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重工業

【勝ち組?】ジャパンマリンユナイテッドの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

ジャパンマリンユナイテッドは、IHIグループJFEグループに属する大手造船会社。1853年に江戸幕府と水戸藩が石川島造船所(現・IHI)として設立、戦前から多数の軍艦・民間船を建造した。1995年には住友重機械工業の造船部門と合併して分離独立、2013年にはユニバーサル造船(JFE・日立造船系の造船会社)と合併。現在では今治造船に次いで国内2位の造船大手であり、民間向けコンテナ船・タンカーの他、自衛隊向け艦艇の建造にも強い(参考リンク)。

POINT

・IHI・JFEグループの大手造船会社、日系首位の今治造船とも資本業務提携
・売上高は2021年から回復傾向だが利益低迷が長期化、財務体質もやや不安
・総合職・30歳で年収550万〜680万円、造船業界ではトップクラスの待遇

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:61(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用数は20人~40名とやや少なめ。造船業界における大手企業だが、造船業界は今や就職市場においてマイナー業界であるため選考倍率は高まりにくい。
採用大学:【国公立】大阪大学・東北大学・九州大学・神戸大学・金沢大学・横浜国立大学・徳島大学・佐賀大学・東京公立大学・九州工業大学・東京海洋大学など、【私立】早稲田大学・上智大学・同志社大学・法政大学・芝浦工業大学・東京電機大学・千葉工業大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

ジャパンマリンユナイテッドの売上高は2021年まで減少傾向*1が続いていたが、同年以降は増加傾向に転換。2023年には売上高2,690億円に回復*2。営業利益は2018年・2023年を除けば営業赤字が続いており、安定的な利益確保ができていない。
*1:当社の業績が安定しない理由は、①海運市況の低迷による新造船需要の低迷、②中国・韓国系造船会社との競争激化、など。
*2:2021年からは海運市況の急好転によって新造船需要が回復したことで、当社の売上高も増加傾向に転換(参考リンク

✔セグメント別の状況

ジャパンマリンユナイテッドは、造船事業(民間向け商船・自衛隊向け艦艇の開発・設計・調達・建造・艤装・修理・解撤・メンテナンスなど、海洋石油掘削リグ・石油生産プラットフォーム・洋上風力発電所などの建造)のみの単一事業会社である。
当社はIHI・JFE・住友重機械工業・日立造船などの造船部門が合併してきた歴史から、造船事業をコア事業としている。現在では今治造船グループに次ぐ国内2位の大手造船会社として、民間向け・自衛隊向けの多種多様な船舶を建造している(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

ジャパンマリンユナイテッドの純利益は2018年・2021年・2023年に僅かな利益を確保した他は、赤字体質が続いている*3。過去7年間の累積の純損失は▲1,300億円を超えており、安定的な利益確保ができていない。営業利益率は▲9%~1%で推移しており、低利益率と不安定さが目立つ。
*3:当社の最終赤字が続いている理由は、①海運市況の低迷による新造船需要の低迷、②中国・韓国系造船会社との競争激化、③為替レートや鋼材価格の上下変動による不採算案件の増加、④LNG船など高付加価値船舶の建造難航によるコスト上昇、など。

✔自己資本比率と純資産

ジャパンマリンユナイテッドの自己資本比率は18%〜30%ほどで推移。不安定な利益体質を考慮すると、不安が残る水準に留まっている。2020年には自己資本比率30%を超えたが、これは今治造船との資本業務提携の影響*4。純資産も580億〜820億円で増減しており、成長性には乏しい推移となっている。
*4:当社は2020年に業界首位の今治造船と資本業務提携(参考リンク)。当社が発行した新株を今治造船が引き受けたことで純資産が増加、これにより自己資本比率が上昇した。が、2022年に純損失161億円を計上したことで再び元のレンジに回帰している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ジャパンマリンユナイテッドの平均年収・平均年齢は非公開。総合職の30歳で年収550万〜680万円ほど、課長職レベルで900万〜1,050万円に達する。業績不振が続いているとはいえ、歴史的な経緯から総合重工メーカーに近い給与水準が用意されている。

✔従業員数と勤続年数

ジャパンマリンユナイテッドの単体従業員数は4,800人(2023年)。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は6,200人ほど平均勤続年数は非公開。

総合評価

企業格付け:CC

売上高において今治造船に続く国内2位の造船会社であり、民間向けから自衛隊向けの船舶までを幅広く建造する業界大手。年間の建造能力は30隻以上であり、日本国内の船舶建造量の約15%を占める。戦艦大和(全長263m)をも優に上回る『ヴァーレマックス級』と呼ばれる40万トン級鉄鉱石運搬船(全長360m)を建造できる造船量力を有することも特徴。が、業績においては長年に渡って不振が続いている状況。営業利益は過去7年間のうち2018年・2023年を除けばすべて赤字であり、過去7年間の累積の純損失は▲1,300億円を超える。2021年から新造船需要が回復したことで売上高は増加傾向に転換したが、利益回復は未だ道半ば。こうした状況を受けて、2020年には業界首位の今治造船と資本業務提携、営業・設計機能を統合することで経営合理化を図っている。また、この資本業務提携によって今治造船が当社株式の約30%を保有する大株主となっており、IHIグループ・JFEグループに次ぐ影響力を持つに至っている。

就職格付け:CCC

かつて江戸幕府と水戸藩が日本初の西洋式造船所として設立した石川島造船所をルーツとする名門企業。1990年代に中国・韓国系造船会社が世界シェアを拡大したことを受けて、当社はさまざまな日系大手重工メーカーの造船部門が統合して規模を拡大してきた歴史がある(1995年にIHIから分離独立したうえで住友重機械工業の造船部門と合併、その後の2013年にJFE・日立造船系のユニバーサル造船と合併)。給与水準においては造船業界としてはトップクラスであり、総合職・30歳で年収550万〜680万円ほど、課長職レベルで900万〜1,050万円が目安となる。福利厚生においてもかなり恵まれており、主力拠点には独身寮・社宅が用意されているため格安で生活できる。休みやすい環境も整っており、有給休暇は初年度から22日が付与されるうえ、平均有給取得日数は19.0日(2021年)と高水準。日系大手重工メーカーから分離して設立された企業ゆえに、分離前の待遇に近い水準を今なお保っている。総じて、造船業界を目指す場合にはまず候補に入れたい待遇が用意されていると評価できよう。が、他業界であれば当社並みの待遇の企業も決して少なくなく、「造船業界にどれほど高志望度を抱けるか」を自問することは必要か。

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出典:ジャパンマリンユナイテッド株式会社(決算公告)