確保を優先している点、などに起因する。海運市況は落ち着きつつあるうえ、2022年には海運子会社ウエストウッドシッピングラインズをシンガポール海運大手に売却して海運事業からは撤退しており、海運市況による業績変動は今後はなくなる見通しである。財務体質は自己資本比率50%レベルと三菱倉庫に続くレベルで健全、三井倉庫に対しては財務健全性でやや上回っている。不動産事業を展開する点も三菱倉庫・三井倉庫と共通、オフィスビル・商業ビル・物流施設・高齢者施設などを幅広く保有している。総じて、大きな成長性は特段ないものの、業績の安定感において秀でた企業である。

就職格付け:BB

住友グループの物流会社にして財閥系倉庫会社の一角。財閥系倉庫会社では唯一、大阪に本社を置いている。歴史的には1899年に住友家が銀行の担保品の保管業務を分離して「住友倉庫」の商号で始めた倉庫業が発祥であり、 住友グループにおける名門企業と評価できよう。給与水準は三井倉庫と同格の平均年収730万~750万円レベル。しかし、三井倉庫は持株会社の従業員245名のみの平均年収かつ平均年齢が約5歳も上であるため、実質的な給与水準は住友倉庫の方が高い。総合職の場合は30歳で年収650万~750万円ほど、課長職レベルで年収1,030万~1,130万円が目安となり、物流業界としてはトップクラスの待遇である。福利厚生はかなり充実しており、独身寮には35歳まで入居できるうえ、家賃は光熱費込みで月5,000円を下回る。寮費が格安かつ10年以上に渡って滞在できるため、無理せず貯金をハイペースで蓄積できるのは大いに有利。他の財閥系倉庫とは異なり大阪本社のため、独身寮から出た後の住居コストも首都圏よりは安価という隠された優位性も忘れてはならない。

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出典:株式会社住友倉庫(有価証券報告書)