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【勝ち組?】京セラの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

京セラは、電子部品・ファインセラミック・情報機器・医療機器・太陽光発電システムなどを主力とする大手電子部品・電機メーカー。1959年に稲盛和夫がファインセラミック専業メーカーとして創業。創業直後から絶縁部品やIC部品を製造して急成長を果たした。1984年には第二電電企画(現・KDDI)の創業24社のうちの1社に名を連ね、情報通信分野へも進出。現在では祖業の電子部品・半導体のみならず、機械工具・太陽光発電パネル・医療機器・携帯電話端末・複合機など多種多様な事業を展開。

POINT

・コンポーネント部品に強みを持つ電子部品・電機メーカー、創業者は稲盛和夫
・売上高・利益いずれも長期的な成長基調が継続、財務体質は超優良
・平均年収723万円で福利厚生はまずまず、独特の経営理念で知られる

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:65(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用数は年間350人~400人ほど。うち事務系採用枠が100人前後あるため、大手メーカーの中では文系出身者でも就職しやすい。一般知名度が高いため選考倍率は上振れしやすい傾向。
採用大学:【国公立】京都大学・大阪大学・横浜国立大学・金沢大学・埼玉大学・岡山大学・信州大学・京都工芸繊維大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・同志社大学・中央大学・立命館大学・日本大学・近畿大学・獨協大学・龍谷大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

京セラの売上高は長期的な成長が継続しており、2022年には売上高2.03兆円に到達して過去最高を更新*1。営業利益は2019年までは900億~1,000億円レベルで安定していたが、2021年には過去最高となる1,489億円に急増。ただし同年以降はやや減益傾向にある*2。
*1:2021年~2022年に売上高が急増した理由は、①COVID-19以降の世界的な半導体不足による市況改善、②電気自動車・5G通信機器における需要増加、③為替レートの円安推移による増収効果、など。
*2:2023年に営業利益が減少した理由は、①世界的な原材料価格の高騰による原価上昇、②スマートフォン・自動車向けの半導体部品の需要減少、が原因。

✔セグメント別の状況

京セラはコンポーネント事業(ファインセラミック部品・自動車部品・光学部品・医療機器・宝飾商品など)、電子部品事業(電子部品・コネクタ・センサなど)、ソリューション事業(機械工具・情報機器・通信機器・太陽光発電システム・蓄電池・燃料電池・ディスプレイなど)、その他事業の4事業を有する。
当社は事業多角化が進んだ企業であるが、業績貢献の大きい主力事業はコンポーネント事業・ソリューション事業である。コンポーネント事業は全社利益の約50%を稼ぎ出しており、事業部門の営業利益率は約10%にも及ぶ。ソリューション事業は売上高・利益いずれも半分以上を稼いでおり、当社の最重要事業となっている。

✔最終利益と利益率

京セラの純利益は2021年に1,484億円に急増したが、同年以降は減少傾向。直近の2023年は純利益1,010億円となっており、COVID-19以前の水準に戻った。営業利益率は5~8%ほどの水準を安定的に確保できており、大手メーカーとしては標準的な利益率*3。
*3:当社は長年に渡って黒字経営を堅持してきた企業として知られ、創業から現在に至るまで最終赤字に転落したことはない。景気後退局面も含めて、安定的に利益を確保できる事業構造が強み。

✔自己資本比率と純資産

京セラの自己資本比率は長年に渡って70%~75%の高水準で推移しており、財務体質は極めて健全。事業経営の基礎として負債が極めて少ない財務体質を重視しており、自己資本比率は高止まりしている。純資産は2020年から増加傾向が続いており、直近の2023年には3.25兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

京セラの平均年収は長年に渡って680~720万円ほどの水準で安定的に推移、業績成長の割には従業員の給与水準は横ばいが続いている。大卒総合職は30歳前後で年収550万~700万円ほど、課長職レベルで年収850万~900万円が目安。平均年齢は2018年をピークに低下傾向があり、直近では40歳までの若返りを果たした。

✔従業員数と勤続年数

京セラの単体従業員数は長年に渡って増加傾向が続いており、2021年には2万人を突破。直近では2.11万人の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は8.12万人ほど。平均勤続年数は2021年から減少傾向にあるが、直近でも15.5年と大手メーカーの標準的水準。

総合評価

企業格付け:B

ニデックオムロンなどと比較されやすい京都の有力企業、BtoB分野・BtoC分野いずれも幅広く展開している。業績は長期的な成長が続いており、2022年には売上高2兆円に到達して過去最高を更新。2023年には営業利益・純利益が減少したが、これは世界的なスマートフォン・電気自動車の需要縮小による半導体関連製品の販売減少が主要因である。とはいえ、半導体分野・電気自動車分野における需要拡大は中長期的に継続するとみられ、一時的な業績足踏みであるとみられる。財務体質は自己資本比率70%以上を安定確保しており、極めて堅牢。京セラは稲盛和夫の時代から堅実な財務基盤の構築を重要視してきた歴史があり、現在においても財務体質は極めて優良である。M&A巧者としても知られ、液晶メーカーのオプトレックス、プリンタメーカーの三田工業、水晶デバイスメーカーのキンセキ、リョービの電動工具部門などを過去に買収。中長期的な業績成長のために事業領域をM&Aを活用しながら拡大する手腕に定評。

就職格付け:CCC

独特の社風で知られる京都の名門企業。創業者の稲盛和夫は全社員を同じ方向へ向けることを重視する経営手法で知られ、現在でも京セラフィロソフィー・アメーバ経営・全員参加経営などの理念が重要視される社風。良くも悪くも賛否両論の理念であるため、もし従業員として働くならば当社の核心的理念にどこまで共感できるかを予め考えておきたいところ。稲盛和夫の数々の思想は幾多の書籍が出版されている他、稲盛和夫オフィシャルサイトなどでも社内外へ強烈に発信されているため入社を考える場合は必読である。給与水準は平均年収680~720万円ほどで横ばい、大手電機メーカーには及ばないが、従業員の雇用を重要視する家族型経営の企業であるためにリストラの懸念は薄い点が安心材料。福利厚生は住宅補助・家族手当などがあるが、金額は1~3万円ほどであり特筆すべきほどではない。

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出典:京セラ株式会社(有価証券報告書)