企業概要
TISは、法人向けクラウド・金融系ITソリューションを主力とするシステムインテグレータ。1971年に大阪府大阪市で三和銀行グループのシステム会社として設立。設立当時は銀行系システムを主力としたが、1980年代には非金融業界の大企業向けシステム開発を拡大。2008年にはJCBの基幹システム『JENIUS』を開発した他、同業のインテックと経営統合して事業規模を拡大。現在では独立系SIerとして国内トップクラスの規模を誇り、クレジットカード会社向け基幹システムで国内シェア約50%と断トツ首位。
・金融系ITを得意とする独立系SIer、多種多様な業界にITサービスを提供
・売上高・利益は成長基調が続いており、財務健全性も良好
・平均年収803万円で福利厚生も良好、テレワークに上限なし
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:65(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:やや難関
総合職の採用人数は年間250人~280人とかなりの大量採用。独立系SIer最大手の一角だが、ユーザー系SIerに比べると一般知名度が振るわず選考倍率は高まりにくい。
採用大学:【国公立】名古屋大学・神戸大学・千葉大学・静岡大学・富山大学・長崎大学・電気通信大学・東京農工大学・名古屋工業大学・東京都立大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・立教大学・法政大学・立命館大学・専修大学・成蹊大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
TISの売上高は長期的な増加傾向が続いており、2023年には過去最高となる5,490億円に到達*1。営業利益も売上高に連動した増加傾向が続いており、2023年には過去最高となる645億円に到達している。
*1:当社の売上高の成長が続いている理由は、①世界的なデジタル投資の活性化による金融業・製造業・流通業向け開発案件の増加、②統合基幹業務システム(ERP)導入案件の増加、など。
✔セグメント別の状況
TISは、オファリングサービス事業(法人向けインフラ基盤・サービス基盤・サービスアーキテクチャコンサルティングなど)、BPM事業(ビジネスプロセスIT変革サービス)、金融IT事業(銀行・保険・クレジットカード会社向けITソリューション)、産業IT事業(製造業・流通業・官公庁向けITソリューション)、広域ITソリューション事業(地域・顧客サイトを含めたITソリューション)、の5事業を有する。
当社は法人向けITサービスの開発に特化した大手SIerであり、金融業界を中心としつつも多種多様な業界にITサービスを提供している。いずれの企業グループにも属さない独立系SIerゆえに、クライアントの希望に沿ったシステムを制約なく提供できる。
✔最終利益と利益率
TISの純利益は2022年に過去最高となる554億円に到達したが、2023年には488億円にやや後退している。営業利益率は長期的な増加傾向がみられ、2022年には12.2%に到達している。
✔自己資本比率と純資産
TISの自己資本比率は長期的に52%~64%ほどで推移しており、負債に依存しない事業運営ができている。純資産も長期的な増加傾向にあり、2023年には3,247億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
TISの平均年収は長期的な増加傾向が続いており、2023年には803万円まで増加している。大卒総合職の場合、30歳で年収550万~650万円ほど、課長職レベルで年収950万~1,050万円が目安。実力主義が強いため優秀であれば30歳前後でリーダーに抜擢されるが、年功序列による温情昇格は滅多にない。
✔従業員数と勤続年数
TISの単体従業員数は5,400人~5,800人ほどでの横ばいが続いている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.19万人ほどの大所帯。平均勤続年数は14.5年(2023年)と長くはないが、人材の流動性が高いIT業界の企業としてはかなり長め。
総合評価
企業格付け:CCC
独立系SIerとしてトップクラスの企業規模を誇り、売上高・利益において業界大手のSCSK・BIPLOGYを超える。独立系ゆえに特定グループに縛られない取引関係を構築しており、主要顧客には三菱UFJ銀行・JCB・日本生命保険・東京ガス・リクルート・旭化成・小松製作所などがある。祖業は金融ITソリューションだが、現在では非金融業向けの売上高が約60%以上と特定分野に依存しない。業績においては長期的な成長傾向が続いており、世界的なデジタル投資の活況が追い風となっている状況。2023年には主要顧客の大型開発案件がピークアウトしたが、他顧客から想定以上の受注を得たことで業績成長を持続させることにも成功。財務体質においても自己資本比率59.5%(2023年)と高水準であり、事業拡大を進めつつも財務健全性をしっかりと担保できている。
就職格付け:CCC
かつて三和銀行系のシステム会社として設立されたシステムインテグレータだが、現在においては同行の流れを汲む三菱UFJ銀行とは特段の資本関係はない。給与水準においては平均年収を伸ばし続けており、2023年には平均年収803万円まで拡大している状況。大卒総合職であれば、30歳で年収550万~650万円ほど、課長職レベルで年収950万~1,050万円が目安となるだろう。福利厚生においても相当に恵まれており、入社4年目までは借上げ社宅に月額2万円ほどで居住できる他、その後も居住地域に応じて住宅補助が月額1万~3万円ほど支給される。IT業界の大手企業だけあってテレワーク勤務制度も整っており、全社員が日数上限なく在宅勤務を選択できる。毎月1日以上の勤務日を研修・勉強会に費やす社内ルールがあり、技術を磨く環境も整えられている。