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【勝ち組?】DOWAの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

DOWAホールディングスは、製錬・金属加工・廃棄物処理・リサイクルを主力とする非鉄金属メーカー。1884年に藤田伝三郎が小坂鉱山の政府払い下げを受けて創業。戦前には藤田財閥の中核企業として、建設・鉱業・金融・鉄道など事業多角化を推進。終戦後には鉱山・製錬の運営を中核事業として再出発したが、1980年代までに鉱山事業からは順次撤退。現在では製錬・金属加工・電子材料・熱処理などを展開、廃棄物処理や白金リサイクルで国内トップシェア。銀めっき・磁気記録材料では世界シェア首位を誇る。

POINT

・かつて藤田財閥の中核企業であった非鉄金属メーカー、事業多角化に熱心
・売上高・利益は2021年をピークにやや後退、財務体質は業界上位クラス
・総合職・30歳で年収580万~650万円が目安、福利厚生はかなり良好

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:64(中堅上位)

大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用数は年間45名~60名ほど。理系重視の採用方針となっており、採用数の約65%は理系大学院卒。秋田県に主力拠点が立地するため、東北地方からの応募がやや多め。
採用大学:【国公立】北海道大学・神戸大学・筑波大学・新潟大学・岡山大学・信州大学・岩手大学・秋田大学・電気通信大学・室蘭工業大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・法政大学・立命館大学・関西大学・専修大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

DOWAホールディングスの売上高は2021年に過去最高となる8,317億円に到達*1したが、同年からはやや減少傾向がみられる。営業利益も2021年に過去最高となる638億円に到達したが、同年からは減益傾向*2。2023年には営業利益300億円となっている。
*1:2021年まで売上高が増加していた理由は、①世界的な資源価格高騰による銅・白金・伸銅品の販売価格の上昇、②電子材料事業における販売拡大、③為替レートの円安推移による為替効果、など。
*2:2021年から営業利益が減少傾向となっている理由は、①電力・燃料価格の高騰による製錬コスト上昇、②海外における鉱山開発費用の増加、③電子材料事業の研究開発費の増加、など。

✔セグメント別の状況

DOWAホールディングスは、環境・リサイクル事業(廃棄物処理・土壌浄化・資源リサイクルなど)、製錬事業(金・銀・銅・亜鉛・プラチナ・パラジウムなどの製造・販売)、電子材料事業(高純度金属材料・半導体ウエーハ・導電材料・磁性材料など)、金属加工事業(銅・めっき加工品・回路基板など)、熱処理事業(自動車部品表面加工・熱処理加工設備など)、その他事業(不動産賃貸・プラントエンジニアリング・土木工事など)、の6事業を有する。
当社は戦前から長らく鉱山事業を主力としてきたが、1980年代までに国内の鉱山運営からは順次撤退。現在では金・銀・銅・プラチナなどの製錬事業を中核として、リサイクル・電子材料・金属加工・熱処理などを展開。主力の製錬事業はグローバルにおける資源価格の上昇・下落に業績を左右されやすいため、事業多角化を進めることで業績安定化を図る目的がある。

✔最終利益と利益率

DOWAホールディングスの純利益は2021年に510億円に到達したが、直近では278億円となっている。景気動向に左右されやすい業界でありながらも、景気後退局面にも純利益を確保できている。営業利益率は4%~7%レベルで安定的に推移しており、非鉄金属メーカーとしては良好な水準。

✔自己資本比率と純資産

DOWAホールディングスの自己資本比率は2020年まで低下傾向にあったが、同年からは増加傾向に転換。2023年には自己資本比率59%に到達しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。純資産は2020年から増加傾向が続いており、2023年には3,887億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

DOWAホールディングスの平均年収は直近で839万円となっているが、これは持株会社の89人のみの平均年収。実際には、総合職の30歳で年収580万~650万円、課長職レベルで年収800万~950万円が目安となる。年功序列色が強い給与制度となっており、入社10年目までは給与に大きな差は付かない。

✔従業員数と勤続年数

DOWAホールディングスの単体従業員数は70人~90人ほどで長期的に推移しており、従業員の殆どは事業会社に属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7,800人ほど。平均勤続年数は直近で16.5年となっているが、これは持株会社の89人の平均勤続年数であるため参考にならない。

総合評価

企業格付け:B

金・銀・銅などの非鉄金属の製錬を主力とする非鉄金属メーカー。かつては鉱山運営から出発した企業であるが、1985年のプラザ合意による円高ドル安と金属価格乱高下をうけて鉱山事業からは撤退。それから社運を賭けて事業多角化を進めたことで、現在ではリサイクル・電子材料・金属加工・熱処理なども幅広く展開するに至っている。自社で生み出した非鉄金属を活かして電子材料・金属加工品などの高付加価値製品を生み出している他、使用後の廃棄物を回収してリサイクルする資源循環ビジネスにも強みがある(参考リンク)。業績においては世界的な資源価格の高騰をうけて2021年まで売上高・利益が過去最高を更新したが、同年以降はやや減少傾向。しかしながら、非鉄金属メーカーは資源価格の高騰・下落によって業績が浮き沈みすることが避けられない業種であるため、こうした業績変動はやむをえない。むしろ、景気後退局面など資源価格が下落する局面においても黒字を手堅く確保できる点は強みとして評価できるだろう。財務体質においても優良であり、自己資本比率59.0%(2023年)と非鉄金属メーカーとしてはトップクラスの水準。さすがに非鉄金属メーカーとして最高峰である三菱マテリアル住友金属鉱山と比べると事業規模は小さいが、事業運営の巧みさは評価できるポイントが多い。

就職格付け:B

戦前に藤田伝三郎が創設した藤田財閥の中核会社として発展した非鉄金属メーカー。戦前には「藤田組」の社名で活動していたが、終戦直後に「同和鉱業」に社名変更。2006年に現社名の「DOWA」を冠するに至った。創業の地である秋田県には今なお主力拠点が多数立地しており、秋田県内ではかなりの有名企業である。給与水準においては平均年収839万円(2023年)とかなりの高水準であるが、これは持株会社の89人の平均年収であるため注意が必要。実際には、総合職の30歳で年収580万~650万円、課長職レベルで年収800万~950万円が目安となる。福利厚生はかなり恵まれており、主力拠点には独身寮・社宅が完備されている。独身寮は月額1万円未満で生活できるうえ年齢制限もないため、若手社員の可処分所得を大きく引き上げている。独身寮・社宅がないエリアでは家賃補助制度によって最大6万円/月が支給される点も見逃せない。労働環境についても、平均残業時間14.7時間(2023年)・平均有給取得日数18.1日(2023年)と、休みがとりやすく長時間労働も少ない。強いて言えば、一般知名度が著しく低いために世間体は上がりにくいが、世間が思う以上に優良な企業である。

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出典:DOWAホールディングス株式会社(有価証券報告書)