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小売流通会社

セブン&アイ・ホールディングスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

セブン&アイ・ホールディングスは、世界16ヶ国以上でコンビニエンスストア・総合スーパー・百貨店・ATMを展開する大手小売流通業者。1920年に羊華堂洋品店(現・イトーヨーカ堂)として創業、1973年に米サウスランド・カンパニーとライセンス契約を締結してセブンイレブン事業に進出。1991年には経営危機に陥った米サウスランド・カンパニーを完全子会社化、現在では世界16ヶ国に7万店以上に展開。2020年には米スピードウェイを買収、4,000店舗を傘下に収めた。現在では全日本企業中5位の売上高を誇る。

POINT

1.世界的コンビニ大手で8万店舗以上を展開、米コンビニ大手を買収し規模拡大
2.売上高・利益いずれも積極的M&Aにより成長基調、財務体質も安定的
3.平均年収776万円と小売流通業では首位級、福利厚生は凡庸

業績動向

✔売上高と営業利益

セブン&アイ・ホールディングスの売上高は6兆円レベルで安定推移していたが、2020年以降は急成長*1。直近の2022年には売上高11.8兆円に到達した。営業利益は3,500億~4,200億円レベルで安定的だが、直近では営業利益5,000億円を突破。
*1:2021年からは新たに買収した米スピードウェイの売上高が加わったことで売上高が増加。2022年には国内外における人龍回復によりコンビニ事業の売上高が世界的に伸長。
*2:セブンイレブン事業においてフランチャイズ展開を行っている為、売上高の解釈には要注意。資本関係を考慮した連結決算の売上高は11.8兆円だが、国内外における全加盟店の売上高を含めたグループ売上高は17.8兆円に及ぶ。

✔セグメント別の状況

セブン&アイ・ホールディングスは国内コンビニ事業(国内セブンイレブン)、海外コンビニ事業(海外セブンイレブン、スピードウェイ事業など)、スーパーストア事業(イトーヨーカ堂、ヨークベニマルなど)、百貨店・専門店事業(そごう・西武百貨店・赤ちゃん本舗・ニッセン・Francfrancなど)、金融関連事業(セブン銀行・カード事業など)、その他事業(ネット事業・教育・旅行業など)の6事業を有する。
セブン&アイ・ホールディングスの主力事業は売上高の約60%を占める海外コンビニ事業。東アジア2.2万店・東南アジア1.9万店・北米1.5万店を展開しており、日本国内2.1万点を大きく上回る店舗展開を実現。2022年以降は成長性の薄いノンコア事業の再編に注力、①そごう・西武百貨店の売却、②オッシュマンズジャパンの売却、③Francfrancの売却、を進めている。

✔最終利益と利益率

セブン&アイ・ホールディングスの純利益は長年にわたって黒字をしっかりと確保、2022年には過去最高となる純利益2,810億円に到達。営業利益率は5~6%ほどで安定推移。小売流通業としてはそこそこ高めの水準であり、同業のイオンの倍以上の利益率を確保。

✔自己資本比率と純資産

セブン&アイ・ホールディングスの自己資本比率は2019年から減少傾向が続いており、直近では32.9%まで低下*3。利益創出力が安定しているため健全性に問題はない。純資産は長期的な増加傾向にあり、直近では純資産3.65兆円に到達。
*3:2020年に米スピードウェイを買収する為の資金調達としてドル建て社債1.2兆円を発行したことで、自己資本比率が低下した経緯。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

セブン&アイ・ホールディングスの平均年収は700万円台での推移が続いているが、直近では平均年収770万円まで向上。平均年齢は43歳前後で推移しており、大手企業の標準的水準。いずれも持株会社の969名のみの平均値である点には注意。

✔従業員数と勤続年数

セブン&アイ・ホールディングスの従業員数は2020年に米スピードウェイの買収により急増。連結従業員数8万人の巨大組織となっているが、持株会社の従業員数は969名に過ぎない。平均勤続年数は15年前後で安定的だが、これは持株会社の969名のみの平均勤続年数。

総合評価

企業格付け:A

売上高11兆円・連結従業員数8万人の巨大企業であり、売上高だけならば日本企業上位10社以内に数えられる規模を誇る。主力のコンビニ事業は国内断トツ首位。かつて米サウスランド・カンパニーからライセンス契約を受けた立場でありながら米サウスランド・カンパニーを逆買収して完全子会社化、更には競合企業だった米スピードウェイまでをも買収してアメリカのコンビニ市場において首位君臨。アジア各国においても高シェアを確立しており、世界的なコンビニ大手の地位を確立。業績は積極的M&Aを駆使しながら成長基調を継続、売上高・利益いずれも増加傾向が続いている。財務体質は米スピードウェイの買収資金を社債発行で補ったことで自己資本比率30%台まで低下したが、特段の問題はない水準であろう。2022年以降は百貨店・専門店事業の整理に着手しており、成長性の薄い事業を売却してコア事業へ更に注力していく方針である。

就職格付け:BB

小売流通業においてイオンと双璧を為す圧倒的な強者であり、コンビニ業界における世界的存在。海外コンビニ事業の大成功は伝説的だが、国内コンビニ事業において店舗オペレーション・商品開発力の巧みさには定評がありライバル企業を圧倒。給与水準は平均年収700万円台と小売流通業ではトップクラスだが、ただし他業界まで視野に入れると大手メーカー並みの給与体系に留まる。福利厚生は大手企業なりの制度は一通り揃ってはいるが、特筆すべき見どころはない。持株会社の従業員数は969人と少数精鋭であり、採用枠は中途採用のみ。新卒採用は持株会社傘下の各事業会社となるため、待遇面は持株会社よりもやや下がる。小売流通業に取り組みたい強い意志があるならば筆頭候補となる企業であるが、業界にこだわりがない場合には他業界の大手企業ともしっかり比較して考えたい。業績は成長基調かつ利益創出力もあるため安定性は長所。

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