本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
いちご(旧・アセット・マネージャーズ)は、不動産再生・運営を主力とする不動産会社。2000年に不動産ファンド運営会社として創業。日本では当時珍しかった不動産の証券化に取り組み、2001年には西武百貨店池袋店の流動化を主導するなど不動産金融の先駆的企業として成長。2011年には不動産投資信託へと進出し、オフィス・ホテル・太陽光発電所を投資対象とする上場投資法人を相次いで展開した。2019年には業績不振に陥ったジャパンディスプレイを救済、筆頭株主として資金・経営の両面から再建を主導している。現在では、オフィスビル・ホテル・商業施設などの価値向上を図る『心築』事業を中核として、REIT・私募ファンドの運用、太陽光・風力発電所の開発・運営、上場企業への長期投資などを幅広く手掛けている。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:70(最上位)
一般知名度は極めて低いが、不動産再生・流動化分野では名高い実力派企業。平均年収は1,000万円を超える他、不動産投資・ホテル運営・再エネ・事業投資など幅広い領域で専門性を磨ける。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:至難
単体従業員数100名ほどの少数精鋭な組織であり、総合職の採用人数は年間1人~5人のみ。門戸が狭いために入社難易度は高く、傑出した能力と本気の志望度がなければ入社は困難。
採用大学:非公開(出典:マイナビ2028)
業績動向
✔売上高と営業利益
いちごの売上高は560億〜870億円ほどで長期的に推移している。年度によって売上高が大きく上下しているが、これは当社の事業上の特性に起因している*1。営業利益は2020年に過去最高となる277億円を記録したが、同年以降は96億~163億円で推移している。
*1:当社の売上高が年度によって大きく変動する理由は、主力の心築事業の物件売買が理由。他から取得したオフィス・ホテル・商業施設などの価値を高めたうえで売却するため、大型物件の譲渡が集中した年度には売上高が大きく膨らむ一方、物件取得や保有を優先する年度には減少する。
✔セグメント別の状況
いちごは、アセットマネジメント(J-REIT、インフラ投資法人・私募不動産ファンドの運営)、心築事業(不動産の改修・用途変更・テナント改善を通じた不動産再生)、いちごオーナーズ事業(心築ノウハウによる不動産小口化商品の販売・運営など)、ホテル事業(自社ホテルブランドによるホテル運営、心築ノウハウによるホテル再生)、クリーンエネルギー事業(太陽光発電・風力発電など)、の5事業を有する。
当社の事業構造は、オフィス・ホテル・商業施設などを取得し、改修・用途変更・テナント誘致・運営改善によって価値を高める『心築』を中核として成立している。老朽化や低稼働で価値が下落している物件を取得し、設備更新・耐震補強・内外装改修・賃料見直しによって収益性を改善する(参考リンク)。その後は、安定的な賃貸収益を得る他、他社へと売却して利益を確定する。アセットマネジメント事業では、投資家から集めた資金で不動産を取得・運用し、資産運用報酬を獲得している。いちごオーナーズ事業では、個人富裕層・事業法人・機関投資家などの不動産保有需要に応じて、『心築』で価値を高めた物件を販売する。クリーンエネルギー事業では、全国各地で太陽光・風力発電所を開発・保有し、電力販売による継続収益を獲得している。このほか、上場企業への長期投資にも取り組んでおり、ジャパンディスプレイでは資金支援と経営参画を通じて企業再生を主導している。
✔最終利益と利益率
いちごの純利益は2019年に過去最高となる154億円を記録したが、2021年には50億円まで低下*2。同年以降は再び増加傾向が続いており、2025年は純利益151億円となっている。営業利益率は2017年〜2019年は30%前後の水準にあったが、同年以降は15%〜18%へと低下している。
*2:2019年~2021年に純利益が減少した理由は、①COVID-19感染拡大によってホテル物件の利益率が急低下した打撃、②物件売却によるフロー収入の減少、にある。
✔自己資本比率と純資産
いちごの自己資本比率は28%~30%ほどで長期的に推移している。それほど高い水準にはないが、不動産事業の性質上やむを得ない*3。純資産は長期的に緩やかな増加傾向が続いており、2025年には1,227億円に到達している。
*3:不動産事業者は不動産の買付のための投資額が巨額に及び、投資期間も長期に渡るため、長期借入金などの資金調達で賄うことが多く、自己資本比率は高まりにくい傾向がある。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
いちごの平均年収は年度による変動が大きいが、2025年には平均年収1,147万円に達している。総合職の場合、30歳で年収750万~850万円ほど、課長職レベルで年収1,300万~1,500万円が目安。平均年齢は43.0歳(2025年)と大手企業の標準的な水準を僅かに上回る。
✔従業員数と勤続年数
いちごの単体従業員数は109人(2025年)と少なく、少数精鋭の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は729人ほど。平均勤続年数は6.6年(2025年)と短いが、不動産業界は人材の流動性が高いためやむを得ない。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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