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【勝ち組?】三井金属鉱業の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

三井金属鉱業は、金属精錬・素材・自動車部品を主力とする三井グループの素材メーカー。1874年に神岡鉱山の経営権を獲得した三井組が創業、戦前から亜鉛・鉛・石炭などを生産。戦後には自動車部品・電池材料・銅箔・伸銅など事業多角化を進めたことで、資源・素材メーカーとして躍進。が、公害・イタイイタイ病を発生させ訴訟問題へと発展(2013年に最終解決)。現在では、半導体パッケージ基板向け極薄銅箔で世界シェア90%以上を掌握する他、酸化セリウム系研磨材・酸化インジウムスズ等で世界シェア首位。

POINT

・三井Gの資源・素材メーカー、機能材料・金属・自動車部品へ経営資源を集中
・売上高・利益の安定性はないが2024年は絶好調、財務体質は改善傾向
・平均年収826万円で業績にも左右されにくい、福利厚生も良好

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:65(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用人数は年間30人~40人ほど、うち事務系採用は10名前後のみ。非鉄金属業界自体がマイナー寄りだが、採用人数自体が少ないため選考倍率は低くならない。
採用大学:【国公立】大阪大学・名古屋大学・神戸大学・広島大学・金沢大学・岡山大学・信州大学・電気通信大学・室蘭工業大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・中央大学・関西大学・立命館大学・東海大学・国際基督教大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

三井金属鉱業の売上高は2020年まで4,300億~5,300億円で推移していたが、同年以降は急増。2024年には過去最高となる売上高7,213億円に到達。営業利益は年度により好不調が明確に分かれるが、2024年には過去最高となる747億円に達している*1。
*1:2024年に営業利益が急増した要因は、①世界的な資源価格高騰による銅・亜鉛価格の上昇、②資源価格高騰により在庫品の利鞘拡大、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

三井金属鉱業は、機能材料事業(銅箔・電池材料・金属粉・セラミックス製品)、金属事業(亜鉛・鉛・銅・金・銀)、モビリティ事業(排ガス浄化触媒・自動車用ドアロック・ダイカスト製品など)、その他事業(伸銅品・パーライト製品・プラントエンジニアリングなど)、の4事業を有する。
当社は1950年代から事業多角化を進めてきたことで、現在では機能材料事業・金属事業・モビリティ事業をコアとするバランス型の事業展開が実現。とりわけ極薄銅箔『MicroThin™』は世界シェアの約95%を掌握しており、5G関連機器・半導体パッケージになどに多数採用されている。資源価格に業績を左右されやすい金属事業に依存しすぎないことで、極端な業績変動を回避していると評価できる。

✔最終利益と利益率

三井金属鉱業の純利益は年度により好不調が明確に分かれる。2020年・2021年・ 2024年には純利益が急増したが、急低迷することも珍しくはない*2。営業利益率も2%〜10%で安定しない推移。
*2:2022年に純利益が急減した理由は、①亜鉛・鉛の価格下落や金・銀の販売量減少に直面した点。②機能材料事業において中国の景気悪化に直面した点、③電気自動車の需要鈍化によってリチウムイオン電池用マンガン酸リチウムの販売減少が起こった点、に起因。

✔自己資本比率と純資産

三井金属鉱業の自己資本比率は長期的な増加傾向にあり、2024年には50.4%に到達している。過去8年間で負債に依存しすぎない事業運営ができるまでに良化を遂げた。純資産は2020年から増加傾向にあり、2024年は3,408億円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三井金属鉱業の平均年収は710万~780万円ほどで安定していたが、2024年には826万円まで上振れ。業績は上下変動が激しいが、従業員の給与水準にはほぼ影響がない。総合職の場合、30歳で年収600万~670万円、課長職レベルで年収1,000万~1,100万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

三井金属鉱業の単体従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、2024年は2,473人の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.2万人ほど。平均勤続年数は下落傾向が続いているが、採用強化によって社員数を急増させている影響による下落であるため問題はない。

総合評価

企業格付け:CCC

■業績動向
良くも悪くも資源価格に業績を左右されやすく安定しない。2020年から資源高を追い風に急激な増加を遂げたが、2022年には早々に失速。と思いきや、2024年には過去最高益となる営業利益747億円・純利益646億円を叩き出した。事業の性質上どうしても利益は安定しないため、この業績好調も一過性であるとみられる。

■財務体質
改善傾向。2008年に巨額損失を計上した際に自己資本比率23%まで低下したが、長期的に財務体質を徐々に改善。2020年以降の利益急増によって、2024年には自己資本比率50.4%まで向上を果たした。当社は資源価格に業績を左右されやすい事業特性を有するため、現状の財務体質を維持することが望ましいだろう。

■ビジネス動向
2000年代から業績負担となっていたチリの銅鉱山事業から完全撤退。カセロネス鉱山の権益をJX金属へ譲渡、コジャワシ銅鉱山の権益を三井物産へと譲渡。操業不安定・生産効率低下によって業績の重荷となっていた銅鉱山事業から撤退して、機能材料・金属・自動車部品への集中を高める。素材メーカーへの集中を決意したと評価できよう。

就職格付け:B

■給与水準
安定的。業績は安定しないが従業員の給与水準は守る傾向があり、平均年収700万円以上で安定。大卒総合職であれば30代で年収700万円に到達する他、課長職レベルに昇進すれば年収1,000万円は超える。本社総合職採用は給与・昇進が恵まれており、将来の幹部候補として早期育成される。

■福利厚生
良好。地方事業所には独身寮が整備されており1万円/月で入寮できる他、家賃補助制度では家賃額の最大80%(上限4万円/月)が補助される。女性向けの福利厚生には特に力を入れており、①出産・育児・配偶者転勤による退職なら5年以内に復職できる制度、②配偶者転勤を理由に最大3年間休職できる制度、などが整備されている。

■キャリア
入社後は事業部・職種別にキャリアが分かれる。技術系であれば探鉱系・開発系・生産系に配属され、事務系は経理・総務・人事などに配属。2022年には成果・実力主義と脱年功序列を掲げて新人事制度を導入、優秀であれば30代で課長級に昇進できる。主力事業所が埼玉県・福岡県に立地する他、岡山県・広島県などにも拠点が分散しているため、転勤リスクはそれなりに高い。

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出典:三井金属鉱業株式会社(有価証券報告書)