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【勝ち組?】コクヨの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

コクヨは、オフィス家具・オフィス用品・文房具の製造・販売を主力事業とする事務機器メーカー。1905年に和式帳簿の製造を目的に創業後、戦前から「國誉」ブランドで書簡・帳簿類・バインダーなどを製造。1960年にはスチールキャビネットの製造を開始して、事務用機器にも進出。現在では祖業の文房具のみならず、オフィス家具においてもオカムラ・イトーキと並んで業界上位級。代表的製品には大学ノートの「Campus」シリーズがあり、販売実績は累計26億冊にも及ぶ。

POINT

・大手事務機器メーカー、文房具で著名だが現在はオフィス分野が主力
・売上高・利益は安定的で景気後退局面にも強い、財務体質は極めて健全
・平均年収782万円で福利厚生も良いが、選考倍率が高く入社難易度が厳しい

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:65(中堅上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用実績は年間30名~50名と企業規模なりだが、2024年は114名を採用しており門戸が広がっている。就職人気ランキング上位常連の企業であり、選考倍率は極めて高い。
採用大学:【国公立】京都大学・九州大学・神戸大学・静岡大学・東京芸術大学・京都市立芸術大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・立命館大学・国際基督教大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

コクヨの売上高は長年に渡って3000億~3,380億円ほどで極めて安定的に推移している。営業利益は2021年まで150億~200億円レベルで推移していたが、同年以降はやや上振れ。2023年には営業利益238億円に到達している。いずれもCOVID-19感染拡大期などの景気後退局面にも底堅い推移である。

✔セグメント別の状況

コクヨは、ファニチャー事業(オフィス向け空間デザイン・コンサルティング、オフィス家具の製造・販売など)、ビジネスサプライ流通事業(オフィス用品の仕入・販売、購買管理サービス『べんりねっと』など)、ステーショナリー事業(文具の製造・販売など)、インテリアリテール事業(インテリア・生活雑貨の販売など)、その他事業(アンテナショップなど)、の5事業を有する。
当社は文房具メーカーとして著名だが、実際にはステーショナリー事業が売上高に占める割合は約22%に過ぎない。売上高の約70%以上はオフィス家具・用品で占められており、対企業のBtoB取引がコア事業である。とりわけファニチャー事業の利益は全社利益の約68%を支えており、断トツの稼ぎ頭。

✔最終利益と利益率

コクヨの純利益は2020年のみ82億円に低下*1したが、同年を除けば130億~190億円ほどで推移している。2024年には過去最高となる純利益217億円に上振れしている。営業利益率は4%~7%ほどで推移しており、事務機器メーカーとしては利益率は高め。
*1:2020年に純利益が低下した理由は、当社が約40%強を出資していた筆記具メーカー・ぺんてるの業績悪化による投資損失・減損損失の計上(参考リンク)が主要因。

✔自己資本比率と純資産

コクヨの自己資本比率は70%前後の高水準で極めて安定しており、堅実な財務体質を確立している。利益体質の安定性を加味すれば、極めて安定性は高いと評価できよう。純資産も長期的な増加傾向が続いており、2024年には2,640億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

コクヨの平均年収は730万~780万円ほどの水準で安定。文房具・事務機器メーカーとしてはトップクラスの水準である。大卒総合職であれば、30歳で年収530万~600万円、課長職レベルで930万~980万円ほどが目安となる。平均年齢は2021年から低下傾向がみられ、2024年には42.3歳となっている。

✔従業員数と勤続年数

コクヨの単体従業員数は長期的に2,000人~2,200人ほどで推移している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7,600人ほど。平均勤続年数は2021年から微減傾向はみられるが、直近でも16.4年(2024年)と大手企業の標準的な水準をやや上回る。

総合評価

企業格付け:B

文房具における国内最大手の一角として知られるが、事務用機器メーカー大手でもある企業。事務用機器においてはオカムラ・イトーキと並んで業界3強の一角である。最近においては「大企業をターゲットとしたオフィス空間設計やオフィス家具販売」に成功したことで、文房具メーカーでは到達不可能だった企業規模にまで成長を遂げたと評価されている。業績においては安定性が特に強く、売上高・利益いずれも景気後退局面を含めて横ばいに近い推移を描いている。が、2024年には純利益が過去最高を更新しており、地味に業績好調でもある。財務体質においても極めて優良であり、自己資本比率は70%以上に到達している。負債に頼らない堅実な財務戦略によって、過剰なまでに強固な財務基盤を構築できている。将来的にはペーパーレス化・デジタルトランスフォーメーションが文房具の販売の逆風となりさおうだが、文房具の売上高は約25%ほどに過ぎないため大きな脅威とはならないだろう。いち文房具メーカーに過ぎなかった1960年代にオフィス分野への進出を決断した経営判断が現在に至るまで大きな財産を残したと言える。

就職格付け:B

日本人ならば学生時代に誰もが文房具でお世話になった企業であり、就職後にもオフィス家具・事務用品でお世話になるであろう企業。誰もが知る有名企業であることに加えて、文房具で著名であることから企業イメージもクリーンで良好。給与水準においては文房具・事務機器メーカーとしてはトップクラスであり、平均年収730万~790万円ほどの水準で安定。大卒総合職であれば、30歳で年収530万~600万円、課長職レベルで930万~980万円ほどが目安となるだろう。福利厚生においても恵まれており、若手社員であれば家賃補助制度で最大7万円/月が支給される。独身寮・社宅はないものの、今どきは同じ会社の社員同士で暮らしたくない人間も少なくない為、寧ろメリットとも捉えられるか。また、安定した業績と堅実すぎる財務体質から、終身雇用への期待度も高く持つことができるのも強み。が、最大のネックは入社難易度の高さであろう。就職人気ランキング上位級かつ知名度抜群であるにもかかわらず、新卒採用人数は例年35人~50人に過ぎず、中途採用の門戸も広くないため入社難易度は相当に高い。

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出典:コクヨ株式会社(有価証券報告書)