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電子部品

【勝ち組?】ロームの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

ロームは、LSI・トランジスタ・ダイオード・LED・抵抗器などを製造販売する電子部品メーカー。1954年に佐藤研一郎が炭素被膜固定抵抗器の製造を目的に創業した東洋電具製作所を源流とし、1979年に現社名のロームへと社名変更。カスタムLSIと呼ばれる大規模集積回路においては日系最大手の一角であり、パワー半導体でも世界上位10社に数えられる。消費者に行き渡る最終製品は手掛けておらず、製品内部へと組み込まれる電子部品に特化。回路設計から製造に至るまでをすべて自社内で完結させる垂直統合型生産体制に強みを有し、シリコンインゴットから最終製品の出荷までの全プロセスに知見。

POINT

・カスタムLSIに強みを持つ大手半導体・電子部品メーカー、東芝買収にも出資
・売上高・利益いずれも絶好調、財務体質は自己資本比率80%以上で超優良
・平均年収856万円、福利厚生もかなり手厚いが寮はなし

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:67(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用人数は年間160人~190人と多めだが、電子メーカー業界上位企業だけあって倍率は低くない。伝統的な京都企業だけあって関西圏の出身者が多い。歴史的経緯から同志社大学と親密な関係。
採用大学:【国公立】京都大学・大阪大学・神戸大学・静岡大学・広島大学・岡山大学・奈良先端科学技術大学院大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・同志社大学・関西学院大学・関西外国語大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

ロームの売上高は長年に渡って緩やかな成長を続けており、2022年には売上高5,078億円に到達して過去最高を更新*1。営業利益は年度によりまちまちだが、2020年以降は急速に利益を拡大。
*1:ロームは2006年に売上高3,950億円を記録した後、長期的に売上高の成長が停滞。世界的な景気回復と車載向けLSI需要の拡大を受けて2017年に売上高3,971億円まで回復、2021年以降は電子部品需要の急拡大を追い風に成長基調へと回帰。

✔セグメント別の状況

ロームはLSI事業(アナログ・ロジック・メモリの製造販売)、半導体素子事業(トランジスタ・ダイオード・パワーデバイス・発光ダイオード・半導体レーザーの製造販売)、モジュール事業(プリントヘッド・オプティカルモジュールの製造販売)、その他事業(抵抗器の製造販売)の4事業を有する。
ロームは多種多様な電子部品を手掛けているが、LSI事業と半導体素子事業が主力。LSI事業では電気自動車向け・データセンター向け商品が堅調、半導体素子事業では電気自動車インバータ・省エネ家電向けパワーデバイスが伸長。売上高の約52%が電気自動車・産業機器分野であるため、同分野の市場拡大が業績を左右する事業構造。

✔最終利益と利益率

ロームの純利益は2020年から急速な増加基調が続いており、直近の2022年には純利益804億円に到達して過去最高を更新*2。営業利益率は8~18%ほどの水準で安定しており、電子部品メーカーとしてはかなり高めの利益率。
*2:2011年・2012年には世界的な景気後退の影響で巨額の純損失に沈んだこともあるが、同年を除けば純利益を着実に確保できている。

✔自己資本比率と純資産

ロームの自己資本比率は長年に渡って80%以上の高水準で推移しており、財務体質は極めて健全*3。純資産は長期的に増加傾向が続いているが、2020年以降は増加スピードが更に加速。直近の2022年には純資産4,170億円に到達。
*3:2012年には純損失525億円を計上したが、極めて堅牢な財務体質が幸いして経営危機には陥らなかった。電子部品業界は景気動向に業績を左右されやすいため、堅牢な財務基盤を維持することが企業存続の重要条件となる好例であろう。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ロームの平均年収は長年に渡って700万円前後の水準で安定的に推移していたが、2021年以降は業績絶好調が給与水準に反映されて平均年収が上昇傾向。大卒総合職は30歳前後で年収650万~750万円ほど、課長職レベルで年収950万~1,100万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

ロームの従業員数は2019年頃から増加傾向にあり、直近の2022年には単体従業員数3,703人に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.37万人ほど。平均勤続年数は直近でも14.9年と大手メーカー同格ないし僅かに短い程度。

総合評価

企業格付け:BBB

日系半導体メーカーとしては業界5位の位置づけであるが、カスタムLSI(大規模集積回路)においては最大手の一角。自動車メーカーや家電メーカー。最近の業績は絶好調そのものであり、売上高・利益いずれも過去最高を更新。とりわけ世界的な電気自動車シフトを発端とする車載向け電子部品の需要急拡大を追い風に業績を伸ばしている。財務体質は自己資本比率80%以上&無借金経営を確保しており、大手メーカーの中でも最高峰の堅実な財務基盤。2011年・2012年には一時的な業績不振に陥ったが、堅実な財務基盤が幸いして経営への打撃を最小限に食い止めた実績も。2023年には日本産業パートナーズによる東芝買収に際して3,000億円の出資を決定。長らく業界内のライバルであった東芝への買収計画に関与することで、業界における存在感を更に高めつつある。

就職格付け:BB

消費者向けの最終製品を手掛けないBtoB企業でありながら、京都所在の大手企業として著名。2011年には京都府左京区のコンサートホール京都会館に対して50年契約のネーミングライツを取得。ロームシアター京都と命名して改修費用を支援するなど社会的影響力も。給与水準もそこそこ優良であり、業績好調時には平均年収800万円を超える水準に到達する。福利厚生は大手メーカー並みであり、家賃補助制度では4万円/月ほどが支援される。大手メーカーとしては珍しく独身寮・社宅を保有していないが、居住地を自由に選べるメリットの方が大きいだろう。本社には福利厚生の専用棟が用意されており、食堂には企業内出店のマクドナルドが入居する他、フィットネスルームなども充実。主力拠点は京都・宮城・静岡・岡山・福岡・宮崎など全国に分散している為、転勤には注意しておきたい。

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出典:ローム株式会社(有価証券報告書)