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【勝ち組?】三井倉庫の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

三井倉庫ホールディングスは、三井グループに属する倉庫業・物流業・不動産業を主力とする大手物流会社。1909年に三井銀行倉庫部が分離独立して設立、1942年に現社名の三井倉庫へ社名変更。あらゆる物品を輸送・保管・荷役するトータルサプライチェーンサービスを提供する他、不動産事業ではオフィスビル・物流倉庫などを多数展開。かつて業界中位級であったが、積極的M&Aによる規模拡大で業界首位級まで急拡大。三洋電機ロジスティクスやソニーサプライチェーンソリューションズを買収している。

POINT

・三井銀行から分離独立した財閥系倉庫、積極M&Aで業界首位級へ躍進
・売上高・利益は成長基調だが、過去の積極M&Aの負債で財務体質は凡庸
・平均年収768万円だが、持株会社の所属人数は100人ほど

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:62(中堅上位)

大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中難易度

総合職の採用数は年間30名~60名ほど、うち10名ほどは地域職としての採用となっている。三井グループの財閥系企業ながら、物流業界の不人気もあって選考倍率は高まりにくい。穴場。
採用大学:【国公立】神戸大学・筑波大学・千葉大学・信州大学・静岡大学・岡山大学・福島大学・東京都立大学・兵庫県立大学など、【私立】関西大学・日本大学・近畿大学・獨協大学・國學院大學・東京女子大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

三井倉庫ホールディングスの売上高は増加傾向が続いており、2021年には売上高3,000億円に到達して業界首位級に躍進*1。営業利益も増加傾向が続いており、2022年は営業利益260億円に到達*2。
*1:三井倉庫ホールディングスは2010年頃まで売上高1,000億円規模に過ぎなかったが、2010年代に積極的M&Aで事業規模を急拡大。三洋電機やソニーの物流子会社を取り込むことで、10年間で業界首位の三菱倉庫に並ぶ規模にまで拡大を遂げた。
*2:2021年以降は世界的なサプライチェーン混乱による恩恵を享受。物流の混乱を受けて製品貯蔵の需要が急増、海上運賃・航空運賃の高騰により増収増益。

✔セグメント別の状況

三井倉庫ホールディングスは物流事業(倉庫保管・荷役・陸上運送・港湾荷役・国際運送など)、不動産事業(オフィスビル賃貸など)の2事業を有する。
三井倉庫ホールディングスは売上高の約90%を物流事業で稼ぐが、利益では不動産事業が約19%を支えている。不動産事業は三井倉庫ホールディングス直轄事業であり、物流事業は三井倉庫・三井倉庫エクスプレス・三井倉庫ロジスティクスなどの中核子会社が支えている。

✔最終利益と利益率

三井倉庫ホールディングスの純利益は緩やかな成長基調だが、2016年のみ純損失234億円に転落*2。同年以降は成長基調へと回帰。営業利益率も増加傾向が続いており、直近では営業利益率8%台と物流業としては高めの水準に到達。
*2:三井倉庫は2010年代に積極的M&Aを展開したが、過度な拡大戦略が失速。買収子会社の減損処理で209億円、物流倉庫資産で46億円の減損損失を計上。2016年は大幅赤字に転落したが、膿を出し切ったことで同年以降は成長基調へ回帰。

✔自己資本比率と純資産

三井倉庫ホールディングスの自己資本比率は増加傾向が続いているが、直近でも36.1%と普通の水準に留まる。純資産は2016年からは増加傾向、2022年には純資産1,041億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三井倉庫ホールディングスの平均年収は750~780万円ほどの水準が長年に渡って継続しているが、これは持株会社の173名のみの平均年収。物流業・倉庫業としてはそこそこ高めの水準。平均年齢は緩やかな増加が続いており、直近では42.3歳に到達。

✔従業員数と勤続年数

三井倉庫ホールディングスの従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、直近の2022年には173人に到達。連結従業員数は8,172人であるため、持株会社の所属社員は一握りに過ぎない。平均勤続年数は増加傾向が続いているが、直近でも14.2年と普通の水準。

総合評価

企業格付け:BB

三菱倉庫・住友倉庫と共に倉庫業界のリーディングカンパニーとして知られ、2010年代以降の積極的M&Aにより僅か10年で業界首位の三菱倉庫に匹敵する企業規模まで拡大を遂げた企業。業績は売上高・利益いずれも増加傾向、営業利益では三菱倉庫を既に上回っている。三井倉庫ホールディングスは物流事業で利益の大半を稼いでいるため、不動産事業で大きく稼いでいる三菱倉庫よりも物流事業の利益創出力が大きいと評価できよう。ただ、財務体質は自己資本比率30%台と三菱倉庫には遠く及ばず。過去の積極M&Aでの資金調達と2016年の減損処理が災いして、財務健全性ではまだまだ三菱倉庫には及ばない。物流事業への依存度も三井倉庫ホールディングスは高い為、景気後退局面では三菱倉庫の不動産事業の"稼ぐ力"に大きく差を付けられるリスクも。

就職格付け:BB

三井グループの物流会社にして財閥系倉庫会社の一角。完全子会社の三井倉庫エクスプレスをトヨタ自動車との合弁会社として設立した歴史的経緯もあり、現社長はトヨタ自動車出身。ソニーの物流子会社を買収した経緯からソニーグループとも縁が深い。給与水準は平均年収730~750万円ほど。三菱倉庫の平均年収800万円弱と比べるとやや劣るうえ、こちらは持株会社の従業員173名のみの平均年収である。福利厚生は独身寮・家賃補助制度などは一通り整備。三井倉庫ホールディングスで採用された場合には事業会社に出向という形がとられ、再び持株会社に戻る場合には出向解除という形で人事配置が行われる。

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出典:三井倉庫ホールディングス株式会社(有価証券報告書)