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岡谷鋼機の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

岡谷鋼機は、鉄鋼・非鉄金属・レアアース・工作機械・半導体・畜産物などを取り扱っている専門商社。1669年に岡谷總助宗治が武士を廃業して開いた金物商店を源流とし、創業350年以上に及ぶ歴史を持つ老舗企業。鉄鋼系専門商社としての歴史が長いが、現在においては非鉄鋼分野も積極開拓。現在では、鉄鋼・電機・産業資材・生活資材に至るまで広範な製品を取り扱う。世界23ヵ国に進出、グローバル規模でのサプライチェーンを構築。名古屋を代表する企業の1社でもあり、創業当時から名古屋に本社を置く。

POINT

1.創業350年以上の老舗専門商社、鉄鋼事業が柱だが多角化を推進
2.売上高・利益いずれも2021年から好調気味で過去最高圏、財務体質も大いに良好
3.総合職なら30代で年収1,000万円に到達、福利厚生は特筆すべきものなし

業績動向

✔売上高と営業利益

岡谷鋼機の売上高は過去10年以上に渡って6,400億~8,500億円ほどの水準で推移してきたが、2021年以降は9,000億円越えが連続*1。営業利益は130億~220億円ほどで安定していたが、2022年には営業利益294億円に到達して過去最高を更新。
*1:2021年・2022年に売上高が好調となったのは、①主要取引先の製造業の生産活況による鉄鋼・産業機器の需要増加、②世界的な物価高騰による販売価格の上昇、が主要因。

✔セグメント別の状況

岡谷鋼機は、鉄鋼事業(鋼板・鋼管・合金鋼・ステンレス鋼・鉄屑など)、情報・電機事業(銅・アルミ・レアアース・電子部材・半導体・ソフトウェアなど)、産業資材事業(工作機械・工具・産業ロボット・自動車部品など)、生活産業事業(住宅用資材・配管資材・畜産物・水産物・分譲マンションなど)、の4事業を有する。
岡谷鋼機は鉄鋼系専門商社として著名だが、鉄鋼事業が売上高に占める割合は約42%に留まっており、非鉄鋼分野の売上高も相当に大きい。利益においても情報・電機事業が鉄鋼事業と同等レベルの利益を稼いでおり、重要事業となっている。

✔最終利益と利益率

岡谷鋼機の純利益は110億~160億円ほどで安定していたが、2022年には純利益235億円に到達して過去最高を更新。営業利益率は長期的に2%レベルでの推移が続いており、規模で稼ぐ構造となっている。

✔自己資本比率と純資産

岡谷鋼機の自己資本比率は長期的に40%~45%前後の水準で推移しており、健全な財務体質を有している。直近では40.2%にやや低下したが、問題ない水準である。純資産は右肩上がりで増加しており、直近では3,050億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

岡谷鋼機の平均年収は820万~860万円ほどの水準で大手メーカーに近い水準だが、これは総合職以外の一般職採用も多い影響が大。総合職であれば30代で900万~1,000万円に到達し、課長職レベルで年収1,000万~1,300万円レベル。平均年齢は30代後半で推移しており、老舗企業のイメージに反して従業員の年齢構成はやや若め。

✔従業員数と勤続年数

岡谷鋼機の単体従業員数は660人~690人ほどの水準で安定的だが、事業規模の割には組織規模は小さめな印象。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5,500人ほど。平均勤続年数は直近で13.5年と長くもなければ短くもない水準。

総合評価

企業格付け:BBB

鉄鋼系専門商社として認知される企業ではありつつも、現在では非鉄鋼分野においても存在感を増している専門商社。とりわけ対製造業において川上から川下までのサプライチェーンを一気通貫で対応できる点を強みとしてきた。最新の中期経営計画”GIC2025″において「2025年までに売上高1兆円・純利益200億円」を掲げているが、2022年に純利益目標は既に達成。2023年には売上高1兆円を超える見通しとなっている。業績は2021年頃から緩やかな成長基調にあり、過去最高圏での業績推移が続いていることから概ね堅調であると言える。が、他の鉄鋼系専門商社が2021年以降に業績を一気に伸ばした点を考慮すると、いまいち業績の伸びが緩い印象は拭えないか。財務体質は極めて堅実であり、自己資本比率40%以上での推移が定着。数々の戦争や社会的動乱を乗り越えて350年以上に渡って事業を継続してきた歴史を振り返れば、企業存続という観点においては卓越していると評価できる。

就職格付け:BBB

名古屋を代表する企業の1社であり、創業から350年以上に渡って名古屋を本社として事業を営んできた歴史を持つ。売上高1兆円規模のグローバル企業でありながら、現在でも名古屋証券取引所のみに単独上場であり、東京証券取引所には非上場という異例の企業でもある。それゆえ、こと名古屋証券取引所においては断トツの存在感を放つ超大手企業でもある。給与水準は専門商社なりの水準であり、総合職ならば30代で年収900万~1,000万円は堅い。平均年収だけを見れば800万円台に留まるものの、これは事務職・一般職が込みとなっているが故。ただし、福利厚生はあまり充実しておらず、家賃補助制度は最大2万円/月ほどに過ぎず中堅メーカー並み。若手社員であれば独身寮に入ることで住宅コストを削減できるが、中堅社員以降はあまり福利厚生には期待できないか。基本給がかなり高めに設定されているため、福利厚生はその中に込みと考えておくべきだろう。当然ながら支店が世界各国・日本各地にあるため、総合職は転勤が伴う。名古屋企業とは言いつつも、名古屋以外への転勤リスクが高いため、名古屋周辺に永住し続けたい場合にはあまり向かない。

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