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小売流通

イオンの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

イオンは、総合スーパー・ドラッグストア・商業施設・総合金融などを事業とする大手小売流通業者。江戸時代から呉服屋を経営していた四日市岡田家が1926年に株式会社化した岡田屋呉服店を源流とし、1950年代にスーパーマーケットへ業態転換。1960年代から数々の同業他社を吸収合併して規模を拡大、2000代以降にはダイエー・マイカルなどの業界大手も傘下に収めて巨大グループとなった。現在では売上高9兆円を超え、連結従業員数11万人以上。セブン&アイに並ぶ、日本屈指の大手小売流通業者である。

POINT

1.売上高9兆円を超える巨大小売流通グループ、三重県発祥・千葉県本社
2.売上高・利益いずれも横這い傾向が強い、財務体質も健全で問題なし
3.総合職30歳で年収450万~550万円ほど、地域社員は地方・共働き夫婦に推奨

業績動向

✔売上高と営業利益

イオンの売上高は緩やかな成長基調が続いており、2022年には売上高9兆円を突破して過去最高を更新*1。営業利益は年度により上下変動はあるが、概ね1,500億~2,100億円レベルで推移。
*1:2022年の売上高の増加は、①コクミン・ふく薬品・フレンチなどの同業他社の買収、②子会社であるウェルシアホールディングスの業績好調、③COVID-19影響緩和による販売増加、などが主要因。

✔セグメント別の状況

イオンは、GMS事業(総合スーパー・惣菜店など)、SM事業(スーパーマーケット・コンビニ)、DS事業(ディスカウントストア)、ヘルス&ウェルネス事業(ドラッグストア・調剤薬局)、総合金融事業(イオン銀行・クレジットカード・保険業など)、デベロッパー事業(ショッピングモール開発・賃貸)、サービス・専門店事業(外食店・専門衣料店・ゲームセンターなど)、国際事業(中国・アジア地域)、その他事業、の9事業を有する。
売上高ではGMS事業・SM事業で約65%を占める反面、利益においては総合金融事業・デベロッパー事業だけで約55%を占める構造。スーパーマーケット関係で規模を大きく拡大しつつ、金融・不動産領域において利益を稼ぐビジネスモデルである。

✔最終利益と利益率

イオンの純利益は概ね200億円前後の水準で推移しているが、2020年のみ純損失710億円に転落*2。営業利益率は長期的に2%ほどで推移しており、規模で稼ぐ構造となっている。
*2:2020年はCOVID-19感染拡大による臨時閉店・休業補償や感染防止策などの特別損失が多発したことで最終赤字に転落。それゆえ、特殊な状況における例外的赤字と見てよい。

✔自己資本比率と純資産

イオンの自己資本比率は右肩下がりで推移しており、直近では8%と著しく低い水準。ただし、これは傘下にイオン銀行があることが主要因であり、財務の健全性に問題はない*3。純資産は1.8兆~1.9兆円規模で横這いの推移が続く。
*3:傘下のイオン銀行は顧客から預金4兆円規模で預かっており、貸借対照表での負債が広がっている。それゆえ自己資本比率が低くなりやすいが、イオンは1兆円以上の現預金を保有しているため財務健全性・流動性は十分に健全である。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

イオンの平均年収は直近で838万円と高水準だが、これは持株会社の444名のみの平均年収であり参考にならない。事業会社に所属する大卒総合職は30歳で年収450万~550万円ほど、課長職レベルで年収850万~900万円レベル。

✔従業員数と勤続年数

イオンの単体従業員数は直近で444人であり、ほとんどの従業員は事業会社に所属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は16万人を超える巨大組織である。平均勤続年数は直近で18.4年と長いが、これも持株会社の444名のみの平均勤続年数であり参考にならない。

総合評価

企業格付け:BBB

日系小売流通業としてはセブン&アイに続く業界2位の大手であり、売上高9兆円を超える巨大小売企業。とりわけ地方都市においてイオンモールは商業インフラそのものであり、日本の地方社会を支え続ける唯一無二の企業でもある。業績は横這い傾向が強いものの、売上高は微増が続いており僅かながらも成長を続けている。営業利益率は2%台とまったく高くはないものの、売上高9兆円にも及ぶために規模の大きさを活かして営業利益2,000億円程度はしっかり確保できている。ただし祖業のスーパーマーケットでは利益による利益は僅かであり、金融・不動産が大きな稼ぎ頭。それゆえ、数ある子会社の中でも、総合金融事業を担うイオンフィナンシャルサービスおよびデベロッパー事業を担うイオンモールは殊更に重要な存在となっている。長期的には国内人口縮小・地方都市衰退が逆風となる企業ではあるが、地方都市においては既に代替がきかないレベルの商業インフラとして機能しているが故に安定性は高いだろう。これまでも数々の同業他社を吸収することで企業規模を拡大してきた歴史の通り、人口減少社会においても統廃合による規模拡大・合理化を進めることで商機を見出すことはできるだろう

就職格付け:DDD

小売流通業におけるトップ企業の1社であり、日本人ならば誰もが知る超大手企業。…だが、あまりにも日本人の生活に根差しすぎた企業である為に、就職したとしても羨望の眼差しまでは受けられない可能性が高い。給与水準は大手企業ではあるものの、そこまでは高くなく、大卒総合職は30歳で年収450万~550万円ほどが目安。見かけ上の平均年収は800万円を超えており高給にも思えるが、①持株会社の従業員444人のみで算出された平均年収である点、②持株会社の従業員444人は平均年齢49.3歳・平均勤続年数18.4年とベテラン社員で固められていると想定される点、からして本社勤務のベテラン社員のみの平均年収であると考えざるを得ない。逆を言えば、連結従業員数16万人の巨大阻止行を管理する側にいるベテラン社員444人の平均でも800万円台どまり…という見方もできるだろう。福利厚生は大手企業並みのものは一通り揃うが、そこまで目を見張るような制度はない。強いて言えば、転勤による住居変更の場合には借上げ社宅として住宅支援を得られる点はメリットであろうか。総合職の場合には広いエリアでの転勤がある割に給与水準もそこまでの為に旨味は少ない。が、転勤がない地域職の場合であれば地方都市における数少ない巨大企業の正社員雇用枠であるため、共働き夫婦など転勤リスクを排除したい場合には大いなる選択肢となり得る。

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