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ユナイテッドアローズの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ユナイテッドアローズは、紳士服・婦人服・雑貨品を主力とする大手セレクトショップ。1989年にBEAMS出身の重松理がライフスタイル提案型のセレクトショップとして渋谷で創業。国内外の優良品を仕入れ販売する手法のみならず、自社商品を積極開発する方針で業績を拡大。顧客層にあわせてストアブランドを分けることで、若者から中高年まで幅広い顧客基盤を確立。現在ではBEAMS・SHIPSと並ぶ日系3大セレクトショップとして君臨、業績面では他社を引き離して断トツ首位。

POINT

・衣料品セレクトショップの業界最大手、ストアブランドの使い分けが巧
・売上高はCOVID-19から低下、財務体質は悪くないがやや資本過少
・平均年収429万円だが、本部総合職なら年収500万円以上は到達可能

業績動向

✔売上高と営業利益

ユナイテッドアローズの売上高は2019年まで1,410億~1,590億円ほどで推移していたが、同年以降は急落して1,150億~1,300億円規模へと後退*1。営業利益も2019年までは90億円前後で推移していたが、同年以降は振るわない。
*1:業績低迷の理由は、①COVID-19感染拡大による外出自粛で衣料品需要が急落した点、②COVID-19の教訓から売上拡大主義から適量生産主義へと転換した点、③アパレル業界における競争激化において優位性が発揮しきれていない点、などがある。

✔セグメント別の状況

ユナイテッドアローズは、衣料品事業(セレクトショップ「ユナイテッドアローズ」「ビューティー&ユース」「グリーンレーベルリラクシング」などの運営、シルバーアクセサリーブランド「クロムハーツ」代理店の運営)のみの単一事業会社である。
当社は衣料品・生活雑貨を中心としたライフスタイル提案型のセレクトショップを多数展開しており、カジュアルファッションからドレスファッションまでを網羅するフルライン展開に特徴。女性向け販売が売上高の過半数を占めており、男性向け販売を上回っている。

✔最終利益と利益率

ユナイテッドアローズの純利益は2018年までは50億円以上で推移していたが、同年以降は振るわない推移が続く。2020年にはCOVID-19影響で純損失▲71.9億円まで急落。営業利益率は2020年の急落から回復傾向にあるが、直近でも4%前後に留まる。

✔自己資本比率と純資産

ユナイテッドアローズの自己資本比率は長期的に50%前後の水準で推移しており、負債比率を高めすぎない事業運営ができている。純資産は2019年に421億円に到達したが、同年以降は急落。売上高1,000億円以上の規模間に対して純資産が300億円程度に留まっており、良くも悪くも資本が少ない。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ユナイテッドアローズの平均年収は400万~480万円ほどで推移しているが、これは本部総合職とストア販売職が混在しているため参考にしにくい。本部採用の総合職の場合、30歳で年収450万〜500万円、リーダークラスで年収550万~680万円が目安。ストア販売職は年収280万~400万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

ユナイテッドアローズの単体従業員は2020年に4,214人に達していたが、同年以降は減少傾向に転換。事業会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3,900人ほど。平均勤続年数は直近で9.7年と長くはないが、人材の流動性が高いアパレル業界としては長め。

総合評価

企業格付け:D

■業績動向
低空飛行。2018年までは拡大路線によって業容拡大に成功していたが、COVID-19による環境激変で売上高を大きく落とした。テレワーク拡大で衣料品需要が落ち込んだうえ、実店舗販売を主力としていたことも仇に。同年以降は回復傾向にあるが、COVID-19以前と比べて売上高・利益は低調。アフターコロナではアウトドア系ブランドが人気を集めるなど趣味嗜好も多様化が進み、衣料品ニーズの変化の激しさにも翻弄される。

■財務体質
やや弱い。自己資本比率は50%前後と良好な水準ではあるが、資本規模の小ささが課題。売上高1,300億円規模に対して純資産は337億円と資本が小さいため、急激な環境変化に見舞われた場合の機動力は高くない。好立地店舗の賃借費もランニングコストとして業績を圧迫しており、身動きがとりにくい状況にある。

■ビジネス動向
大量生産・大量販売を脱却する方針。かつては大量販売で業績を伸ばしたものの、常に大量の在庫を抱え続けるリスクがCOVID-19で顕在化して業績が悪化。そのため、新たに策定した経営戦略では「美しい会社ユナイテッドアローズ」を掲げて、質を重視する戦略へと転換。また、カジュアル系・モード系など手薄だった領域へのテコ入れによって、多様化した趣味嗜好への対応も急ぐ。

就職格付け:DD

■給与水準
本部総合職とストア販売職で大きく異なる。本部総合職は30歳で年収450万〜500万円、リーダークラスで年収550万~680万円に到達するため、アパレル業界としては優良な給与水準を確立している。ストア販売職は年収280万円~400万円となるが、店長クラスとなれば年収500万円以上となる。ただし、みなし残業代14時間/月が含みであり、上記年収には前払い退職金も含まれている点には注意。

■福利厚生
アパレル業界内では上位級。家賃補助制度・借上げ社宅制度などはないが、年間休日日数は120日あり、有給休暇の平均取得日数も12.2日ほど。大手優良企業と比べると福利厚生は薄いものの、中小企業が乱立するアパレル業界において上場企業なりの労務管理がしっかりと提供されている点においては傑出していると評価できよう。

■キャリア
本部総合職・ストア販売職の2職種制。商品企画・マーケティング・生産管理・人事などの本社業務に従事するためには本部総合職となる必要があるが、本部総合職としての直接採用は中途採用が基本。新卒社員はストア販売職からスタートするのが原則であるが、能力さえあればストア販売職から本部総合職へと転換される。現社長はストア販売職からの叩き上げである。

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