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【勝ち組?】ファナックの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

ファナックは、産業用ロボット・工作機械CNC装置などを製造販売する大手電機メーカー。1956年にサーボの自社開発に成功した富士通の計算制御部が源流であり、1972年に富士通の子会社として独立。産業用ロボットでは世界首位を誇り、ライバルは安川電機・独クーカ・瑞ABBグループなど。産業用ロボットに求められる「壊れない&すぐ直せる」を徹底、30年前の製品でも修理できる体制を整備。産業用ロボットの主要ユーザーである大手メーカー各社からの絶大な信頼を獲得している。

POINT

・産業用ロボット・CNC装置で世界シェア首位の大手電機メーカー
・売上高・営業利益は年度によりまちまち、財務は著しく堅実
・平均年収1,238万円と業界トップクラス、順当に昇進すれば2000万円台も

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:74(最上位)

サラリーマンとしては最上位クラスの勝ち組。工作機械メーカーとしてはトップクラスの業績・待遇、世界的シェアと堅牢な顧客基盤も強み。一般知名度の低さと僻地勤務が査定の足枷。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用人数は年間100人前後であり、企業規模の割には採用人数は多め。ただし、総合職の出身大学は旧帝大・早慶がボリューム層。工業高等専門学校からの採用にも積極的。
採用大学:【国公立】東京大学・東京工業大学・大阪大学・名古屋大学・筑波大学・千葉大学・山梨大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2025

業績動向

✔売上高と営業利益

ファナックの売上高は年度による好不調の差が大きいが、2022年は8,519億円に到達して過去最高を更新*1。2023年はやや減少して売上高7,952億円となっている。営業利益も年度により好不調が分かれており、米中貿易摩擦やCOVID-19感染拡大に揺れた2019年・2020年は利益が低迷した。
*1:ファナックは産業用ロボットを主力事業とする事情から製造業の設備投資欲に業績を左右されやすい。リーマンショックで製造業が大打撃を受けた2009年には2,534億円にまで急減した過去も。

✔セグメント別の状況

ファナックはFA事業(CNCシステム・サーボモータ・レーザーなど)、ロボット事業(産業用ロボット・ロボットシステムなど)、ロボマシン事業(小型切削加工機・電動射出成型機・ワイヤ放電加工機など)、サービス(保守サービス)の4事業を有する。
ファナックの主力製品は産業用ロボットだが、売上高に占める割合は約37%と意外と構成比は普通。地域別の売上高はアジアが売上高の約半数を占めており、製造業大国である中国の占める割合が特に大きい。

✔最終利益と利益率

ファナックの純利益は年度によりまちまちだが、概ね1,000億~1,800億円のレンジで推移。営業利益率は2019年・2023年を除けば20%以上で推移、非常に高い利益率を誇るが長期的には下降傾向にある*2。
*2:ファナックの利益率の全盛期には営業利益率40%以上も珍しくなく、2010年には営業利益率46%を記録。しかし、2015年以降はライバル企業との競争が激化。利益率は減少傾向にある。

✔自己資本比率と純資産

ファナックの自己資本比率は概ね85%前後の水準で推移しており、著しく健全な水準を維持している。純資産は約1兆円規模で安定的に推移しており、直近では1.71兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ファナックの平均年収は1,100万~1,200万円のレンジで推移しており、直近でも1238万円と非常に高い水準を誇る。大卒総合職であれば30歳で850万~900万円、課長職レベルで1,500万~2,000万円に達する。高卒技能職でも勤続を重ねれば年収1,000万円には到達する。

✔従業員数と勤続年数

ファナックの単体従業員数は右肩上がりで増加しており、直近では4,689人に到達。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は約1万人ほど。平均勤続年数は14.1年と大手メーカーとしては標準的な水準だが、これは社員数を増やしている反動。

総合評価

企業格付け:AA

産業用ロボットで世界首位、大手自動車メーカーの工場に行けばファナックのロボットが必ずあると言っても良いほどに圧倒的存在。競合他社の追い上げで営業利益率は一時期と比べると下降気味だが、それでも営業利益率20%以上と優良な水準。財務は自己資本比率85%以上と健全すぎる程に健全であり、一時的な業績悪化が起こったとしても余裕で耐えうる企業体力はある。製造業における深刻な人手不足を背景に産業用ロボットの需要拡大は世界的に続く見込みであることも追い風。中国勢をはじめとするライバル企業は脅威ではあるが、産業用ロボットは信頼性が極めて重要な分野である為、日系メーカーをはじめとする顧客基盤は当面安泰であろう。

就職格付け:AA

独特の社風で知られる企業。山梨県忍野村に54万坪もの巨大な敷地に本社を構えており、。IR活動には後ろ向きで投資家との対話姿勢は希薄。製品・社用車・制服に至るまでコーポレートカラーの黄色で埋め尽くされている。給与水準は高く、平均年収は1000万円を優に上回っており、山梨県では「医者・弁護士・ファナック」の御三家。とはいえ、高い給与水準の代償として本社・研究所は山梨県忍野村という人口1万人以下の富士山麓の僻地に集中。貯金は凄まじいペースで貯まること確実だが、娯楽がなく不便な山間部での生活に耐えられるかは熟考したい。

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出典:ファナック株式会社(有価証券報告書)