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【勝ち組?】ソフトバンクの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

ソフトバンクは、モバイル通信ネットワーク・固定電話サービス・衛星電話などを提供する大手電気通信会社。2006年に英・ボーダフォン日本法人を買収したソフトバンクが、同社をソフトバンクモバイルへ社名変更したことで誕生。2015年にソフトバンクモバイルからソフトバンクへと社名変更(2015年までソフトバンクと呼ばれていた企業はソフトバンクグループへと社名変更)。通信事業をSoftbank・Y!mobile・LINEMOブランドで展開する他、グループ傘下にLINEヤフー・ZOZO・アスクルなどの大手企業を多数擁する。金融事業にも注力しており、キャッシュレスサービスPayPayを展開。

POINT

・大手通信キャリアの一角、Yahoo!・LINE・ZOZOなどが傘下入り
・売上高・利益いずれも成長基調、ただし財務体質は自己資本比率15%どまり
・平均年収804万円だが、福利厚生は手薄で家賃補助は2年間のみ

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:69(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中難易度

総合職の採用人数は年間450人~700人と大規模な採用活動を展開しており、門戸は非常に広い。大卒総合職の出身大学は極めて幅広く、学歴による差別は殆どないとみられる。
採用大学:【国公立】東京大学・神戸大学・熊本大学・滋賀大学・小樽商科大学・福島大学・高知大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・専修大学・駒沢大学・獨協大学・大東文化大学・国士舘大学・北海学園大学・東京経済大学・中京大学など(出典:ダイヤモンドオンライン

業績動向

✔売上高と営業利益

ソフトバンクの売上高は2018年から成長基調が継続*1、2022年は売上高5.91兆円に到達して過去最高を更新。営業利益も売上高に連動して増加、2022年には営業利益1兆円を突破して過去最高を更新
*1:2018年に売上高が急増しているのは会計基準の変更が主要因。2019年以降の売上高の増加は、①本業の通信事業の業績好調、②LINE・Yahoo!・ZOZOなどの大手ITの子会社化、が要因。

✔セグメント別の状況

ソフトバンクはコンシューマ事業(個人向けモバイルサービス、ブロードバンドサービス、電力サービスなど)、法人事業(法人向けモバイル回線、固定通信サービス、データセンター・クラウド・デジタルソリューションなど)、流通事業(法人向けクラウドサビス、個人向けソフトウェア、モバイルアクセサリーなど)、ヤフーLINE事業(ヤフー・LINE・アスクル・ZOZOなど)、金融事業(PayPay・PayPay証券など)、その他事業の5事業を有する。
ソフトバンクの稼ぎ頭は個人向けモバイルサービスを展開するコンシューマ事業であり、利益の約66%を稼ぎ出している。Yahoo!・LINE・アスクル・ZOZOなどグループ傘下の大手IT企業はヤフーLINE事業の業績に含まれるが、依然としてモバイル通信事業の規模感が大きい。

✔最終利益と利益率

ソフトバンクの純利益は安定的かつ緩やかな成長基調が続いている(過去15年以上に渡って赤字転落歴はない)。2021年には純利益5,314億円を記録して過去最高益を更新。営業利益率は16~18%のレンジで推移しており、利益率はかなり高め。

✔自己資本比率と純資産

ソフトバンクの自己資本比率は2016年まで30%台で推移していたが、2017年以降は急落。直近の2022年は自己資本比率15.2%と大手企業としては非常に低い水準。純資産も右肩上がりで増加しており、直近の2022年には純資産3.68兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ソフトバンクの平均年収は800万円前後、他の大手通信会社には劣るとはいえ一般的な大企業よりは高め。大卒総合職の給与体系は30歳で600~700万、課長クラスで900万~1,100万円ほどが目安。給与に占めるボーナスの比率が高い為、業績悪化時に給与水準が下がりやすい点には注意。

✔従業員数と勤続年数

ソフトバンクの従業員数は2019年から微増傾向にあり、直近の2022年には1.9万人に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5.49万人ほど。平均勤続年数は13.5年前後とあまり長くない。

総合評価

企業格付け:BB

NTTドコモ・KDDIに続く第三極の大手通信会社であり、ソフトバンクグループの中核事業会社。親会社はソフトバンクグループであるが、孫正義会長が力を入れるビジョン・ファンドへの投資資金を集めるために2018年に保有株式を売却して上場企業になった。2018年以降はYahoo!・LINE・ZOZOなど大手IT企業を次々とグループ傘下に加えたことで巨大グループへの転換を果たしつつある状況。業績は売上高・利益いずれも好調、本業である通信事業の好調に加えて大手IT企業を次々とグループ入りさせたことによる規模拡大効果も。とはいえ、財務体質はかなり凡庸であり、自己資本比率15.2%は大手企業としては相当に低い水準(同業のKDDIが自己資本比率40%以上を保っている点と比較すると対照的)。目先の業績は好調であるが、長期的な持続性の観点からは財務体質の更なる強化が望ましいだろう。親会社のソフトバンクグループと親子上場の状態にあることも、企業統治の観点からは好ましからざる状態である。

就職格付け:BB

大手三大通信キャリアの一角。伝統的な大手通信会社であるNTTグループ・KDDIに対して新興勢力としての立ち位置が長く続いていたが、楽天モバイルの誕生以降その気風は薄れた。給与水準は平均年収800万円ほどで安定的。給与体系は30歳で600~700万、課長クラスで900万~1,100万円ほど。さすがにKDDIには劣るとはいえ、大手企業なりの給与体系となっている。福利厚生はインフラ企業としては不遇であり、家賃補助制度は入社2年間に限られる上に1~3万円/月ほどの水準。社宅も転勤時に限られるため住宅コストについては特段の支援はないものと考えたい。当年に使いきれなかった有給休暇を翌年に繰り越せる積立年休制度については優れており、最大60日までキープ可能ではある。とはいえ、同業のNTTグループ・KDDIと比較されてしまうが故にどうしても過小評価されがちだが、あまりにも同業他社の待遇が良いために見劣りしているだけというのもまた事実。日系大手企業という広い枠組みで見れば知名度と給与水準は優良すぎるほど優良であろう。

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出典:ソフトバンク株式会社(有価証券報告書)