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不動産

【勝ち組?】いちごの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

いちご(旧・アセット・マネージャーズ)は、不動産運用・ソーラー発電所企業投資を核とする不動産会社。2000年に不動産ファンド運営会社として創業。日本では当時珍しかった不動産を有価証券化する事業に取り組み、2001年には西武百貨店池袋店の流動化を主導。2010年からは不動産投資信託へと進出、オフィスビル・ホテルなどの投資法人を上場。現在ではオフィスビル・太陽光発電所を多数運営する他、企業投資にも積極的。2019年には業績不振に陥ったジャパンディスプレイを救済、筆頭株主として再生を主導。

POINT

・不動産流動化・投資信託運営に強い不動産会社、中古ビル再生ノウハウに強み
・COVID-19による業績悪化から回復傾向、太陽光発電にも注力
・平均年収1,134万円かつ業績賞与あり、70歳定年制度で役職定年なし

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:70(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:至難

単体従業員数が100名未満の少数精鋭な組織であり、総合職の採用人数は年間1人~5人のみ。門戸が狭いために入社難易度は極めて高く、傑出した能力と本気の志望度がなければ入社は不可能だろう。
採用大学:非公開(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

いちごの売上高は年度によって好不調が分かれるが、長期的に500億〜800億円ほどで推移。2016年のみ売上高1,093億円に到達*1。営業利益は2019年の277億円をピークに下落、同年以降は100億円前後で推移。
*1:2016年に売上高が急増した理由は、同年に心築事業で保有していた不動産を「いちごオフィスリート」「いちごホテルリート」へと物件譲渡したことが主要因。物件譲渡に伴う一時的な売上高の急増であったため、同年以降は平常水準へと戻った。

✔セグメント別の状況

いちごは、アセットマネジメント(J-REIT、インフラ投資法人・私募不動産ファンドの運用など)、心築事業(中規模オフィスビル・ホテルなどのストック収益・売却収益、不動産価値向上など)、クリーンエネルギー事業(太陽光発電・風力発電など)の3事業を有する。
当社は多種多様な事業展開に特徴があるが、心築事業が売上高の約86%を占める。当社の心築事業は中古物件を買い付けたうえで改修・美観向上・省エネ化したうえで物件価値を向上するノウハウに強みがある(参考リンク)。利益面ではアセットマネジメント事業・クリーンエネルギー事業の存在感がやや高まり、心築事業を補完する役割を果たしている。

✔最終利益と利益率

いちごの純利益は2018年の154億円をピークに低下、同年以降は50億〜100億円レベルでの推移*2。営業利益率は2017年〜2019年は30%前後の水準にあったが、同年以降は15%〜18%へと低下。
*2:2019年から利益低下した理由は、①COVID-19感染拡大によってホテル物件の利益率が急低下した打撃、②物件売却によるフロー収入が減少している点、にある。

✔自己資本比率と純資産

いちごの自己資本比率は30%前後で長期的に推移している。それほど高い水準にはないが、不動産事業の性質上やむを得ない*3。純資産は長期的に右肩上がりで推移しており、2023年には1,163億円に到達。
*3:不動産事業者は不動産の買付のための投資額が巨額に及び、投資期間も長期に渡るためため長期借入金などの資金調達で賄うことが多く、自己資本比率は高まりにくい傾向がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

いちごの平均年収は年度による変動がそこそこ大きいが、2022年からは平均年収1,000万円以上が定着。直近の2023年には平均年収1,134万円に達している。総合職の場合、30歳で年収700万~750万円、課長職レベルで年収1,200万~1,300万円が目安。成績に応じて賞与が大きく変動するため、実力による年収差が相応にある。

✔従業員数と勤続年数

いちごの単体従業員数は2019年まで増加傾向にあったが、同年以降は減少に転換。2022年は93人規模と従業員はかなり少なく、少数精鋭の組織体制。平均勤続年数は直近で7.3年と短いが、不動産業界は人材の流動性が高いためやむを得ない。

総合評価

企業格付け:AA

■業績動向
2020年にはCOVID-19によるホテル物件の利益急減で打撃を受けたが、最近は改善傾向。2023年にはオフィスビル需要の回復と外国人観光客が大幅増加したことで純利益121億円まで回復。当社の収益はストック収益とフロー収益に分類されるが、実はストック収益のみで言えば過去最高圏となる収益力に達している。2024年以降にも利益を維持し続けられるかが問われる。

■財務体質
普通。直近では総資産3,670億円に対して有利子負債1,911億円と有利子負債比率は高い。が、不動産業自体が長期的に負債を有効活用して収益を生むビジネスであるから負債額を危険視する必要がない点には注意。同業の大手不動産会社と比較しても特段遜色ない水準を維持しているため、特筆すべき事項はない。

■ビジネス動向
長期ビジョン「いちご2030」を策定。心築事業に力点を置いた事業展開から「サステナブルインフラ企業」への変革による業績拡大を目指す。太陽光発電所・風力発電所の開発を通して、クリーンエネルギー事業の拡大を狙う。当社が運営する「いちごグリーンインフラ投資法人」は全国15ヵ所の太陽光発電所を保有しており、開発動向が注目される。

就職格付け:AA

■給与水準
2016年以降は平均年収900万円前後、2022年以降は平均年収1,000万円以上で推移。財閥系不動産会社やアセットマネジメント会社と比べるとやや少ないが、独立系不動産会社としては最上位級の給与水準だろう。年俸制で実績に応じた業績賞与が追加されるため、能力次第で給与水準は大きく変動する。年功序列での温情的昇給はない。

■福利厚生
良好。家賃補助制度はないが、借上げ社宅制度によって月額5万円までの補助がある。勤務にあたって家族のために保育施設・介護施設を利用した場合には最大10万円/月まで補助。子供が中学校を卒業するまでは看病・介護のために年10日までの有給休暇が付与される。ストックオプションが毎年付与されるため、当社株価の変動によっては大きな利益を得られる可能性も。

■キャリア
各領域のプロフェッショナルを中途採用で獲得することが多く、新卒採用の規模は大きくない。入社後は実務に従事しつつ定期的な研修でフォローアップされる。不動産事業を中心に高い専門性をもつ社員が他の社員にノウハウを共有する「いちご大学」を社内開催しており、幅広い知見・技能を醸成することができる。70歳定年制度かつ役職定年制度なしであるため、意欲さえあれば年齢に関わらず、一定年齢以上でも高年収な状態を長く維持し続けられる。

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出典:いちご株式会社(有価証券報告書)